【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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~答え~

二次会

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・・・・・・      

       コン、コン…

10分ほどして…杉崎さんの部屋のドアを静かにノックする。

        ドクドクドク…

その、ノックの音よりも早く…私の心臓が早鐘を打つ… 

ガチャリと音を立て、ドアが開く。

「ん… こんばんは… いや、いらっしゃい、かな…?ごめんね、結局こっちに来てもらって…」

少し開いたドアの隙間から、杉崎さんの微笑む顔が見えた。

「いえ…こちらこそすみません、夜分遅くに…連絡、してしまいまして…」
そのままの場所で、ぺこりとお辞儀をする。

「とりあえず、入って?」

「は、はい…」緊張で廊下に張り付いたままの足をなんとか一歩、二歩と踏み出す。

私が部屋に入った後、即座に杉崎さんがガチャリと内から鍵を閉める。

当然のことだ…

この物騒な世の中、自宅でも、たとえ宿泊先のホテルでも、カギは直ぐにかけるべきだ…。

でも、今日に限って、その動作がやけに気になってしまう…。

これで完全に、密室だ…

不意に、杉崎さんがさっき送って来た密室に触れた内容のメッセージが頭に思い浮かび…
部屋に閉じ込められたような気がして、より一層、緊張してしまう…。

「あ…の、… ごめんなさい、さっき微妙な態度をしたのに、やっぱり来てください、なんて言って…」

私はその場に立ったまま、ゆっくりと杉崎さんを見上げる。

改めて杉崎さんの全身が目に映り、ますます鼓動が早くなるのを感じる…。

ホテル備え付けの、白地にブルーのラインが入ったシンプルなデザインのナイトウェアに身を包む杉崎さん…
私と、お揃いだ…

合わせになっている部分から、男性にしては白く、綺麗な鎖骨が覗いていて…
何とも…表現しようのない、男の色香が漂ってくる気がする…。 

ナイトウェア…
前に宿泊したホテルの高級なものと比べると、素材も肌触りも、見た目もまるで、違うのに…

なんで、こんなにも、杉崎さんはかっこいいのだろう… 
なんで…どんな服も、着こなしてしまうのだろう…

「…いや…全然…」杉崎さんは私の謝罪に、言葉少なにそんな返事をして、私を見つめてくる。

どうしよう… なんて目で、私を見るんだろう… 熱い…視線…    

私はたまらなくなり、不自然に…目を逸らしてしまう…。

「… とりあえず、座って…ごめん、座る場所、ベッドの上しかないけど…まだ使ってないから。お茶と珈琲、どっちがいい…?それとも、少しお酒とか飲むかな…?実はついさっき、下の売店で買って来たんだ。酎ハイとワイン、くらいだけどね?二次会がわりに、…」

「… えっと… では…すみません、ワインを少しだけ頂いても…?」

「ん…かしこまりました。俺もワインにしよう。」杉崎さんはニコリと笑って、グラスの準備を始めた。

本当は… お酒なんて、もうあまり飲めない… 

でも…いっそお酒を飲んで、この…今の、どうしようもない緊張感が消えたら…
どうしようもないほどに酔って、わけがわからなくなる位の方が、いいのかもしれない…

「じゃ…乾杯… んー-… 水無月さんの初出張に乾杯、かな… 」
「あ、ありがとうございます…では、乾杯…」 

私と杉崎さんは、グラスをカツンと鳴らして… 静かに、ワインを口に含んだ…。

この際、酔ってしまおう…


    私の中の理性が、中途半端に…ひとかけらも、残らないように… 

          
 












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