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あまねちゃんの場合(ちょー健全なお話です)

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 「あまねちゃんさぁ。物多くない? なんでこんなに服あるのか意味わからないし、この本たちも読んでないんでしょ…」
白井さんは私の家に来てくつろいでいる。
くつろいでいるはずなんだけど、我が家を物色している。
「白井さん、アプリでいい感じの子がいない時に私の家に来るのはいいけど、いちいちうるさいですよ」
私たちは元々、SNS上で出会った。
彼が裏垢男子をやってた頃に。

 「あまねちゃんってなんで俺の事フォローしてきたの?」
白井さんは我が家で1番居心地がいいソファーに寝っ転がった状態で話しかけてくる。
マジでいつもの事だけど、私がコーヒーを入れてる間に私の座る場所無くすのやめて欲しい。
仕方ないのでソファーの前に座る。
我が家にはソファーの前にいい感じのテーブルがあるので、そこにコーヒーを置いて話始める。
「確か、初めてできた彼氏と別れて、性欲は溜まってたのに初めては奪ってくれなくて、大手裏垢男子様に頼ったら素敵な初体験ができるかなぁって思いました」
これでいいですかね?って顔をするが、彼は私を見ていなかった。
またアプリすか。
それとも仕事かな。
なんでもいいけど、私が質問に答えたのに適当に返事するのやめて欲しいし、さりげなく手が私の体に伸びてるのもなんだかなぁなのよ。

 そんな感じの彼だが、やるときゃやる男だから人としては嫌いでは無い。
今だって裏垢男子と言う経験を活かした活動をしてるし。

 「ふーん。結局あまねちゃんとはしてないけどねぇ。まだ処女だったりする?」
「してないっすね。白井さん以外の素敵な方としたので処女ではないですよ」
あっそ。って少しムスッとしながら、彼は体を起こして周りをキョロキョロした。
「要らない服とか要らない本売りに行かない? 今日暇だしあまねちゃんも少しは家を綺麗にしたいっしょ? いくらでも手伝うからとりあえずここにいらないもの全部持ってきな」

 暇な白井さんのためにも不用品を売ることにした。
家が少し綺麗になるならいいかなの気持ちもあるけどね。
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