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0回目〈9〉side Y
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2015年3月17日、火曜日。この日は高校の合格発表だった。佳穂ちゃんも私も無事、志望校に受かる事が出来た。
家に帰ってパソコンを開くと、『合格したよ。晃人』とメールが来ていたので、『私も! 結』と返しておいた。
引っ越しの準備も8割方終わっていたので、午後は佳穂ちゃんと一緒に海に遊びに来ていた。
「結、引越ししちゃうんだもんね。寂しくなるなー。」
「JRで2時間半だから、遊びに来る。『ときのうみ町』のこと、大好きになったし。今度来た時、佳穂んちの旅館に泊まろっかな。」
「あはは、じゃあ私がおもてなしするね。」
ざざーん、ざざーん、と波の音がする。
「ねえ、結。」
「んー?」
「前さ。2人の時話してくれた事あるじゃん。その。『みらいなか市』にいた時、クラスの女子に無視された事があるって。」
「あー、言ったねー。」
あ、砂の上をヤドカリが歩いてる。
「多分さ。それ、私嫉妬だと思うさ。結、気付いてないかもしれないけど、転校してきた時『美少女が都会から来た!』って実はクラスの男子、皆浮き足立ってたんだよ。」
あー、きっと仲が良いから佳穂ちゃんが割り増しで見てくれてるんだろうなあ。
「あはは、またまた。」
「いや。マジなんだけど。ダンスやって前よりスタイルも良くなったし。だからさ。もしまた『みらいなか市』で嫌な思いすることあったら私に言ってね。話くらいは聞くし、場合によっては電車に乗ってそっちに会いに行くから!」
そう言って佳穂ちゃんはガッツポーズを取った。
「ふふ。ありがとう。大丈夫だよ。でも、嬉しい。」
こんな友達が出来るなんて幸せだなぁ。
◇◇◇
2015年4月7日、火曜日。今日は『みらいなか高校』の入学式だ。澄み切った青空が広がっている。
灰色のブレザーにベスト、プリーツスカートに緑のリボン。ワイシャツのポケットには『みらいなか高校』の校章が入っている。靴下は緑色に灰色のラインが入っているものと、灰色に緑のラインが入っているものが選べるようになっている。ちなみに男子は緑のネクタイに灰色のズボンだ。
髪は小学生の頃は肩くらいだったけれど腰くらいまで伸びて前髪もワンレングスにしている。今日のためにちゃんとお手入れしておいた。
「いってきます!」
◇◇◇
校舎の玄関にクラスが張り出されていたので確認する。
あ、あった。私は三組だ。えっと、晃人君は、、五組だ。やったー。教室が二つ隣だ!
あとで廊下ですれ違えたら嬉しいな。
教室に入ると一瞬見られたけれど、同じ中学だったらしき子達で固まって皆話している。
私、大丈夫かな。でも、『ときのうみ町』ではすぐに友達できたし!
『みらいなか小学校』だった子もちらほらいたけれど、私に気付いていないようだった。それに、5年生の時、同じクラスだった女子はいなくてホッとした。
◇◇
席に着いたら前の席の女の子が話しかけてきてくれた。ショートカットの活発そうな女の子だ。
「ねえねえ、どこ中(ちゅう)から来たの?うちは東中(ひがしちゅう)!」
あ、この子のリュック。結構有名なアウトドアブランドのやつだ。山登りとか好きなのかな?
「私、親が転勤族で二つ隣の県にいたんだよね。『きたのうみ町』ってわかる?そこの中学校。』
結構遠いし田舎だからわからないかなと思ったけど、意外に乗ってきてくれた。
「『きたのうみ町』っていつも天気予報で映るところだよね?ちょっと中心部が小京都っぽい街並みの。」
「そうそう!海沿いの町なんだけど、昔は貿易の拠点だったみたいで。結構古い建物が多いんだよね。」
それに、シーフードも美味しいし、佳穂ちゃんの実家の『きたのうみ旅館』の温泉もめちゃくちゃいいしね。いいところです。『きたのうみ町』。
「えー、行ってみたい!うち、歴史とかめっちゃ好きなんだよね。遺跡が大好きで、春休み、佐賀の吉野ヶ里遺跡に行ってきたんだよね。」
えー!アクティブだなぁ。なんか面白い子かも。
「九州は私、まだ行った事ないんだよね。でも遺跡だったら青森の三内丸山遺跡だったら家族で行ったことある!『きたのうみ町』ならいつでも案内するよ。えっと、槇村 柚月(まきむら ゆずき)ちゃん、でいいのかな。私、松川 結(まつかわ ゆい)。」
机の上に貼られている名札を見て名前を確認する。
ちなみにあの時は縄文土器とか竪穴式住居を見てきたんだよね。いいなぁ。そのうち吉野ヶ里遺跡も行ってみたい。外堀とか縄文時代より進化してるし面白いよね。
「うん、柚月(ゆづき)でいいよ。うちも結(ゆい)って呼んで良い?」
「うん!よろしくね。柚月。」
なんか友達を呼び捨てにするのって初めてかも。これが、高校生か。
…なんだかすごく若者っぽい。私ちょっとリア充になっちゃったかも!!
