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第三章 旦那様はモテモテです
嫉妬とダンス
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夜会の会場内で、親し気に笑い合う三人を見て、私の胸がズキンと痛む。
リーゲル様が王太子殿下と仲が良いのは知っていた。お姉様がいなくなって落ち込むリーゲル様のため、殿下自ら何度か公爵家へお見舞いに訪れたと、学院内で噂になっていたから。
けれど、まさか王女殿下とまで仲が良いことは知らなかった。
リーゲル様と王太子殿下は同級生。王女殿下は二人より二つ歳下で、私と同級生だから、歳も近いし王太子殿下と一緒にリーゲル様と過ごされることもあったんだろう。
だけど、それでも。
あんな風に仲が良いなどとは思いも寄らず。笑いながら王女殿下はリーゲル様の腕に手を置いており、彼もそれを嫌がる素振りはない。寧ろ、常々そうしているかのように、とても自然に見えてしまう。
「もしかして……リーゲル様が人形でなくなったのは、王女殿下のお陰なの?」
そんなことあるわけないと思うのに、目に映る光景が衝撃的すぎて、その考えが振り払えない。
お姉様がいなくなってから、私との初夜寸前まで動く人形と化していたリーゲル様。
でもそれは、もしかしたら私の前でそう振る舞っていただけで、実際にはもっと早く普通の状態に戻っていたのかもしれない。
彼は、公爵家嫡男として自分を律しすぎるほど律することができる人だから。
それについてはつい先日『心を入れ替える宣言』をした日から、人が変わってしまったかのように態度を変えたリーゲル様自身によって証明されている。
あんなことができるのなら、私の前と王太子殿下達の前とで別人のように態度を変えることぐらい、簡単だろう。
「そうよね。所詮私は契約上の妻なんだもの……」
リーゲル様達を見ているのが辛くて、踵を返し歩き出す。
ずっと彼が好きだった。彼に憧れていた。
だから見ているだけで幸せで、他には何も求めないと決めていた──はずだった。
「それなのに、私ともあんな風に話してほしいと思うなんて……嘘ばっかりね、私は」
結婚したばかりの頃、顔を合わすことさえないのが辛かった。ようやく顔を合わせることができるようになったと思ったら、急に優しくなって微笑んでくれるようになった。でも──。
私に向けてくれるリーゲル様の笑顔は、どこか嘘っぽいのよね……。
お姉様に向けていた笑顔とは違う。何故かそう感じていた。
そして今、王太子殿下達といる時の笑顔──あれはお姉様に向けていたものと同種のもののような気がする。
私には、絶対に向けられない類の……。
そこまで考えた時、不意に私の腕が誰かに引かれた。
「きゃっ」
そのせいでバランスを崩し、よろめくと、そっと肩を支えられる。
「ごめん。急にいなくなったから探してたんだ。無事に見つけられたのが嬉しくて、つい腕を引っ張ってしまった」
申し訳なさそうに謝ってくるアダマン侯爵令息に、私は胸の痛みを押し殺して微笑む。
「私のような地味な女を、よく見つけることができましたね。声をかけてくださった時といい、あなたには何か他の人達とは違うセンサーのような物でもついているのでしょうか?」
今日私が着ているドレスは、以前舞踏会へ着て行こうと思っていた物とは別の物だけれど、地味目な物であることに変わりはない。私のような地味で薄幸そうな顔の女が派手なドレスを着ると、ドレスに顔が負けてしまうから。
そういうわけで、煌びやかなドレスに身を包んだ令嬢が沢山いる夜会会場で、私のような地味な装いの女を見つけるのはかなり骨が折れるはずなのだけれど。
そう思って尋ねると、アダマン侯爵令息は肩を竦めた。
「みんながみんなギラギラした目の痛くなるようなドレスのご令嬢ばかりだから、そういった視点から目を逸らせば、簡単に見つけられるよ」
「そうなんですね……」
言っている言葉の意味がよく分からなかったけれど、私だけが地味なドレスを着ているから見つけやすい、というようなことを言われたのだけは分かった。
私のドレスについて地味なことを蔑むのではなく、そんな風に前向きな捉え方をされたのは初めてで、不思議な感性の人だと思いながら、嬉しさも感じる。
「あなたみたいな人、初めてです」
はにかんでそう言えば、彼が息を呑んだような音が聞こえた。
それから突然腰に腕を回され、ダンスホールへと連れて行かれる。
「えっ、あの、アダマン侯爵令息様!?」
「何その固い呼び方。僕のことはエルンストでいいよ。君は? なんて名前だったっけ?」
「あ、ええと私はグラディスと申しま……きゃあっ!」
名前を名乗り終えるよりも早く、エルンスト様が曲に合わせてターンしたため、引っ張られるように私の体も回転する。
ファーストダンスは基本的に近親者とするものであり、私はまだリーゲル様と踊っていないため、見つかると拙い。
「エルンスト様、つかぬことをお伺い致しますが、ファーストダンスのルールについては……」
「知ってるよ。知ってるけど、そんなこと気にしてたら君と踊れなさそうだったし。だから留学帰りで知らなかったってことにするつもり」
君は無理矢理僕に付き合わされたと言えばいい。と、軽やかにステップを踏みながら、エルンスト様は悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
釣られて私も微笑みながら、ファーストダンスのルールを無視したことを他の貴族にとやかく言われようとも、どうせ何かにつけて陰口ばかり言われるのだからと、割り切って楽しむことにした。
それでも、リーゲル様のことだけは、どうしても頭から離れなかったけれど。
リーゲル様の仲睦まじくというのは、単に自分の妻として他の貴族に紹介して回ることだったのかしら?
