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〜お互いの日常〜
給湯室
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翌朝
いつもより早めに出勤して、朝、給湯室でいつものようにドリップ珈琲をマグカップにセットする。
昔、お茶くみなどの雑用は、一部の女性や誰か特定の人に頼むものだったのかもしれない。
だけど今の風潮は…特にこの職場では、雑務は必ず自己でやるようにとの、決まりがあった。
男女差別のない、男女共同参画社会を前面に…各部屋にポスターも、貼ってあるくらいだ。
女だからといって、仕事以外のそのような曖昧な雑務に気を取られずに仕事に集中できる…その点を堂々と宣伝しているこの会社に、仕事内容も含め、私は当初から魅力を感じていた。
「…おはよう!…水無月さん。」
背後から突然声がして、肩が跳ね上がる。び…びっくりした…。
振り向くと、杉崎さんが立って私を見下ろしていた。「あっ…はいっ、お…おはようございます…」私は咄嗟にお辞儀をする。
「あ…ごめん、いきなり声かけて驚かせたね…急がないから、珈琲、続けて…」杉崎さんが優しく話しかけてくれる。
「あ…はっ…い、少し、待ってください。もうすぐ…」…
あと…お湯を一回注ぐと…出来上がる…。
わたわたとしながらやっぱりなんとなく急ぐと「あ…ごめんごめん、本当に急がなくていいよ、ごめんね…なんだか…」杉崎さんが申し訳なさそうに私を見る。
…珈琲は完成した。
とりあえず早く場所を譲ろうと「すみません、お待たせして…」そう言ってカップを持って給湯室を出ようとすると、不意に、杉崎さんが口を開く。「土曜は…お疲れ様…!びっくりしたね…お互いに…」
その話題…今はあまり触れてほしくない気がした…
林さんが、いつ、職場に来るかもわからないし、少し周りが気になる…咄嗟に廊下を見渡すが、早朝で、まだ誰も出勤してきていないようだ。
「あ…あ、はい…なんだか、すみません…お邪魔しちゃいまして…」正確には、私たちが先に店内にいたから、変な言い回しだけど、咄嗟にそんな言葉が私の口を突いて出る。
「いやいや、むしろこっちが…後から店に入ってるし…彼女…ずかずか、なんかそっちの席まで挨拶に向かうし…せっかくの彼氏とのデート、邪魔したみたいで申し訳なかったよ…。ごめんね…」
杉崎さんは優しい…そんな風に思ってくれていたんだと、あらためて思う。
「いえ。全然…でも、私も驚いちゃいました…まさかお二人とあんなところでお会いするなんて…」
私がそう言うと「ほんとだね…俺もびっくりした…そうそう、彼氏…ガタイも良くてすごくカッコいいね…仲良さそうだなと、思ったよ。」杉崎さんが綺麗な顔で、しっとりと笑う。
…しばし見惚れていると…遠くからざわざわと、人の気配がし始めた…
始業時間に向けて、出社してきた人が増えてきていた。
「いえ…とんでもない…彼、ごく普通の人ですよ…!では、失礼します…。」そう言って、給湯室を後にする。
この時の私は…まだ、杉崎さんのことを…1パーセントも…意識していなかった…
ただ…綺麗で…カッコいい素敵な男性だと…思ってはいたけど、ただ、それだけだった…
…なのに…いつから…私の気持ちはぐらつき始めたのか…
今となっては…自分でも、よくわからない…
いつもより早めに出勤して、朝、給湯室でいつものようにドリップ珈琲をマグカップにセットする。
昔、お茶くみなどの雑用は、一部の女性や誰か特定の人に頼むものだったのかもしれない。
だけど今の風潮は…特にこの職場では、雑務は必ず自己でやるようにとの、決まりがあった。
男女差別のない、男女共同参画社会を前面に…各部屋にポスターも、貼ってあるくらいだ。
女だからといって、仕事以外のそのような曖昧な雑務に気を取られずに仕事に集中できる…その点を堂々と宣伝しているこの会社に、仕事内容も含め、私は当初から魅力を感じていた。
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「あ…はっ…い、少し、待ってください。もうすぐ…」…
あと…お湯を一回注ぐと…出来上がる…。
わたわたとしながらやっぱりなんとなく急ぐと「あ…ごめんごめん、本当に急がなくていいよ、ごめんね…なんだか…」杉崎さんが申し訳なさそうに私を見る。
…珈琲は完成した。
とりあえず早く場所を譲ろうと「すみません、お待たせして…」そう言ってカップを持って給湯室を出ようとすると、不意に、杉崎さんが口を開く。「土曜は…お疲れ様…!びっくりしたね…お互いに…」
その話題…今はあまり触れてほしくない気がした…
林さんが、いつ、職場に来るかもわからないし、少し周りが気になる…咄嗟に廊下を見渡すが、早朝で、まだ誰も出勤してきていないようだ。
「あ…あ、はい…なんだか、すみません…お邪魔しちゃいまして…」正確には、私たちが先に店内にいたから、変な言い回しだけど、咄嗟にそんな言葉が私の口を突いて出る。
「いやいや、むしろこっちが…後から店に入ってるし…彼女…ずかずか、なんかそっちの席まで挨拶に向かうし…せっかくの彼氏とのデート、邪魔したみたいで申し訳なかったよ…。ごめんね…」
杉崎さんは優しい…そんな風に思ってくれていたんだと、あらためて思う。
「いえ。全然…でも、私も驚いちゃいました…まさかお二人とあんなところでお会いするなんて…」
私がそう言うと「ほんとだね…俺もびっくりした…そうそう、彼氏…ガタイも良くてすごくカッコいいね…仲良さそうだなと、思ったよ。」杉崎さんが綺麗な顔で、しっとりと笑う。
…しばし見惚れていると…遠くからざわざわと、人の気配がし始めた…
始業時間に向けて、出社してきた人が増えてきていた。
「いえ…とんでもない…彼、ごく普通の人ですよ…!では、失礼します…。」そう言って、給湯室を後にする。
この時の私は…まだ、杉崎さんのことを…1パーセントも…意識していなかった…
ただ…綺麗で…カッコいい素敵な男性だと…思ってはいたけど、ただ、それだけだった…
…なのに…いつから…私の気持ちはぐらつき始めたのか…
今となっては…自分でも、よくわからない…
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