【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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〜戸惑いの日々〜

困惑

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私はその日、携帯を完全に音が鳴らない設定にしていた。

杉崎さんが車を発進させるのを見送り、帰宅していつものように珈琲を入れ、ほっとソファーに腰をかけて携帯を確認する。

珍しく拓海からのラインが1通もなかった。

もしラインが入っていたら、杉崎さんと下見がてら車で出かけた…などと細かく話すかどうか迷っていたので、ちょうど良いと思った。

敢えて、聞かれてもいないのに、拓海に話すことではないと思ったからだ。

ただ…起きてしまったハプニングと…その後、代わりに自分が杉崎さんに要求したことは…拓海に堂々と話せるものではないと自覚していた。

裸を、見られてしまった…

ほんの一瞬のことではあったが、杉崎さんの視線が瞬時に全身に走った気がした…

気のせいならいいが、いくら普段が紳士とはいえ、杉崎さんだって男性なのだ…目の前に、裸に近い女が突然現れたら、そうなってしまうのも無理はない…

だけど…
顔から火が…いや…
身体から火が…出そうだった…

無防備な状態で、普段一緒に仕事をしている男性に裸を見られたのだから…しかもだ…

私はその後、杉崎さんに何を言ってしまったのだろう… 杉崎さんのおかしな提案を否定することもなく、肯定し、裸を見せてください…だなんて…

杉崎さんも杉崎さんだ…

私みたいな小娘が言うことなど笑って受け流せばいいのに…真面目に浴衣を脱いで、私に披露…してくるなんて…


ああ…


それにしても…

素敵だった…杉崎さんの上半身…

白くて綺麗で…細身なのに、腕とか…胸とかに…程よく筋肉がついていて…腹筋も…うっすらと割れていて…程よく締まってた…

どこもかしこも、ある程度の太さがあってがっしりした拓海とは違う、しなやかな身体つき…

なんだか…無条件で、近付きたくなった。
この手で…触れてみたくなった…

もちろん、我慢はしたけど…

仮にあの時、あの場所で、
杉崎さんの方から私に触れてきたならば…私は…

拒否、できただろうか…

できない…きっと、できなかった…
そんな気が、漠然とする…

私は、本当にどうかしている…

あの…いつかの夜…杉崎さんとキスをしてから…
どこか、おかしくなってしまった…

拓海がいるのに…
杉崎さんにも素敵な彼女が…いるのに…

どうしても、彼を目で追ってしまう…
視線が、吸い寄せられる…

杉崎さんがあまりにも…魅力的すぎるのだ


月曜日からは本当に気が重い…
でも、しっかりしなきゃだ…
一応これでも…社会人、なのだから…

私はそう決意して、
気づいたように、

  冷め切った、苦いコーヒーを口にした…









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