それとも、予定外に王女殿下がいらしたから、急遽そちらへ行ってしまわれただけ?
最近はとても優しくしてくれるようになったと喜んでいたけれど、あれは何かの目的があって、家の中でだけそうしてくれているだけなの?
ダンスの最中に考え事をするなど、エルンスト様に対して申し訳ないと思いながらも、悶々と考えてしまう。
そんな状態でもステップを踏み間違えることがなかったのは、単に懸命な練習の成果が成せる技だろう。
私がダンスの練習を頑張ったのは、リーゲル様と踊るためであって、決してこんな風に考えごとをしながら踊るためではなかったはずなのに、皮肉なものだ。
一体どこで狂ったんだろう?
リーゲル様が王太子殿下に呼ばれていなくなるまでは、幸せの絶頂にいると思っていた。
でも、そこから段々……。
「グラディス嬢? 笑顔が消えているようだけど大丈夫?」
考え事に没頭しすぎて、つい笑顔が消えてしまっていたようだ。
エルンスト様に声をかけられ、私は慌てて笑顔を作った。
いけない。考えごとをしていても、顔には常に笑顔を貼り付けていなくちゃ。
「大丈夫よ。あなたの足を踏まないよう、真剣だっただけ」
「なら良かった。ちなみに僕の靴の爪先は頑丈だから、多少踏まれたところで痛くも痒くもないけどね」
「ふふっ」
この夜会で、エルンスト様に出会えたことだけは幸運だった。
でも、リーゲル様は王女殿下と……。
別に二人で居たわけではない。王太子殿下も一緒だったのにも関わらず、こんなにも気になってしまうのは、あの時の雰囲気のせいだ。
凄く……自然だった。
何年もしたら、私もリーゲル様とあんな雰囲気を醸し出すことができるだろうか。
今すぐは無理だと分かっているから、地道に夫婦を続けたら、いつかは。
リーゲル様と王女殿下がどんな関係であろうと、彼の妻は私だということに間違いはない。
国に定められた政略結婚である以上、簡単に離婚などできないし、それに加えて私達の婚姻は、国内貴族の勢力を鑑みた結果でもあるため、勢力図がガラッと変わる出来事でも起きない限り離縁は不可能。
つまり、リーゲル様の心があってもなくても、私と彼はずっと夫婦でいなければならないということ。
「だから大丈夫……」
踊りながらリーゲル様の姿を探すも、見つけられずに嘆息する。
今もまだ王女殿下と話しているのか確かめたい気持ちと、他の男性とファーストダンスを踊っていることを知られたくない気持ちとで、見つけられずに安心したような、しなかったような複雑な気持ちで。
「どうせ愛されることのない結婚だもの。私の気持ちは変わらないわ」
たとえ愛されなくとも、私はずっと彼のことを好きで居続ける。
だって、冷たくされても優しくされてもリーゲル様の見た目は何も変わらないのだし。
一目惚れとはそういうものなんじゃないだろうか。
見た目。見た目が大事なのよ。一目惚れした相手というのは!