家に帰ってパソコンを開くと、『合格したよ。晃人』とメールが来ていたので、『私も! 結』と返しておいた。
引っ越しの準備も8割方終わっていたので、午後は佳穂ちゃんと一緒に海に遊びに来ていた。
「結、引越ししちゃうんだもんね。寂しくなるなー。」
「JRで2時間半だから、遊びに来る。『ときのうみ町』のこと、大好きになったし。今度来た時、佳穂んちの旅館に泊まろっかな。」
「あはは、じゃあ私がおもてなしするね。」
ざざーん、ざざーん、と波の音がする。
「ねえ、結。」
「んー?」
「前さ。2人の時話してくれた事あるじゃん。その。『みらいなか市』にいた時、クラスの女子に無視された事があるって。」
「あー、言ったねー。」
あ、砂の上をヤドカリが歩いてる。
「多分さ。それ、私嫉妬だと思うさ。結、気付いてないかもしれないけど、転校してきた時『美少女が都会から来た!』って実はクラスの男子、皆浮き足立ってたんだよ。」
あー、きっと仲が良いから佳穂ちゃんが割り増しで見てくれてるんだろうなあ。
「あはは、またまた。」
「いや。マジなんだけど。ダンスやって前よりスタイルも良くなったし。だからさ。もしまた『みらいなか市』で嫌な思いすることあったら私に言ってね。話くらいは聞くし、場合によっては電車に乗ってそっちに会いに行くから!」
そう言って佳穂ちゃんはガッツポーズを取った。
「ふふ。ありがとう。大丈夫だよ。でも、嬉しい。」
こんな友達が出来るなんて幸せだなぁ。
◇◇◇
2015年4月7日、火曜日。今日は『みらいなか高校』の入学式だ。澄み切った青空が広がっている。
灰色のブレザーにベスト、プリーツスカートに緑のリボン。ワイシャツのポケットには『みらいなか高校』の校章が入っている。靴下は緑色に灰色のラインが入っているものと、灰色に緑のラインが入っているものが選べるようになっている。ちなみに男子は緑のネクタイに灰色のズボンだ。
髪は小学生の頃は肩くらいだったけれど腰くらいまで伸びて前髪もワンレングスにしている。今日のためにちゃんとお手入れしておいた。
「いってきます!」
◇◇◇
校舎の玄関にクラスが張り出されていたので確認する。
あ、あった。私は三組だ。えっと、晃人君は、、五組だ。やったー。教室が二つ隣だ!
あとで廊下ですれ違えたら嬉しいな。
教室に入ると一瞬見られたけれど、同じ中学だったらしき子達で固まって皆話している。
私、大丈夫かな。でも、『ときのうみ町』ではすぐに友達できたし!
『みらいなか小学校』だった子もちらほらいたけれど、私に気付いていないようだった。それに、5年生の時、同じクラスだった女子はいなくてホッとした。
◇◇
席に着いたら前の席の女の子が話しかけてきてくれた。ショートカットの活発そうな女の子だ。
「ねえねえ、どこ中(ちゅう)から来たの?うちは東中(ひがしちゅう)!」
あ、この子のリュック。結構有名なアウトドアブランドのやつだ。山登りとか好きなのかな?
「私、親が転勤族で二つ隣の県にいたんだよね。『きたのうみ町』ってわかる?そこの中学校。』
結構遠いし田舎だからわからないかなと思ったけど、意外に乗ってきてくれた。
「『きたのうみ町』っていつも天気予報で映るところだよね?ちょっと中心部が小京都っぽい街並みの。」
「そうそう!海沿いの町なんだけど、昔は貿易の拠点だったみたいで。結構古い建物が多いんだよね。」
それに、シーフードも美味しいし、佳穂ちゃんの実家の『きたのうみ旅館』の温泉もめちゃくちゃいいしね。いいところです。『きたのうみ町』。
「えー、行ってみたい!うち、歴史とかめっちゃ好きなんだよね。遺跡が大好きで、春休み、佐賀の吉野ヶ里遺跡に行ってきたんだよね。」
えー!アクティブだなぁ。なんか面白い子かも。
「九州は私、まだ行った事ないんだよね。でも遺跡だったら青森の三内丸山遺跡だったら家族で行ったことある!『きたのうみ町』ならいつでも案内するよ。えっと、槇村 柚月(まきむら ゆずき)ちゃん、でいいのかな。私、松川 結(まつかわ ゆい)。」
机の上に貼られている名札を見て名前を確認する。
ちなみにあの時は縄文土器とか竪穴式住居を見てきたんだよね。いいなぁ。そのうち吉野ヶ里遺跡も行ってみたい。外堀とか縄文時代より進化してるし面白いよね。
「うん、柚月(ゆづき)でいいよ。うちも結(ゆい)って呼んで良い?」
「うん!よろしくね。柚月。」
なんか友達を呼び捨てにするのって初めてかも。これが、高校生か。
…なんだかすごく若者っぽい。私ちょっとリア充になっちゃったかも!!
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