【完結 R18】ほかに相手がいるのに

～答え～

賭け

本音を言えば、
初対面なのに…杉崎さんにしな垂れかかるようにして触れる、積極的な女性が羨ましかった…。
躊躇もなく杉崎さんに触れて、あっけらかんとした様子の細野さんが羨ましかった…。
飲み会の帰りに、堂々と杉崎さんの腕に、細い腕を絡める林さんが、羨ましかった…。

私にはできない。

林さんのように、正式な彼女であるならまだしも、
そのほかの二人…　彼女たちのような真似は、私にはどうしたってできない。


でも…　　…本当にこのままでいい　…？
後悔、しない…？

私は、自問自答する…。

明日の朝、杉崎さんは私の目を、真っすぐに見てくれるだろうか…
今夜、私に投げかけた誘いを恥じて、私から少しだけ…距離を取ってしまうのではないか…
私自身も、おかしな雰囲気で誘いを断ってしまったきまずさに…今まで通り杉崎さんと接することができるのかも、よくわからない…。

本当に…本当に、これでいい…　？　

私の本心は…　　私は今、どうしたい…　　　
私は自分自身に問いかける…　

駄目だ…

杉崎さんとホテルの部屋で二人きりになる…

駄目…　絶対に駄目なことだ…

理由なら山ほど、挙げることができる…。

だって、これは出張…仕事だから…　
私には、長年付き合っている拓海がいるから…
杉崎さんには、彼女である林さんがいるから…

まだ正式に、私と杉崎さんは、互いの恋人に別れを告げていないから…

駄目…だめなのは、わかっている…　

でも…　
でもやっぱり…私は…私の本心は…　　
杉崎さんと、一緒に居たい…　
杉崎さんに触れたい…      触れられたい…
それが、紛れもない私の本心…　

最初に、恐らく勇気を出して、私にボールを投げてくれた杉崎さん…　
それに対して言葉を…今度は私の本心で…杉崎さんに、私の本心だけを、返したい気持ちになった…。

時間にして、既に一時間近く経っている…
杉崎さんがもう寝ていても、おかしくない…

賭けだ…　

杉崎さんが既に寝ていたら…
もしくは気付かないふりをされたら、もちろんアウト…   諦めて、すぐに寝てしまおう…　

私は意を決して、スマホを手にした。