【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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従順

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「もう…抵抗しないでくださいね…おかしな動きをすると…痛い目に遭いますよ…」
そう笑って言いながら改札を抜け、男は私の手を力強くつかんだまま、駅の外へ突き進む。

男はそれからはずっと無言で…逆にそれが怖かった…

一体どこに連れていかれるのか…
屋内と言っていたが、そこが、安全な…健全な場所とは限らない…

既に…電車内で身体を何度も触られているのだ…
公然と、痴漢行為をした男を…信用することはできない。

もしかしたらこのまま…おかしな…ホテルにでも連れ込まれはしないか… 

私は正直なところ、気が気ではなかった。

「あ…の…一体、どこへ…行くんですか…?お願い…します、すみま…せ、ん…許して…ください…」
私はその男の大きな背中に向かって、逃がして欲しい一心で…許しを乞う。

「ははは…面白い人だ…貴女は私に、一体何を謝っているんですか…?」男が私を振り返って、乾いた声で笑う。

「日本人の悪い見本ですね…とりあえず、謝る…自分のした…何が悪いのか、本当は何もわかっていないのに、まず、口先だけで…謝る、よくある話ですよ…」

男の機嫌を損ねた…咄嗟にそう思った私は、その後、すぐに口をつぐんだ。

「まあ、ついて来てください…あ、もちろん貴女に、決定権はないですよ…?その場所で、職場に電話をしたらいい…真面目で責任感のある貴女のことだ。そろそろ連絡しておかないとと、気になっていたんでしょう…?単なる歯車の分際でね…」

この男が発する一つ一つの言葉に、悪意を…私に対する底知れぬ悪意を感じる…

人を馬鹿にしたような… 人の仕事に対する責任感を軽んじるような…そんな…悪意を感じざるを得ない…

でも…私はもう、感情をあまり表に出さないことにした…

私が男の発言に動揺して、不用意に話せば話すほど、失敗する…そう、確信した。

「さあ…着きましたよ…入って…」私は男の指示に抗うことなく、男の後を追った。
















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