【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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~新しい朝~

彼女

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月曜日の朝。
私はいつものように給湯室で珈琲を準備していた。

今日の私は前の私と、違う…
杉崎さんと遂に…一線を、越えてしまったのだ…
信じられないけど、現実の話だ…

どんな顔をして、今日…杉崎さんと話せばいいのだろう…

普通に会話が出来るだろうか…
そんなことを思いながら、珈琲が抽出されるのを眺めていた時…背後に、人の気配を感じた。

「おはよう、水無月さん」優しい声音… ドキリと、胸が鳴る…。

「おはよう、ございます…」

やはり、杉崎さんだった…。
いつもと変わらない優しい表情で、私を見下ろす…。

いつも通り、スーツを格好良く着こなした杉崎さん…
ピシッとアイロンがかかったシャツに、素敵な柄のネクタイがとてもよく似合っている。

こんな素敵な人と、私は…

「… … …」あの夜のことを思い出し、思わず無言になってしまう。

「…あ、ごめんね、また驚かせちゃったかな…突然声を掛けて…」

「いえ、全然…すみません…」なぜか、咄嗟に謝罪の言葉が出てしまう。

「あの…その、この前は楽しかったね、食事も良かったし、船からの景色も…」

「はい、本当に…素敵、でしたね…」

楽しかったし、食事も良かった…
景色も勿論素晴らしかったけど… その後…… その後…

駄目だ…まだ、まともに杉崎さんの顔を見ることが出来ない…
このままだと表情に出てしまいそうだ…

そう思った矢先、

「あ!いた…!!杉崎さ~ん、おはようございま~す!あっ…っと、水無月さんも、いたんですね、おはようございます」

「あ…おはよう、…細野さん…」

そこに現れたのは、人事の細野さんだった…
薄紫の少し丈の短い可愛らしいスカートが、ひらりと揺れるのが目に映った。

杉崎さんが慌てたように、彼女を振り返る。
私もドキリとした。
すぐさまこの場を離れよう…

なぜだか本能で、そう思った。

「細野さん、おはよう、ございます…あの、私はこれで」そそくさと、言葉を続ける。
「すみませ~ん!お話し中のところ、なんだかお邪魔しちゃって…」
彼女が可愛いらしく、ペロリと舌を出す。

「あ…ああ、じゃあ、水無月さん、後でね…」

私はぺこりとお辞儀をして、淹れたばかりの珈琲を片手に、給湯室を出る。

「もう~~聞いてくださいよ、杉崎さ~~ん!あのですね… …」

「うん… 何かな… … … 」

背後に、いつもの二人のやり取りが聞こえる。

細野さんがまた、杉崎さんに仕事か上司のことか、なにかしらの相談をしているようだ…
あんな風に、好きな人に素直に懐くことが出来れば、どんなに楽しいんだろう…
自分には100パーセントない、羨まし過ぎる性格だ…

私は細野さんに対してそんなことを思いながら、オフィスへ向かった。

だがその日の夕方… 
彼女は私が一人になるところを見計らってか、私の耳元で恐ろしいことを口走った… 

まさか…と思ったが、もはや、どうしようもなかった…。






・・・・・・・・

新年明けましておめでとうございます。

今は時期的に厳しい状況ですが、1月4日以降はぼちぼちペースで更新予定です。
1月から開催の恋愛小説大賞にも応募しています。
応援いただけると嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします。(^^)
こんな不安定なご時世ではありますが、皆様にとって良い一年でありますように☆





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