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須賀くん

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「ねえ…須賀くん、ここって… あの…」
「何…なんか問題…?」
「や… 問題っていうかさ…ちょっと…」

そこはまさしく、そういう場所…
そういう、場所だった。

つまり、男女が…いや、限んないか…
とにかくそういう目的で使うであろうそんな場所…つまりラブホテルだ…

僕自身、ほんの数回しか入ったことのない場所…途中須賀くんに何もいえず、手を引かれるまま既に入ってしまったし…もう…今となっては中に入るのを誰にも見られていないことを、祈るしかない…

須賀くんが中央の大きなベッドにボスンと腰をかけ、まだ立ったままの僕を見上げる。

「ここまでノコノコ付いてきて…今更何言ってんの?先生。」
「… … だって… その…須賀くんが…」
「俺が…何…?」
「その…須賀くんがなんだか、映画館の後から僕の方見て話してくれないし… 」
「…それで… なに…?なんでノコノコついてきたのかって、聞いてんだけど」

やっぱり、須賀くんはなんだか不機嫌だ…
先輩とのことを疑っているのかもしれないと、頭の隅で考える。
「須賀くんが怒ってるみたいだから…」
「… へーー…」

須賀くんがゆっくり下を向く。

「先生はさ…俺が怒ってたらその行き先がどこであっても、こんな…ホテルとかでもノコノコついてくんだ… へー…」

「そ…それは… 」言葉が出ない…

「アイツが…例えばさっきのあの男が怒ってたら、先生の手を引いたら…やっぱり同じように、こんな場所でもついてくんだ…へー…」

「そ…そんな… 」僕は固まる。

やっぱりだ…きっと疑ってる…
少なくとも僕と彼のこと…普通の…ただの知り合いとか先輩後輩の関係じゃないと、勘付いている…のかもしれない…

「ほらな…ハッキリ行かねえって、言わねえじゃん、先生…とんだ尻軽だな… はは…」

「し…」
尻軽だなんて…普段の須賀くんは絶対に言わない…のに… なんだか…

「てかセンセ…あいつ、誰…?先輩とか後輩とかそういう説明はもういい……先生にとって、アイツ…なに… …?」

「… … … 」
もう…
言わざるを得ない…事実だし仕方ない。なにより…須賀くんに隠しごとなんてしたくない…

  僕はゆっくりと、口を開いた。

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