もしもこの先リーゲル様が醜悪なぐらい太られたら、離縁を考えるかもしれないけれど。
今はまだ、それを考えるには早すぎるから。
気持ちを立て直し、私は心からの笑顔でもってダンスを楽しむ。
エルンスト様以外には、きっと私と踊りたがる人なんていないだろうから、今を精一杯楽しまないと。
リーゲル様が王太子殿下と仲が良いのは知っていた。お姉様がいなくなって落ち込むリーゲル様のため、殿下自ら何度か公爵家へお見舞いに訪れたと、学院内で噂になっていたから。
けれど、まさか王女殿下とまで仲が良いことは知らなかった。
リーゲル様と王太子殿下は同級生。王女殿下は二人より二つ歳下で、私と同級生だから、歳も近いし王太子殿下と一緒にリーゲル様と過ごされることもあったんだろう。
だけど、それでも。
あんな風に仲が良いなどとは思いも寄らず。笑いながら王女殿下はリーゲル様の腕に手を置いており、彼もそれを嫌がる素振りはない。寧ろ、常々そうしているかのように、とても自然に見えてしまう。
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お姉様がいなくなってから、私との初夜寸前まで動く人形と化していたリーゲル様。
でもそれは、もしかしたら私の前でそう振る舞っていただけで、実際にはもっと早く普通の状態に戻っていたのかもしれない。
彼は、公爵家嫡男として自分を律しすぎるほど律することができる人だから。
それについてはつい先日『心を入れ替える宣言』をした日から、人が変わってしまったかのように態度を変えたリーゲル様自身によって証明されている。
あんなことができるのなら、私の前と王太子殿下達の前とで別人のように態度を変えることぐらい、簡単だろう。
「そうよね。所詮私は契約上の妻なんだもの……」
リーゲル様達を見ているのが辛くて、踵を返し歩き出す。
ずっと彼が好きだった。彼に憧れていた。
だから見ているだけで幸せで、他には何も求めないと決めていた──はずだった。
「それなのに、私ともあんな風に話してほしいと思うなんて……嘘ばっかりね、私は」
結婚したばかりの頃、顔を合わすことさえないのが辛かった。ようやく顔を合わせることができるようになったと思ったら、急に優しくなって微笑んでくれるようになった。でも──。
私に向けてくれるリーゲル様の笑顔は、どこか嘘っぽいのよね……。
お姉様に向けていた笑顔とは違う。何故かそう感じていた。
そして今、王太子殿下達といる時の笑顔──あれはお姉様に向けていたものと同種のもののような気がする。
私には、絶対に向けられない類の……。
そこまで考えた時、不意に私の腕が誰かに引かれた。
「きゃっ」
そのせいでバランスを崩し、よろめくと、そっと肩を支えられる。
「ごめん。急にいなくなったから探してたんだ。無事に見つけられたのが嬉しくて、つい腕を引っ張ってしまった」
申し訳なさそうに謝ってくるアダマン侯爵令息に、私は胸の痛みを押し殺して微笑む。
「私のような地味な女を、よく見つけることができましたね。声をかけてくださった時といい、あなたには何か他の人達とは違うセンサーのような物でもついているのでしょうか?」
今日私が着ているドレスは、以前舞踏会へ着て行こうと思っていた物とは別の物だけれど、地味目な物であることに変わりはない。私のような地味で薄幸そうな顔の女が派手なドレスを着ると、ドレスに顔が負けてしまうから。
そういうわけで、煌びやかなドレスに身を包んだ令嬢が沢山いる夜会会場で、私のような地味な装いの女を見つけるのはかなり骨が折れるはずなのだけれど。
そう思って尋ねると、アダマン侯爵令息は肩を竦めた。
「みんながみんなギラギラした目の痛くなるようなドレスのご令嬢ばかりだから、そういった視点から目を逸らせば、簡単に見つけられるよ」
「そうなんですね……」
言っている言葉の意味がよく分からなかったけれど、私だけが地味なドレスを着ているから見つけやすい、というようなことを言われたのだけは分かった。
私のドレスについて地味なことを蔑むのではなく、そんな風に前向きな捉え方をされたのは初めてで、不思議な感性の人だと思いながら、嬉しさも感じる。
「あなたみたいな人、初めてです」
はにかんでそう言えば、彼が息を呑んだような音が聞こえた。
それから突然腰に腕を回され、ダンスホールへと連れて行かれる。
「えっ、あの、アダマン侯爵令息様!?」
「何その固い呼び方。僕のことはエルンストでいいよ。君は? なんて名前だったっけ?」
「あ、ええと私はグラディスと申しま……きゃあっ!」
名前を名乗り終えるよりも早く、エルンスト様が曲に合わせてターンしたため、引っ張られるように私の体も回転する。
ファーストダンスは基本的に近親者とするものであり、私はまだリーゲル様と踊っていないため、見つかると拙い。
「エルンスト様、つかぬことをお伺い致しますが、ファーストダンスのルールについては……」
「知ってるよ。知ってるけど、そんなこと気にしてたら君と踊れなさそうだったし。だから留学帰りで知らなかったってことにするつもり」
君は無理矢理僕に付き合わされたと言えばいい。と、軽やかにステップを踏みながら、エルンスト様は悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
釣られて私も微笑みながら、ファーストダンスのルールを無視したことを他の貴族にとやかく言われようとも、どうせ何かにつけて陰口ばかり言われるのだからと、割り切って楽しむことにした。
それでも、リーゲル様のことだけは、どうしても頭から離れなかったけれど。
リーゲル様の仲睦まじくというのは、単に自分の妻として他の貴族に紹介して回ることだったのかしら?
