2 / 4
開闢令嬢その2(2)
しおりを挟む
「さっさと帰りませんこと~~!?こんな奥に行ったってどうせ何も無いですわ!!」
「今更引き返せるはずもなかろうが!とはいえ、ここから先は文献にも何も書いていないからなあ~~!足元には十分、気をつけるように……」
「うわあぁぁっぁぁっぁぁっぁっ!!!」
教授の足元の床は大きな音を立てて、いきなり崩落しました。姫岡は忍ばせておいたハンカチーフを咄嗟に取り出し、垂直に落下していく教授の腕を掴みました。
「……ったくもう!!鈍臭いこと!!さっさと自力で這い上がりなさいよっ…」
「ああああぶね!!死ぬところだったぺよ!!ん、ンン……?」
「庶民は言語を解しませんこと!?早くお上がりになって!!愚鈍もいい加減にしなさいな……!!」
「わかってるって……!それよりだ!落とし穴の壁に文字が書いてある!ええっと、これは…古代令嬢文字Cだな…『高貴ならざるもの…ここに眠る…』」
「早く!!!汗をかきすぎて庶民になってしまいそうですわ!!」
「ん………うわあああ!!!」
「きゃあ!!さっきからなんですの!!自力で這い上がれるなら最初からそうなさい!!」
「し…した…!」
「下に何が……ってイヤーーーッ!!!」
落とし穴の下にはブービートラップが展開されており、たくさんの白骨化した骸が転がり落ちていたのです。骸はどれも図体が大きく、金属製の重そうな鎧や兜をつけていました。
「死体だぁ!!いやだ!!ああはなりたくねぇ!!」
「…骨のくせして…なんて無骨なのかしら!!そのような身なりでいるからこんな無様な死に方するのよ!!」
「衝撃の受け方が意味わからんかて!!」
「…ともかくだぁ!ここにはトラップが張り巡らされていて、侵入者をブロックする仕組みが施されているということがわかった!」
「つまりは危険ということ!ですから本日のところは引き上げあそばせて…」
「…そのつもりだったが、なんかきた道が塞がれてて通れんかったっっ!!」
「……ハァアアアアアアア!?!?万死!!万死ですわ!!」
「待て待て待て…!考えてもみろ!トラップがあるということは、この遺跡を造った者が、招かれざる客を防ごうとしているということ!そして侵入者を防ごうとしているということは、何か取られてはならないものが、知られてはならない何かが隠されているということ!我々は着々と秘密に近づいているのだ!!」
「…楽観が過ぎますわ!!途中でお殺されあそばせたらどうするおつもり!?」
「トラップ付きの洞窟なら、どうせここで立ち往生しようと死を待つだけ!!それに、わざわざこんなトラップを張り巡らしてまで秘密を残すってのは、秘密に相応しい者を選別しようとしてるからだろ!?秘密まで無事に辿り着けた奴を殺す理由がない!!だったらさっさとこの洞窟を攻略して、外に出るのが一番ってわけよ!!」
「……んもう!!何か算段はありますの!?」
「どうやら、『高貴』がキーワードらしい。文献にも頻出の単語だったし、私が入った落とし穴は、高貴でないものを弾くために作られた模様だった!」
教授は体についた砂埃をパッパと払い、水筒と輪ゴムで止められた食べかけのおかきを持ち地面へ勢いよく座りました。
「ああ~~^よっこいしょ!つまりぁ、高貴に振る舞っていればいつかは『令嬢』の秘密に辿り着ける!今はそう信じて軽くお茶菓子でも───」
「あああぁぁああぁぁぁぁぁぁぁ」
再び崩れる石床、一瞬で見えなくなる奈落まっしぐらの教授、悲鳴の残響…しかし、姫岡に迷いはありませんでした。ちょっとしかありませんでした。
「はぁぁぁ…もおおお!!!……もおおおおおおお!!!あなたがいらっしゃらないと、卒論が書けないじゃないのぉーーーー!!!」
忍ばせておいたパラソルをスッとひろげ、怒りながらも慎ましく麗しく、己の身を案じることもせず穴へ飛び込んでいくその高貴な様子はまさしく、まさしく───。
「ほお、これはまた面白い令嬢がきたものだ。少しは妾を楽しませておくれよ」
「今更引き返せるはずもなかろうが!とはいえ、ここから先は文献にも何も書いていないからなあ~~!足元には十分、気をつけるように……」
「うわあぁぁっぁぁっぁぁっぁっ!!!」
教授の足元の床は大きな音を立てて、いきなり崩落しました。姫岡は忍ばせておいたハンカチーフを咄嗟に取り出し、垂直に落下していく教授の腕を掴みました。
「……ったくもう!!鈍臭いこと!!さっさと自力で這い上がりなさいよっ…」
「ああああぶね!!死ぬところだったぺよ!!ん、ンン……?」
「庶民は言語を解しませんこと!?早くお上がりになって!!愚鈍もいい加減にしなさいな……!!」
