錬金魔導師、魔法少女を奴隷調教する

濡れ雑巾と絞りカス

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第1章

魔法少女奴隷の目覚め

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「……………ぅ………っ!」

 柔らかく清潔な大きなベッドの上で、プリズマシャインは目を覚ました。

(……ここは…?)

 周囲の気配を探りながら、視線だけを動かし確かめる。
 高級ホテルの一室のような、大きな部屋だ。見えている範囲でドアは一つ。壁際には鏡が付いた奥行きの短い机、窓には遮光カーテンが轢かれ、その前には一人用のソファーが2脚丸テーブルを挟んで向かい合っている。
 意識を失う前に、目深くフードを被った錬金術師に敗北し、何度も意識を失うほどの激痛と共に隷属呪印を刻まれたことを思い出し、手足を動かしながら身体の調子を確認しようと神経を研ぎ澄ます。

(少し気だるいけれど、身体のどこにも痛みはない…動く分には問題なさそうね)

「起きたか」

 声に敵意を感じなかったプリズマシャインは、体にかけられたシーツを抑えながらゆっくりと上半身を起こし声のした方へ視線を向ける。
 机の少し横、仰向けのままでは見えなかった位置に置かれた椅子に、少年が座っている。
 少年と目があった。

「あなた…松崎君?」

 先程脳裏に浮かんだ錬金魔道士と同じ服装。記憶の中の錬金魔道士とは違い、フードが取り払われ顕になっていたその顔は、少女の通う学園の同級生のものだった。

「天才魔法少女様に名前を覚えてもらっているとは光栄だな。プリズマシャイン。いや、輝山 茉莉香(きやま まりか)」

「―――なっ、あなたなぜ!」

 とっさに自分の状態を確認する。魔力の状態や鏡に映る髪の色から変身状態であることを確かめ、それで更に混乱する。

(変身状態で本名をっ!?しかもあの服装は…どうして同級生の松崎君が…)

 魔法少女の衣装も、レオタードと膝上まで覆うソックスは身につけているものの、それ以外の防具は無い。変身し直そうとすると急激に力が抜け、魔法が使える気配がない。
 魔法少女同士と一部の支援者しか知るはずのない彼女の正体を、眼前の少年に知られていることに対しての危機感も湧き上がってくる。

「説明をする前に、まずはこれを飲め」

 渡されたコップには、青白磁の液体が入っていた。顔を近づけると、様々な果実の良いところだけを集めて濃縮したような、芳しい香りが鼻を突き抜けた。

「これは……」

 茉莉香が恐る恐る口をつけると、一滴舌に乗った瞬間全身がとろけるような旨味が広がる。
 それまでの警戒も吹き飛び、一息に残りの液体を飲みきった。

(……美味しい)

 すると、身体と頭が異様なほどすっきりし体力・魔力ともに湧き上がるように充実した。今なら目の前の錬金魔道士ですらあっさりと倒せるのではないかと思うほどだ。

「最上位の霊薬エリクサーだ、心身の消耗が全快しただろう」
「えっ!最上位霊薬って、そんな貴重なもの!?」

 最上位霊薬と言えば、一口で瀕死の人間すら全快しあらゆる病気や呪い、状態異常を治すと言われた神秘の霊薬だ。魔界の奥深く、濃密な魔力溜の中から極稀にしか取れず、神々でなければ作り出せないとまで言われた超がつくほどのレアアイテムである。
 茉莉香は以前に魔人族との大規模な戦闘の際、四肢が欠損するほどのダメージを負い死にかけていた仲間の魔法少女が、一口の最上位霊薬でまたたく間に全快した光景を一度だけ見たことがあった。

「貴重でもねぇよ、すぐ作れるし売るほどある。というかそいつはウチの看板商品の一つだ」
「看板商品…!?すぐ作れるって…」

 神々の霊薬を看板商品扱いする現実離れした征司の発言に、口を開けたまま手の中、コップをまじまじと見つめる茉莉香。

「重病になった金持ちとかに高額で売れるし、奴隷を嬲って遊んでいるような道楽家とかには何度もリピートしてもらえる。手足引きちぎったって、死んでなけりゃすぐ元通りに出来るからな」

