【完結(番外編)】ほかに相手がいるのに

もえこ

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~杉崎~

圧力

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「水無月…さん…?」

「… … … 」

俺の声が聞こえないかのように…彼女は俺のベルトに、触れた…。

カチャと、金属音がして…  
呆然と、彼女がベルトを緩めるのを見下ろしている俺が、まるで自分自身ではないかのような錯覚を覚える。

「水無月さん、待っ …」

「…嫌、です… 待ちません…もう、知らないっ… 」

「… … え… … 」

「杉崎さんが何も言ってくれないなら…そんな風に…はぐらかすなら… 」

「… … … 」

カチャカチャと音がして、途端にゆるむ腹部…
さっきまで俺のウエストにかかっていたベルトの圧力が、他人の手によって不意に消滅する感覚が、なんとも心地悪い…。

「私は… 」

一瞬、俺の方を見上げる彼女の眼がうるんでいるように見える…。

まずい… 

この展開は… 

心の奥底で…彼女がこれからしようとしていることを想像してしまう…。

「私…私だって、もうしたいように、します…杉崎さんが自分勝手に今、こんな状況で途中でやめた…みたいに…ひどいです…説明もなく…ここは、こんな…なのに…本当に意味…わかんない…」

ずるっと、下を脱がされ、ボクサーパンツのゴムの部分に彼女の手がそっと触れ、びくんと身体が反射的に動いた。

「… つっ …水無月、さん… 待っ…」

「… … 嫌 … …」
 
普段は聞き分けの良い彼女が発する「嫌」という言葉は、俺に、多少なりとも打撃を与える…。

俺のそれは、静まるどころか…いまだにどくどくと脈動している…
そこに、たぎるような血液が、集中していくのがわかる…。

だが、確かに…

彼女の発した言葉…

意味が…わからない… という、発言に…

その言葉に…  

殴られたとはいわないが、
軽く…頭を、小突かれたような感覚がした。

確かに彼女の言う通りだ…

さきほどまであんなにも激しく… 
彼女に…舌をいやらしくからめるような、息を止めてしまいそうになるほどの濃厚なキスをしておいて…
可愛らしい胸を思うままにまさぐり…俺の指の動きに反応して小さく喘ぐ姿に満足しながら、愛撫を続けた…
己自身とともに…彼女を…あれほどまでに、高ぶらせておいて…

次の瞬間… 
彼女を突き放し… 
身体を離すことで自身を…自身の欲望と、衝動を抑えようとした…。

どうしても…
あの男のことが何度も、頭に浮かんで… 
あの男と彼女が身体を重ねることを想像し…いや…勝手に、妄想し…嫉妬を感じ…
自分自身の感情がコントロールできそうにないからという理由で、突如彼女を突き放そうとしている…。

だが結果としていまだに、コントロールする自信がない…

マグロだと…?

そんな嫌なワードを…あの男が、どんな状況で彼女に、発したのだろう…

いや、…そもそも… 想像すら、したくない…
  
二人が交わる姿を…  
いや…何度自分自身に言い聞かせただろう…
所詮、過去の話だ…  

なのに、なぜ… なぜこんなにも、気になるのだろうか… 
過去… もはやあの男は過去の男だ…
過去は、絶対に、変えられない…

俺だってそうだ。
智花に限らず…沙織のことも含め、彼女に話していないことだって、沢山ある…。 

ああ…   
依然として、胸の中のもやもやが消えない… 
胸が苦しいと表現しても、全く過言ではない…。

この感情は…間違いなく…
これまで生きてきて、初めての感情だ… 

「あっ… 」思わず、腰を引く… 
冷たい、彼女の指が布地の隙間から侵入してくる…。
俺のそれは、彼女の小さな手に包み込まれた…じわじわと探るような圧力を感じ…

「 …くっ … 」俺のそれの熱と…彼女の指の冷たさが反発しつつ、融合していく…。

君がそんなことをする必要はない…。
君にそんな行為は…似合わない… 求めていない…。

ヤバ… い… 今すぐ、… 止めなければ…  

俺は信じられない展開に、思わず息を飲んだ…。
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