【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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〜互いの意識〜

本心

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「ん…んン…っ」
杉崎さんにきつく抱き締められたまま…唇を押し付けられて…息が出来ない…。

彼の息遣いを感じる…
舌が熱い…私の舌に、執拗に舌を絡められ、思わず身体が竦む…。

「ンんっ…う…ンっ…」

頭がぼうっと…してくる… 
あ…あ…なんだか、こんな風に強引にされるキスは…恥ずかしいけどすごく…気持ちい…い あ だめ… 

  … ちゅ…っ 

やっと…
名残惜しそうに…ゆっくりと、彼の唇が離れる…

「ふ… …」
まだ、上を向けない…杉崎さんの方を…向くこともできない…目も…ぎゅっと閉じたまま固まったままの私…。

杉崎さんが…私からゆっくりと、体を離していく…。

「… …あ…の… 」
なんて言ったら…いいのか…わからない…普通に言葉を、続けられない…


「…ああ…また俺は… はあ…… 」
ため息をついて、頭を抱えて項垂れる杉崎さん…杉崎さんらしくない…そんな、動きだ…。

「…私…です…悪いのは、私…あ…あの…」
…駄目だ…私自身、何をどう、話したらいいのか、よくわからない…

…だけど、なんとか、ゆっくりではあるが言葉を紡ぐ。

「私が…変なこと、口走っちゃったから…ですよね…杉崎さんは、悪くない…です…」
私はやっと杉崎さんの方に顔を向ける。

「好き…とか…、言ってしまったから… あの…ごめんなさい…嘘です…いえっ…嘘じゃない…ですっ…」

もう、わけが分からない… 

夜空をぼうっと…三日月をぼうっと眺めていて…

気付けば…「好き」という言葉が、私のだらしない口から…溢れ出てしまっていた…。

「…水無月さん…ごめん…とりあえず、タクシー呼ぶから、今日はそれに乗って帰って…俺は…ちょっと頭を冷やしてから、ゆっくり歩いて帰るよ…」

「え… は…はい…」

杉崎さんは、携帯を取り出して素早くタクシーを呼び出し、私だけを乗せる…。

「水無月さんごめん…また、職場でね…」

「はい…おやすみなさい…」私はそう言って、車内から彼にお辞儀をする。

タクシーが走り出す…。

これで…通算、3度目のキス…もちろん、こっそり私が奪った分も含めて…

もう…止まらない…

止められないかもしれない…この気持ち…、この感情…。

私は杉崎さんに惹かれている…

キス…されたい…
さっきみたいにきつく、ずっと抱き締められていたい…

そして…心の奥底に…隠しきれない女の欲望が…渦巻く…

私は…彼に…

杉崎さんに抱かれたいのだ…いっそ、乱暴に…滅茶苦茶にされたい…
私は杉崎さんが…欲しいのだ…。

本当に浅ましい…

彼女がいる男性を…好きになってしまうなんて…

今まで、一度もそんなこと、なかったのに…

自分の本心を自覚した私は…途端に、消えたい気持ちになった…







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