「なんてっ…!?」

 最上位霊薬のあまりに残虐な使い方に、茉莉香は絶句する。

「さてと、霊薬で頭もスッキリしただろう。そろそろ色々と説明をしよう」

 座ったまま足を組み、淡々と征司は話を続ける。

「まず、俺の名前は良いな。あんたの同級生の松崎征司、聖オルセン学園高等部1年A組出席番号…はどうでもいいか」

「えっ…えぇ」

「で、俺が茉莉香のご主人さまだ」

「……はぁ!?」

 いきなりの意味不明な宣言に、茉莉香は素っ頓狂な声を上げる。

「松崎征司の正体は、【中立】を謳う錬金術師だった。俺の商売の邪魔をして多額の損害を与えた茉莉香は、捕まって奴隷呪印を刻まれて奴隷になった。つまり俺が茉莉香のご主人さま、オーケー?」

(そんな…松崎くんがこのレベルの錬金術師…2ヶ月間同じクラスにいたのに全く気づかなかった……!?しかもその奴隷って…!!)

 4月に聖オルセン学園へ入学して、出会ってからまだそれほど話したこともない同級生に、急に名前で呼ばれた驚きも感じつつ、それ以外の様々な重要事項を理解し表情がこわばる。
 同時に、自身にかけられた呪いを思い出し、先程飲んだ最上位霊薬による解呪の可能性を考えるが…。

「あぁ、当然だけど奴隷刻印はさっきの最上位霊薬じゃぁ解呪されてないぞ。自分で刻んだ呪印を自分の作った霊薬でそっこーで解呪するとか意味わかんねぇだろ?」

 と肩をすくめながら征司は続ける。
 淡い希望を一瞬で砕かれた茉莉香は、次に浮かんだ疑問を口にした。

「どうして・・・殺さなかったの」

 魔法少女が敵対する魔人族に破れた場合、その先にあるのは凄惨な死だ。今回は直接魔人族に敗れたわけではないとはいえ、目の前に意識を失った魔法少女がいれば魔人族が見逃すはずはない。つまり、眼前の男が連れ去らなければ、茉莉香は確実にあの夜殺されていたことになる。

「殺す?いやいやなんでよ。魔法少女を好きにできるって男のロマンじゃん、エロいことしたり、ストレス解消にボコったり、魔力搾り取ってもいいし場合によっちゃ仕事の手伝いをさせてもいい。有用すぎて殺す理由がねぇ」

「……馬鹿なの。私は、いえ私達魔法少女は一人じゃないのよ!あの場で殺して魔人族のせいにするならともかく…捕まえられていたら仲間が黙ってないわ。絶対に助けが来るわよ、そうしたらあなただって無事では済まないっ!!」

 自分に言い聞かせるように強気な口調で言う茉莉香に、ため息をつきながら征司が返す。

「いや、こねぇよ。魔法少女だって、今生き残っているベテラン連中はほとんど俺の顧客だ。俺に手を出すことがどういうことか、弁えてるはずだ。それにもし仮に来てもお前らじゃぁ俺には勝てねぇ」

「そんな、こと・・っ」

 身を持って体験した征司の異常な強さを思い出し、尻すぼみになり唇を噛み締める。

「まぁ、助けを信じて希望を持って今後の生活を耐え忍ぶ、というのは良いと思うけどな」

 自分の実力への絶対の自身を持ち、常々周囲に『喧嘩を売られたら誰だろうと容赦しない』と警告していた征司は、やられた以上は好きにする、という考えだ。別に助けが来るならそれで良い、来たら返り討ちにするだけだ。

「私をどうするつもりなの」

「うーん、どうするかな?正直なことを言うと、こんなことになると思っていなかったから先のことまではそんなに考えてないが…。肉奴隷的なサムシングにするのは決定として、ひとまずは今回の取引損失分、茉莉香がごめんなさいするまでお仕置きでもしようか」
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