君を好きになるなんて絶対にありえない!

ジャック

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2章

第47話

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「そういえば荒木先輩は陽菜とどこで知りあったんですか?」

人混みでなかなか進まない中で陽菜ちゃんの友達の草野さんが質問してきた。

「あ、あ~、それはね…、えーと…」

?よく分からんが陽菜ちゃんは少し動揺している。多分付き合っているというのは嘘だからだろう。だが、知り合ったきっかけなら嘘をつく必要もないのに。

「俺の親ゆ……、友達に妹の陽菜ちゃんの家庭教師を頼まれてな。そこで知り合ったんだ。」

何一つ嘘はついてない。そう、ついてない。初めて出会ったのは文化祭だが、知り合ったのは家庭教師を頼まれたからのはず!なのに何故か陽菜ちゃんから少し不満げな顔をされる。

何故だ??まさかロマンティックな出会いを求めていたというのか?

「へぇ~、じゃあ荒木さんは成績いいんですか?」

「う~ん。いい方…かな。」

最近北風に負けたけど、全体で見れば順位はいい方だ。元々頭のいい人が多い高校だしな。

「じゃあ、荒木先輩は陽菜のどこが好きですか?」

「ちょっ!瀬菜!?」

「いいからいいから!」

う~ん。定番と言われたら定番の質問だな。答えやすいし。ただし本当に付き合っているならの話なんだけどな。まぁ、思ったことを素直にいえばいいか。

「…自分に素直な所かな。」

陽菜ちゃんの俺が思ういい所は自分の気持ちに素直なところ。だから嘘は少ないし、真っ直ぐで話していても楽しい。相手をストレートに褒めることだって出来る。…好きなところとは少し違うかもしれないけど。俺は陽菜ちゃんのそういう所は気に入っているので大丈夫だろう。

何故か俺の言葉を聞いて陽菜ちゃんは嬉しそうにしている。…まぁ、誰でも人から褒められたら嬉しいものか。それにしても喜びすぎというかすごくわかりやすすぎるな。意外だったのか藤崎くんと草野さんは驚いている。

「私、容姿のこと言うと思いました…。」「僕も…。」

「容姿?あぁ、陽菜ちゃんは容姿も可愛いと思ってるぞ。」

要望通りに陽菜ちゃんの容姿も褒めておく。すると陽菜ちゃんはさらに赤くなってくねくねしている。藤崎くんは笑っていて、草野さんは驚いている。本当に場がカオス状態だ。俺はどうしたらいい?

「陽菜は学校でも2大美女って言われてるぐらいに可愛いんですよ。彼氏ぐらいいてもおかしくないなーって思ってたんですけど、まさか本当にいるとは思わなくて…。相手が悪い人そうじゃなくて良かったです。陽菜をお願いしますね。」

横で陽菜ちゃんが堂々と胸を張っている。俺が美少女って陽菜ちゃんが言った時に笑ったから「どうだっ!!」って言っているんだろうな。ほんとうにわかりやすい。

それにしてもいい友達だな…。俺が中学の時にはこんないい人はいなかった。こういう友達は大事にした方がいい。将来大人になっても関わることがある。それにこういう人はまず珍しい。人生で1人か2人出会えたらいい方だろう。

ただ……本当は付き合ってないんだよな…。即興なんだよな。この事実が俺の心に傷を与える。すごく心苦しい。

「もちろん。」

俺は草野さんにそう返事をする。

そう、として任せろ。という意味を込めて。これで少し俺の心のダメージが減った。

「あ!見えてきましたよ!!」

陽菜ちゃんのその声で正面を向くと見えたのは…辺り一面がイルミネーションの色鮮やかな景色だった。これを表現するならイルミネーションの海…という言葉が相応しいだろう。

おそらく広大な庭園にイルミネーションを飾り付けているのだろう。これは絶景だ。ところどころ魚のような飾りもある。

加えて今の天候は雪。それと人が吐く白い息ががさらにイルミネーションを美しく見える。今日来て良かった…。本当にそう思えた。

普段は写真なんて興味の欠片もない俺がつい携帯で撮ってしまうほどに魅力がある。

「先輩!し、写真!一緒に撮りましょう!」

「おう。いいぞー。」

「あ、じゃあ私達も撮ろっか。」

「そうだねー」

ということでペア同士でイルミネーションを背景に写真を撮ることになった。

「はい、チーズ!」

先に陽菜ちゃんが藤崎・草野ペアを撮影する。ただ2人はガッチリと密着している状態。俺と陽菜ちゃんが付き合ってるってことになっている以上次はあれぐらいはしなきゃならないのか…。順番逆にすればよかったかな?陽菜ちゃんは撮っている最中に顔を赤らめていた。

