君を好きになるなんて絶対にありえない!

ジャック

文字の大きさ
60 / 92
2章

第26話

しおりを挟む
フゥ~。スッキリした。

 俺は入念に手を洗って乾燥させる。また手を繋ぐことがあるかもしれないからな。そうなっても綺麗なように今までいちばん入念に何回も洗う!

 それを終えたら外に出た。北風を待たせてるからな。

 まさかナンパには…

「ねぇ、お姉さん!俺たちとちょっと遊ばない?」

「す、すみません。今日は彼氏と来ているんで。」

「えぇ~。別にいいじゃん!俺たちとあそぼーよー。そっちの方が楽しいよ?」

 2人もかかってました。やはり北風は強力なナンパホイホイだな。

 でもどうしてだろう?前より言葉にキレが感じられない。そして北風をよく見て気づいた。

アイツ、震えてるのか!?もしかして怖いんじゃ!?

 考えてみれば金髪ゴリラから色々されて男性不信になってもおかしくないのだ。ちょっと前から疑ってたんだが、俺とふたりで弁当食べても問題なかったから大丈夫なのかと思ったのに!

「ねぇ、ほら行こうよ!」

 ナンパが北風に触ろうとしているが、

「俺の彼女に何しようとしてくれてるんですか??」

俺がその手を掴んで威圧しつつ相手を黙らせる。2回目となると対処も簡単だ。加えて中学で喧嘩してた時並に威圧をかける。ビビって帰ってくれればいいが。

「あ…す…すみません…でした…。」

 謝ってきたので手を離すとすぐにどこかへ逃げていった。

「北風大丈夫か?」

 俺はすぐ後ろにいる北風の方を見て安全を確認する。

「え…あ…うん。ありがとう…。」

 手は未だに震えている。クソっ!ゆっくり手を洗ってる場合じゃなかったか!

 俺は北風の両手をしっかり握って、ゆっくり安心させるように語りかける。

「遅くなってごめん。それと怖かったのによく耐えたな。」

 俺は北風の頭を撫でながら北風を落ち着かせる。髪型も多分きちんとセットしたんだと思う。だからそれを崩すことだけはないようにできる限りゆっくりと。

「ふぁ…!?」

「なんかあったら呼べって言ったのに…。」

「あ、荒木くんにめいわくかけたくなかったから。」

「別に迷惑だなんて思わないよ。言っただろ?今日だけとはいえ俺は北風の彼氏なんだ。こんなに可愛い彼女なら守ることは責任というより義務なんだから。それに迷惑だとしても全然構わないよ。付き合ってるんだろ?今日だけだが。それなら迷惑ぐらいいっぱいかけたっていいんじゃねぇの?俺の思う理想の関係ってそんなものだぞ。」

 本当に付き合ったことはないからなんとも言えないけど。まぁ、あくまで理想…。理想だな。

 北風は顔を真っ赤にしている。けれど手の震えは感じない。良かった。治ったみたいだな。俺は北風の頭から手を離す。

「それでどうする?」

「あっ…!帰るのは…嫌っ!まだ…一緒にあそびたい…。」

「OK。それならどうする?ゲームセンター行くか?」

「うんっ!」

 よし。もう大丈夫かな。本来ならここで帰った方がいいんだろうけど、本人もまだ遊びたいって言うんだから遊ぼう。俺がしっかり隣に居ればいいだけの話だ。今度は守らないと。

「よしっ!それじゃあ行くか!北風…手を繋いでくれないか?」

 俺は北風に手を差し出す。

「うんっ!」

 北風は俺の手を握り返して歩き出した。次は同じミスをしないようにしないと。

「ねぇ、荒木くん♪」

「なんだ?」

「まだちょっと怖いからさ?手の繋ぎ方変えてもいい?」

「…変える形によるかな。」

 すると北風は俺の指に北風の指を絡め合わせてきた。

「北風?俺まだ良いって言ってないんだけど?しかもこのつなぎ方って……。」

「そ♪恋人繋ぎ。まだ怖いから安心するまで!」

 さっき震えは止まってたように見えたんだがな。そう言いつつも離さず、受け入れてる俺も俺か。

たださっきよりより距離が近くなり密着しそうな状態になった。そのせいですごくいい匂いがする!北風の匂いに違いないんだろうけど…。どうしよう?俺、変な匂いしないかな?

「……ちょっと聞きたいことあるんだけど聞いていいか?」

「?いいけどその言い方だと重い系?」

「いや、そんなに重くはない…と思う。」

俺が気になったこと…というより思い出したこと。それは…

「北風って一時期冷たいって噂聞いたことあるんだけど…なぁって思ってな。」 

 北風と体育でいきなり「話しかけないで」と言われた事件。それを久しぶりに思い出した。最近は北風と関わることが多かったが、北風は明るい性格と知ったから思い出すことはほとんどなかった。

 ただ映画の中で主人公の女性が「触らないで!」って言って拒絶したシーンがあって「そういや俺もあんなことされたな。言われた方って結構傷つくんだよなぁ。」って思い出した。

 聞こうと思ったんだが、タイミングがな。最後のシーンが強烈だっただけに話しかけるのは気が引けた。トイレ終わったら聞こうと思ったらナンパされてるし。このままじゃタイミングなくなりそうだから北風の機嫌が良さそうな今聞くことにした。

「…?そんな噂あったの?」 

 やべっ。俺がされてるんだからみんなもされて噂になっているんだと思ったらなかったのかよ。え?俺だけされてたの?

「………俺も陽から聞いただけで知らないんだけどなぁー。」

 ごめんな、陽。お前のせいにしてしまって。

「…そうなんだ。そうだね~。それいつぐらいとか知ってる?」

「……夏休み終わった辺りに聞いた気がする。」

 正確に言うと9月後半。なかなか強烈な出来事ゆえに忘れていない。日にちは忘れたけど。ちなみにその日の種目はテニスだった。

「夏休み終わった辺りか~。多分わかったかも。」

「聞いてもいいやつか?」

「いいよ。アイツだよ。荒木くんが文化祭で殴ったアイツと色々あって別れたのが8月の最後の方だったんだけどね。その後、ちょっと男子が怖くなったことが1週間ぐらいあって。そのあとは男子と距離をとったり、冷たくしてた気がするかも。でも基本は普通に接してたよ??冷たくしてたって言っても1人の時に見たことない人に話しかけられそうになったらトイレに行ったりしたぐらいだと思う。」

 なるほど~。つまりあの時は俺と北風が一対一だからあんなことを言ったということか。間違いなくそうだろう。仮に体育中のペアの人を見たことないって理由だけでトイレに逃げ込まれるよりマシだったと思おう。

 理由がキモイ人から話しかけられたら避けてたかもなんて言われたら死にそうだった。

 ただあの時の俺はテニスを初めてやることで楽しみだった上にペアが北風という美少女だったので舞い上がっていたのだ。俺が変態ではないということを心の中では弁明する。

「い、今は普通だよ!そ、それとも私もしかして荒木くんから見て冷たい?」

「?いいや、全く。噂で聞いてた北風って今の北風と結構違うから理由でもあるのかなって気になっただけ。」

 正しくは噂ではなく実体験だが。理由がわかってスッキリした。

「そ、そっか…。なら良かったんだけど…。」

 少し気になっていた過去の真実を聴き終わった頃にはゲームセンターに着いた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ

桜庭かなめ
恋愛
 高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。  あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。  3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。  出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!  ※特別編6が完結しました!(2026.1.21)  ※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2025.12.18)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

処理中です...