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三重県
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しばらく歩いた。
「このへんにはスライムしかいない」と言われ、少し歩いて別のところに行く事にしたのだ。
スライムであれば島根県にも腐るほどいる。
異世界と繋がる前は島根県にはスライムはいなかったらしいが、そんな太古の昔の話は知らない。
スライムに張りつかれるとヒリヒリする。
スライムの出す消化液のせいだ。
だがスライムは人間を消化出来ない。
スライムが出す酸で少し肌が荒れる程度だ。
スライム退治にはホウ酸だんごを使う。
ホウ酸だんごを置いておくと、その家からゴキブリとスライムがいなくなるのだ。
そんなどこにでもいるスライムを動物園に展示する訳にはいかない。
ちなみに島根県のご当地B級グルメにはスライムでトロミがつけられた物が多い。
そんなもんを名物にしなくても出雲そばをもっと大々的に売り出せば良いと思う。
島根は出雲そばと赤天をもっと売り出すべきではないか?
アレルギーがない限り老若男女誰にでも受けいれられる名物だと思う。
まあ島根は名物を売り込むより、存在を示す方が先かも知れないが。
未だに「島根は空想の産物だ。ムー大陸と同じだ」と思われている事が多い。
天空の島根県の隣にムー大陸、アトランティス大陸が浮いていてムー大陸に一歩入ると「ようこそ!ムー大陸へ!」と書かれた特大のアーチをくぐる事になる。
島根県、ムー大陸、アトランティス大陸の共通の悩みは知名度の低さと観光客の少なさと観光資源の少なさである。
「登別に温泉に行ったついでにクマ牧場でも行くか」というのが自然な流れだ。
登別にクマが目的で行く人がいないとは言わないが少数派だろう。
そうでなくても北海道にはカニなどの海産物を目当てに訪れる人が多い。
実際のクマは可愛くない。
臭くて獰猛だ。
だがついでであればクマ牧場に「暇だから立ち寄る」という人も少なくない。
崖っぷち動物園に立ち寄る人がいない最たる理由は「どこかのついでに動物園に寄る」の「どこか」がない事だ。
「出雲大社があるだろう?」という意見もあるが、動物園のメインターゲットである小学生は本当に出雲大社に興味がないらしい。
「出雲大社に行ってから崖っぷち動物園に来た」という人は今までのアンケートでも一人もいないのだ。
島根県はまだマシだ。
ムー大陸などはハワイ、フィジー、イースター島など観光の目玉になりそうな全てを地上に置き去りにして天空に浮上した。
何もないところで海産物を名物にしているところがある。
実は築地市場にも卸されていて、築地の方が観光地価格でない分安く買って食べられるなどという事もあるあるだが、海産物はこのように名物になりやすい。
だが天空に海はない。
「何にもないけど海の幸だけは美味い」という田舎のよくあるウリすら島根県にはないのだ。
「海の幸がないなら山の幸があるじゃないか」と言うが島根県の山には猪と野犬と野良猫しかいない。
「島根県民は犬や猫を食べる」などと言うが、それしか動物性たんぱく質をとる方法がないのだからしょうがない。
島根県には野生のチワワがいて県民の食卓にのぼっているが、他県民に言わせると「可愛いチワワを食うな!」と大層評判が悪い。
猪を名物料理にしようとしたが、「猪なんてどこにでもいる」「しし鍋なんて味噌と生姜の味しかしないし大して美味しくない」ということでボツになった。
しばらく歩いているとワーウルフを見つけた。
残念ながらオスだ。
「ワーウルフは昔、異世界だけでなく地球にもいたモンスターだと言われています。
昔は地球では『オオカミ男』などと言われていました。
モンスターには『モンスターの仲間だ』と言い、人間には『人間の仲間だ』などと言いながら生き延びてきたようです」斎藤さんが説明する。
斎藤さんは動物だけでなくモンスターの知識もある程度あるらしい。
「まるで三重県民みたいな野郎だな」俺は呟いた。
「そういう生き物なのです。関西人には『関西の仲間だ』、関東人には『関東の仲間だ』、中部地方の人には『名古屋の仲間だ』というようなコウモリ以下の最低の生き物の三重県民と比べるのは可哀相です。」優しい斎藤さんはワーウルフを庇うように言った。
「うーん、いらねーや。オスだし」俺は言うとワーウルフを素通りした。
「このへんにはスライムしかいない」と言われ、少し歩いて別のところに行く事にしたのだ。
スライムであれば島根県にも腐るほどいる。
異世界と繋がる前は島根県にはスライムはいなかったらしいが、そんな太古の昔の話は知らない。
スライムに張りつかれるとヒリヒリする。
スライムの出す消化液のせいだ。
だがスライムは人間を消化出来ない。
スライムが出す酸で少し肌が荒れる程度だ。
スライム退治にはホウ酸だんごを使う。
ホウ酸だんごを置いておくと、その家からゴキブリとスライムがいなくなるのだ。
そんなどこにでもいるスライムを動物園に展示する訳にはいかない。
ちなみに島根県のご当地B級グルメにはスライムでトロミがつけられた物が多い。
そんなもんを名物にしなくても出雲そばをもっと大々的に売り出せば良いと思う。
島根は出雲そばと赤天をもっと売り出すべきではないか?