それとも、予定外に王女殿下がいらしたから、急遽そちらへ行ってしまわれただけ?
最近はとても優しくしてくれるようになったと喜んでいたけれど、あれは何かの目的があって、家の中でだけそうしてくれているだけなの?
ダンスの最中に考え事をするなど、エルンスト様に対して申し訳ないと思いながらも、悶々と考えてしまう。
そんな状態でもステップを踏み間違えることがなかったのは、単に懸命な練習の成果が成せる技だろう。
私がダンスの練習を頑張ったのは、リーゲル様と踊るためであって、決してこんな風に考えごとをしながら踊るためではなかったはずなのに、皮肉なものだ。
一体どこで狂ったんだろう?
リーゲル様が王太子殿下に呼ばれていなくなるまでは、幸せの絶頂にいると思っていた。
でも、そこから段々……。
「グラディス嬢? 笑顔が消えているようだけど大丈夫?」
考え事に没頭しすぎて、つい笑顔が消えてしまっていたようだ。
エルンスト様に声をかけられ、私は慌てて笑顔を作った。
いけない。考えごとをしていても、顔には常に笑顔を貼り付けていなくちゃ。
「大丈夫よ。あなたの足を踏まないよう、真剣だっただけ」
「なら良かった。ちなみに僕の靴の爪先は頑丈だから、多少踏まれたところで痛くも痒くもないけどね」
「ふふっ」
この夜会で、エルンスト様に出会えたことだけは幸運だった。
でも、リーゲル様は王女殿下と……。
別に二人で居たわけではない。王太子殿下も一緒だったのにも関わらず、こんなにも気になってしまうのは、あの時の雰囲気のせいだ。
凄く……自然だった。
何年もしたら、私もリーゲル様とあんな雰囲気を醸し出すことができるだろうか。
今すぐは無理だと分かっているから、地道に夫婦を続けたら、いつかは。
リーゲル様と王女殿下がどんな関係であろうと、彼の妻は私だということに間違いはない。
国に定められた政略結婚である以上、簡単に離婚などできないし、それに加えて私達の婚姻は、国内貴族の勢力を鑑みた結果でもあるため、勢力図がガラッと変わる出来事でも起きない限り離縁は不可能。
つまり、リーゲル様の心があってもなくても、私と彼はずっと夫婦でいなければならないということ。
「だから大丈夫……」
踊りながらリーゲル様の姿を探すも、見つけられずに嘆息する。
今もまだ王女殿下と話しているのか確かめたい気持ちと、他の男性とファーストダンスを踊っていることを知られたくない気持ちとで、見つけられずに安心したような、しなかったような複雑な気持ちで。
「どうせ愛されることのない結婚だもの。私の気持ちは変わらないわ」
たとえ愛されなくとも、私はずっと彼のことを好きで居続ける。
だって、冷たくされても優しくされてもリーゲル様の見た目は何も変わらないのだし。
一目惚れとはそういうものなんじゃないだろうか。
見た目。見た目が大事なのよ。一目惚れした相手というのは!
もしもこの先リーゲル様が醜悪なぐらい太られたら、離縁を考えるかもしれないけれど。
今はまだ、それを考えるには早すぎるから。
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