「わかってるって……!それよりだ!落とし穴の壁に文字が書いてある!ええっと、これは…古代令嬢文字Cだな…『高貴ならざるもの…ここに眠る…』」
「早く!!!汗をかきすぎて庶民になってしまいそうですわ!!」
「ん………うわあああ!!!」
「きゃあ!!さっきからなんですの!!自力で這い上がれるなら最初からそうなさい!!」
「し…した…!」
「下に何が……ってイヤーーーッ!!!」
落とし穴の下にはブービートラップが展開されており、たくさんの白骨化した骸が転がり落ちていたのです。骸はどれも図体が大きく、金属製の重そうな鎧や兜をつけていました。
「死体だぁ!!いやだ!!ああはなりたくねぇ!!」
「…骨のくせして…なんて無骨なのかしら!!そのような身なりでいるからこんな無様な死に方するのよ!!」
「衝撃の受け方が意味わからんかて!!」
「…ともかくだぁ!ここにはトラップが張り巡らされていて、侵入者をブロックする仕組みが施されているということがわかった!」
「つまりは危険ということ!ですから本日のところは引き上げあそばせて…」
「…そのつもりだったが、なんかきた道が塞がれてて通れんかったっっ!!」
「……ハァアアアアアアア!?!?万死!!万死ですわ!!」
「待て待て待て…!考えてもみろ!トラップがあるということは、この遺跡を造った者が、招かれざる客を防ごうとしているということ!そして侵入者を防ごうとしているということは、何か取られてはならないものが、知られてはならない何かが隠されているということ!我々は着々と秘密に近づいているのだ!!」
「…楽観が過ぎますわ!!途中でお殺されあそばせたらどうするおつもり!?」
「トラップ付きの洞窟なら、どうせここで立ち往生しようと死を待つだけ!!それに、わざわざこんなトラップを張り巡らしてまで秘密を残すってのは、秘密に相応しい者を選別しようとしてるからだろ!?秘密まで無事に辿り着けた奴を殺す理由がない!!だったらさっさとこの洞窟を攻略して、外に出るのが一番ってわけよ!!」
「……んもう!!何か算段はありますの!?」
「どうやら、『高貴』がキーワードらしい。文献にも頻出の単語だったし、私が入った落とし穴は、高貴でないものを弾くために作られた模様だった!」
教授は体についた砂埃をパッパと払い、水筒と輪ゴムで止められた食べかけのおかきを持ち地面へ勢いよく座りました。
「ああ~~^よっこいしょ!つまりぁ、高貴に振る舞っていればいつかは『令嬢』の秘密に辿り着ける!今はそう信じて軽くお茶菓子でも───」
「あああぁぁああぁぁぁぁぁぁぁ」
再び崩れる石床、一瞬で見えなくなる奈落まっしぐらの教授、悲鳴の残響…しかし、姫岡に迷いはありませんでした。ちょっとしかありませんでした。
「はぁぁぁ…もおおお!!!……もおおおおおおお!!!あなたがいらっしゃらないと、卒論が書けないじゃないのぉーーーー!!!」
忍ばせておいたパラソルをスッとひろげ、怒りながらも慎ましく麗しく、己の身を案じることもせず穴へ飛び込んでいくその高貴な様子はまさしく、まさしく───。
「ほお、これはまた面白い令嬢がきたものだ。少しは妾を楽しませておくれよ」
0
あなたにおすすめの小説
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
悪役令嬢の大きな勘違い
神々廻
恋愛
この手紙を読んでらっしゃるという事は私は処刑されたと言う事でしょう。
もし......処刑されて居ないのなら、今はまだ見ないで下さいまし
封筒にそう書かれていた手紙は先日、処刑された悪女が書いたものだった。
お気に入り、感想お願いします!
悪役令嬢のビフォーアフター
すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。
腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ!
とりあえずダイエットしなきゃ!
そんな中、
あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・
そんな私に新たに出会いが!!
婚約者さん何気に嫉妬してない?
悪役令嬢の逆襲
すけさん
恋愛
断罪される1年前に前世の記憶が甦る!
前世は三十代の子持ちのおばちゃんだった。
素行は悪かった悪役令嬢は、急におばちゃんチックな思想が芽生え恋に友情に新たな一面を見せ始めた事で、断罪を回避するべく奮闘する!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる