君を好きになるなんて絶対にありえない!

ジャック

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3章

第2話

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移動は当然だが、姉ちゃんの車になった。

「良かったです…。またバイクと言われたらどうしようかと思いました…」

「さすがに7人乗りのバイクはないだろ」

「え??バイク??私、聞いてないんだけど?」

あ、やばい。なんか墓穴ほった気がした。

「あれー?言ったことなかったけー?うーん言った気はするんだけどなー」

これぞ秘技すっとぼける。なんだかんだ言って北風とは陽の次ぐらいには関わりがある。しかも北風には友達が多い。つまり記憶がはっきりしてないところを狙う作戦─!

「ううん。聞いたことないよ??」

マジか…。断定してきたよ。せめてもうちょい思い出せよ。

「…いや、友達いなかくて暇だったから取ったんだよ。以上」

その瞬間にその場がシー…ンと静まり返る。え、何?無言?やめてそれ。本当に哀れみたいじゃん。

「ご、ごめんね、荒木くん。変なこと聞いちゃって…」

謝れるのがこんなに辛いとは思わなかった…。

「神楽先輩…。そ、その…そんな事情があったのに乗せてもらってあ、ありがとうございました」

なんだろう…。礼を言われてるのはわかるんだが全く嬉しくない。いや、本当はバイクが形見だからだよ?ホントダヨ?

「アッハッハ!面白いねぇ。それじゃあ出発しよっか!」

いや、笑ってる場合じゃないから。俺にとっては死活問題だからな。
 
運転席に月夜姉ちゃん。助手席に雪乃ちゃん。2列目には左から雨宮さん、陽菜ちゃん、北風。そして3列目には陽と俺が座っている。

先程までとは違い、車内では朗らかな空気が流れていた。運転も安全だし、最高だな。

車でも混んでいることもあってすこし時間はかかってしまったが、その時間も結構楽しかった。しりとりしたり、お互いのこと話したり…。こういうのはいつぶりだろうか?

「到着~」

着いた場所はここら辺でも結構大きい神社。他の人もここに来ることが多い。例に漏れず荒木家も新年にはよくここに来ていた。

「荒木くん、荒木くん」 

「どした?北風」

車から降りると北風は俺の方に近づいてきて服の裾を引っ張る。……前も思ったけど本当に北風っていい匂いするんだよなぁ。変な意味ではない!断じて!

「髪…、整えなくていいの?」

実は今日、特に髪の毛はいじっていない。だってこんな休日にまでいちいち髪を整えるなんてめんどくさいだろ。それに髪が目にかかっているとなんか安心するんだよな。視界が狭まる分見たくないもの見なくていいから!

でもなんで北風がそんなこと気にするんだろう?そう思ってすぐに答えにたどり着いた。北風はナンパを警戒しているんだろう。あのクリスマスイブの時も凄かったもんな。

「まぁ、大丈夫だ。心配することない。姉ちゃんは俺の倍ぐらいは強いからな」

「へ?荒木くんより強いの?tukiさんが?」

「あぁ。仮に俺と姉ちゃんが戦うなら俺は3撃でやられる自信がある」

嘘である。

本当は一撃でやられるだろう。3撃持てば奇跡!しかし友達の前で姉に一撃で負けるなんて言えない!

相手が金髪ゴリラなら勝負にならない所ではない。大怪我を負っても仕方ないと言える。

「だから万が一があるなら姉ちゃんを頼れ。何とかしてくれるから」

みんなはすでに神社に向かって歩き出している。俺もゆっくりとではあるが歩き出す。

まぁ、そもそもナンパも狙うなら先頭に歩く姉ちゃんを狙うから北風が狙われることは少なくなるだろう。

「そ、そうなんだ…。私は……荒木くんを頼りにしたかったのに……。そしたら……あの時みたいに……」

「?なんかいったか?」

「な、なんでもない!」

?少し怒らせてしまった…ようだな。

今日は晴天だが、少し北風が強い。だから声が拾いづらいのだ。息を吐くと白く染まり、本当に冬という感じがする。

「まぁ、北風が困ってたら俺も助けるから。だからそこまで心配しなくてもいいと思うぞ」

これは本音。桜さんから頼まれてるってこともあるけど、そうじゃなくてもきっと俺は助けるだろう。

「うん!じゃあ、頼りにしてるね!」

先程とは違い、花のようないつもの笑顔が見れた。いつ見ても北風には笑顔が似合うと思ってしまう。

「ほら、行こ!」

「そう、慌てんなって。転ぶぞ」

北風が俺の手を取り、前にいるみんなの元へ走り出す。

さてさて今年が始まったばかりだが、どうやら運はそこまで悪くなさそうだ。
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