【完結 R18】ほかに相手がいるのに

〜2人の距離〜

キス

「んン…っ…　ん…」

杉崎さんの舌が…私の舌に執拗に絡みつく…
何度も何度も、口内を這いまわり吸い付くように…何度も唇を塞がれ、頭がぼうっとしてくる…。

なんでこんなにも…杉崎さんのキスは情熱的で…激しくて…　
そして何より…気持ちいい…　ああ…

「ん…んぅ…」
でも、なんだか長い…少し息苦しくなって目を少しだけ開くと、ドキリとした…

杉崎さんの眼が…
欲情をはらんだような熱い目が…
　　　　　　こちらを見ていた…。

また…私の表情を見ていた…？
途端に恥ずかしくなり、もう一度目を閉じる…。

「…んっ…！？…」

…え…　ビクンと…、頭より先に、身体が反応する…。

私を抱き締めていた手が…ゆっくりと背筋を這いながら下に…下がり…
お尻の膨らみの上の手前…腰のラインでピタリと止まる…その先には進まない…。

…ちゅっ、という音を立てて、杉崎さんの唇が離れていく…
「んっ…は…ぁ」…

息苦しさから解放されながらも…それと同時に、寂しさを覚える。
キス…もっと、したい…。

男の濡れた目が…私を、見下ろす。

「水無月さん…君を…君のことを、もっと深く…知りたい…もっと…触れたいし…見たい…いい…？」

杉崎さんはずるい…。

そんな風に聞かれたら、駄目だなんて、やっぱり…私に、言えるはずがない…。

「…は…い…でも…珈琲…」

「…美味しい珈琲は…後…でね…まずは君…君を少しだけ、…」

その後は無言で…すぐさま手を引かれる…。

「あっ…」
ドサリと…有無を言わさずに、杉崎さんのベッドに押し倒されていた…。