何枚か撮影したら攻守交代。今度は俺達の番だ。

だが…、

「陽菜ちゃん、遠くない…?」

「う、うぅ…。別にいいんです!」

「陽菜、遠いよぉ。もっと近づいて!」

「このまま撮って!」

そんなに俺と近づくのが嫌か…。なんか少しショックだな。もしかして臭うとか?俺今日臭かったか?こういうのって自分で匂っても分からないんだよなあ。

「川野さん、さすがにフレームに収まらないよ?」

藤崎くんのその言葉で陽菜ちゃんが少しずつだけど俺のほうによってきてくれた。

「もっと!もっと!」

「う、うぅ~。」

結構来てくれたが草野さんはまだ要求する。もう1歩分ぐらいの距離まで来てるんだけどな。

「もっと!!」

「絶対にフレームに収まってるでしょ!!?」

陽菜ちゃんが草野さんに反論するが全くもってその通りだと思う。この距離でフレームに収まっていないなら驚きだ。

「付き合ってるんだからそれぐらいいいと思うよ。陽菜に近寄られて嫌な男なんて居ないと思うし!」

「せ、先輩はいいんですか?」

「俺か?全然いいけど?別に無理する必要もないと思うぞ。本当に付き合ってるわけじゃないから。」

似たようなこと昨日やってるし。むしろ昨日の方が恥ずかしいわ。

「む、無理はしてません!じ、じゃあ先輩右腕貸してください!」

なんか言い方がこわいな…。いや、わかってるんだよ?手を繋ぐとかそういうことなんだろうけど。

「それじゃあ行きますよー!」

俺は陽菜ちゃんに右腕を差し出す。その瞬間に陽菜ちゃんが俺の右腕に抱きついて来た。

これって…さっきのカップルがやってた…。っていうか柔らか…。

「はい、チーズ!!」

そしてそんな事を考えていたらシャッター音が鳴り響いた。

「ひ、陽菜ちゃん…?」

「せ、先輩が言ったんですよ!」  

俺こんなこと言ってない。手を繋ぐ以上のことをするとは思わなかった。ヤバいめっちゃ恥ずかしいわ。これが写真に残ってるのかよ。絶対顔真っ赤だろ…。雪のせいってことにしよ。

それから4人で写真を撮ってからお別れすることになった。俺達はバイクできたけど向こうはバスらしいし。それに時間も気になるしな。
 
「んじゃあ、俺達もそろそろ帰るか…。まだやりたいこととかある?」

「そうですね…。じゃあツーショット写真撮りたいです。」

「えっ?さっき散々撮っただろ?」

「あ、自撮りで、です!」

なんか違いでもあるのだろうか?俺には全く分からない。女子はそういう所も大事なのか?ツイッターとかインスタ用とかがあるって聞くし。

陽菜ちゃんの指示で俺が写真を撮ることになった。俺の隣にびったりと陽菜ちゃんがくっつく。そうでもしないと2人共映らないからな。

「んじゃあ、笑って~」

「いぇーい!!」

「はい、チーズ!」

パシャ!

「ありがとうございます!家に帰ったらまた写真送りますね?」

「おう。」

2人で写っている写真は全てを陽菜ちゃんの携帯で撮影した。陽菜ちゃんの携帯の方が最新型だったからな。撮影したのは俺。

「じゃあ、帰るか。」 

「はい!そうしましょう!」

そう言って陽菜ちゃんはおれに手を出して来た。「手を握れ」って意味だろうな。俺は陽菜ちゃんの手を握る。北風と同じく柔らかくて暖かい。けど少し小さい手だった。

「先輩の手…暖かいです…。」

「陽菜ちゃんの手はすこし冷たいな…。」

「また…来ましょうね。」

「……陽菜ちゃんが合格したら俺にお願いしたらいい。」

「それはまた別ですよ~。」

別なのかよ。ここならそんなに高くないし、何より見てて飽きないのでお願いなら最適なんだけどなぁ。 

「そういえば先輩…なんか女の子の扱い慣れてますね?今も手を繋いでも焦ってる感じありませんし。本当は付き合ったことあるんじゃないですか?」

「…?あぁ、そういえばそうだな。」

確かに女の子と手を繋いでいるのにそんなに緊張してない。いや、少しはしてるんだけど、前ほどじゃない。原因は分かっている。北風だろう。北風に抱いてた不信感というかそういうものが解消されてたことと北風と結構関わったからだろうな。 


「けど付き合ったことは無い。告白もされたことないしな。陽菜ちゃんってやっぱり学校でも結構告白されてるんだろう?陽菜ちゃんこそ付き合ったことあるんじゃないのか?」

「それは無いです!!本当ですよ!?」

「お、おぅ。」

ちょっとした仕返しぐらいの気持ちだったがすごく反論された。

2人で手を繋いだまま色々な会話を楽しみながら駐車場まで戻った。

「う、うぅ。またバイクですかぁ…。」

「仕方ないだろ?」

「ゆっくりでお願いしますね?」

最初はどうなるかと思ったけど特に話のネタが尽きるとか沈黙が続くとかあんまりなかったし、会話も楽しくて飽きることは無かった。

準備が終わって安全確認もしたらエンジンをかける。

「しっかりつかまってるな?」

「はい!もちろんです!!」

来る時と同じく全力で俺にしがみついている。

「それじゃあ行くぞー。」

「ひゃぅあ!」
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