アレルギーがない限り老若男女誰にでも受けいれられる名物だと思う。
まあ島根は名物を売り込むより、存在を示す方が先かも知れないが。
未だに「島根は空想の産物だ。ムー大陸と同じだ」と思われている事が多い。
天空の島根県の隣にムー大陸、アトランティス大陸が浮いていてムー大陸に一歩入ると「ようこそ!ムー大陸へ!」と書かれた特大のアーチをくぐる事になる。
島根県、ムー大陸、アトランティス大陸の共通の悩みは知名度の低さと観光客の少なさと観光資源の少なさである。
「登別に温泉に行ったついでにクマ牧場でも行くか」というのが自然な流れだ。
登別にクマが目的で行く人がいないとは言わないが少数派だろう。
そうでなくても北海道にはカニなどの海産物を目当てに訪れる人が多い。
実際のクマは可愛くない。
臭くて獰猛だ。
だがついでであればクマ牧場に「暇だから立ち寄る」という人も少なくない。
崖っぷち動物園に立ち寄る人がいない最たる理由は「どこかのついでに動物園に寄る」の「どこか」がない事だ。
「出雲大社があるだろう?」という意見もあるが、動物園のメインターゲットである小学生は本当に出雲大社に興味がないらしい。
「出雲大社に行ってから崖っぷち動物園に来た」という人は今までのアンケートでも一人もいないのだ。
島根県はまだマシだ。
ムー大陸などはハワイ、フィジー、イースター島など観光の目玉になりそうな全てを地上に置き去りにして天空に浮上した。
何もないところで海産物を名物にしているところがある。
実は築地市場にも卸されていて、築地の方が観光地価格でない分安く買って食べられるなどという事もあるあるだが、海産物はこのように名物になりやすい。
だが天空に海はない。
「何にもないけど海の幸だけは美味い」という田舎のよくあるウリすら島根県にはないのだ。
「海の幸がないなら山の幸があるじゃないか」と言うが島根県の山には猪と野犬と野良猫しかいない。
「島根県民は犬や猫を食べる」などと言うが、それしか動物性たんぱく質をとる方法がないのだからしょうがない。
島根県には野生のチワワがいて県民の食卓にのぼっているが、他県民に言わせると「可愛いチワワを食うな!」と大層評判が悪い。
猪を名物料理にしようとしたが、「猪なんてどこにでもいる」「しし鍋なんて味噌と生姜の味しかしないし大して美味しくない」ということでボツになった。
しばらく歩いているとワーウルフを見つけた。
残念ながらオスだ。
「ワーウルフは昔、異世界だけでなく地球にもいたモンスターだと言われています。
昔は地球では『オオカミ男』などと言われていました。
モンスターには『モンスターの仲間だ』と言い、人間には『人間の仲間だ』などと言いながら生き延びてきたようです」斎藤さんが説明する。
斎藤さんは動物だけでなくモンスターの知識もある程度あるらしい。
「まるで三重県民みたいな野郎だな」俺は呟いた。
「そういう生き物なのです。関西人には『関西の仲間だ』、関東人には『関東の仲間だ』、中部地方の人には『名古屋の仲間だ』というようなコウモリ以下の最低の生き物の三重県民と比べるのは可哀相です。」優しい斎藤さんはワーウルフを庇うように言った。
「うーん、いらねーや。オスだし」俺は言うとワーウルフを素通りした。
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