【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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〜二人きり〜

お風呂?

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その後、私の思考はよそに、私と杉崎さんは女将さんに連れられて、
露天風呂をいくつかと、宴会場、ゲームやカラオケ、卓球ができる館内施設、お土産が買える売店、カフェやレストラン、和の雰囲気を持つ旅館にあるとは予想しなかった最上階の夜景が見える素敵なバー…などをゆっくりと案内された。

「すごく…いい感じですね、あらためてお邪魔するのが楽しみです。ありがとうございました。」

私と杉崎さんは丁寧に案内してくれた女将さんにお礼を言って部屋へ戻った。

「ちょっと、疲れちゃったね、お茶でも飲もっか…」

杉崎さんがお茶の用具入れの蓋を開けて準備しようとしたので慌てて、「あ…!私がやります!杉崎さんは運転もしていただいているし、少し寛いでて…ください。」

こんなことまで杉崎さんにしてもらうわけにはいかない…せめてこれくらいはと…咄嗟に私の手が出ていた。

「あ…ありがとう、ごめんね…!じゃあ、お言葉に甘えます。」そう言って杉崎さんがニッコリと微笑む。

この人のこの…素敵過ぎる笑顔は罪だ…
そんなことを思いながら準備していると、

「お昼ご飯は一時に予約してるから…実はまだ一時間半以上も時間あるんだよね…どうしよう?プランにも入ってるから、お風呂にも行ってみようか…」

ガチャガチャん…

お風呂というキーワードに動揺し
私は熱湯の入った急須をテーブルに取り落とした…

「あっ!…っつっ…!!」
  
蓋から漏れた熱湯が、少し手の甲にかかる…熱い…

「あっ…つ、すみません、ちょっと…こぼし…テーブル拭かなきゃ…」言いかけると、

「水無月さん!早く立って…ほらっ…!」
杉崎さんにぐいっと腕を掴まれ、すぐに洗面所へ連れて行かれる…

杉崎さんがすぐさま蛇口を捻り、流水に私の手を差し出す…。

「火傷は、すぐ冷やさなきゃ…、人に謝ってる場合じゃないよ…水無月さんらしい…けどね…ほっとくと後でミミズ腫れみたいになることもあるから…気をつけて…」

近くに、杉崎さんの吐息を感じ、私は目をぎゅっと閉じる。手首もつかまれたままで、ドキドキが止まらない…「あ…、ありがと…う、ございます…」

  そう告げるのが、やっとだった…。
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