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堂々

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なんとなく、話を逸らす。

「うん…それはまあ…ごめん、また…にして欲しい。俺…いつかちゃんと絶対、おまえに話すからさ。
それより、おまえ、田口さんとは…どうなってるんだ…?そ…その…どこまで…いってんだ…?あ、単なる…興味、なんだけどさ…彼女、可愛いし…俺も、今後の参考にしたくて…」

そう言うと、寺崎が不思議そうな顔をして俺を見返す。

「僚介が…そういう話…話題にするのって、なんか違和感…おまえ、苦手じゃなかったか?そういう話…あ、…おまえ、誰かに、あ…まさか田口になんか言われた…のか?」
   
…ド、ドキっ!! 

…すすす…鋭すぎる寺崎…彼女に口止めされたわけでもないし、もうこれは正直に話した方がいい気がした。

俺は観念し、
「うん…実はこの前、彼女にちょっとだけ、相談されて…
おまえがなかなか…その…彼女に…手を出さないとかなんとか…さ…。でも…なんでだ…?彼女、メチャクチャ可愛いし、普通の男だったら、はい、喜んで…状態じゃないのか…?なんか、他に気になることでもあんのか?」

「うん…」…俺の問いかけに寺崎が下を向く… 下を向いたまま、小さな声で話し出す。

「確かに…そう、だろうな…普通の男だったら…彼女は確かに見た目、抜群に可愛いし、魅力的…ではあるしな…
俺もさ…彼女を…ちゃんと抱こうとしたんだ…でも、なんか…違うっていうか…なかなか、興奮しなくって…」

…興奮…しない…? 

ああ…あっちが…ああならない…って、ことなのか…嘘だろう…?

あんな綺麗な、モデル級の美女を目の前に…?男が機能しない…?とか、ありえるんだろうか…
確か…田口は裸も見せたと言っていた…全裸の彼女が迫って、そういう気分に至らないって…おいおい…大丈夫なのか…?寺崎…男として、少しヤバいぞ…俺は内心、そんなことを思っていた。

すると、ずっと下を向いていた寺崎が、おもむろに自分のトレイの上のサンドウィッチに手を伸ばす。バリバリと包みを開けて、旨そうな卵サンドを…口に放り込み始めた。

はい…?今この瞬間に、サンドウィッチ…食べ始めるとか…
俺、結構、真剣に話聞いてたのに…

そうだ…朝食抜きだったか。
まあ…食え食え…そして、どうにか原因と改善策を考えなきゃ、だな…
俺がそう思いながらアイスコーヒーに手を伸ばすと、その手首を強い力で突然つかまれる。
  
    …… っ!? ……
   
「…くくく…おまえさ、まだ…気付いてないのかよ…すげぇ…笑える…んだけど。」

      ゾッとした…
      白昼…堂々… 

俺は…震えそうになる手をなんとか制しながら、奴の手を振り払い、目の前にいるシュウを睨みつけた…
 

                                   
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