【完結(続編)ほかに相手がいるのに】

もえこ

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~拓海~

豆鉄砲

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「同じ、ね… 同じなのね… 」

智花がそう…独り言のようにつぶやいた瞬間から、俺の口は止まらなくなった。

「そう…状況、そっちと同じなんすよ…んで、俺つい最近…週末に時間ができたから、突撃訪問したんですよ…話があるとか言われても気になるし…その方が、断然早いと思って…」

「え… …?とつ、げき… ?」

智花が、豆鉄砲を食らったような顔をしている…。

そもそも、人が豆鉄砲を食らった顔なんて、見たこともないのだが… それはまあ、いいとして…

「そう… マジで、今日みたいに… あなたと、瑠衣が… 突然…こんな風に俺んちに突撃したみたいに…いや、今日はマジでビビりましたよ…てか、今もビビりながら話してますけど…」

そうは言いつつも…段々、俺の方は落ち着きを取り戻しつつあった…。

それにしても、瑠衣… 遅くないか…? 
もう、4~5分は経っている… もしかして、アイスで…キンキンに冷えた高級アイスで、腹でも下したんだろうか…。

「… それ、で…? 」智花が先を促す…。

「そう、そう、…それで週末…土曜日の朝、あいつを驚かせようと思って…いきなりマンションのドア、ピンポンしたらですよ…あいつ… …」

「… うん… 」

「もぬけの殻っぽくて、ですね…結論…葉月は部屋にいませんでした。」

「えっ… ?」

「…呼び鈴、何回も鳴らしたんですけど…人の気配がなくて…」

「… うん …」

智花はまるで、怖い話…怪談話でも聞いているかのような暗い表情で、なんとか頷いている…。

俺は悪趣味だろうか…

自分のことを棚に上げておいて…ほんの少し、楽しい気がして、話を引き延ばしそうになる。

「んで… うーん、どうしよう…部屋で眠り込んでんのかな… それとももしかして、実家にでも帰っているのだろうか… いや、もしかして、誰かの家に… いや、それとも… …」

「拓海さんっ…!」智花の声が、大きくなった…。

「あ、はい… 」

「…瑠衣ちゃんが来ちゃうから… もう、…そんなに焦らさないで、早く結論を…話して欲しい…お願い…」

「… はあ… 」

せっかちな女だな…

やっぱ、葉月の方が、おっとりしてていいな…などと、変な比較をしながら、
俺は遂に、詳細を話すべく口を開いた。

智花は知っているだろうか…  

        そんなことを、頭の隅に、思いながら…

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