転生?乙女ゲーム?悪役令嬢?そんなの知るか!私は前世の夫を探しに行く。

コロンパン

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イケメンのゲシュタルト崩壊

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ああ、どうしよう。
あれから第二王子の婚約者を本当にお断りしたくて、
父親のジョセフ氏に結構直訴したけれど、
駄目でした。

そりゃ、そうだよね。
記憶が無いとは言え、自分がどうしてもと言って結んだ婚約だもんなあ・・・・。


これは、転生物に乗っ取りまして、向こうから婚約破棄に持って行こうと考えた私は、
今日第二王子と顔合わせの日に、
王子に直接事情を説明しようと意気込み、
父親とお城にやって参りました。

リリィちゃんに聞くと、私が一方的に第二王子に一目惚れしたらしくて、
第二王子自体は私の事を知らないそうだ。

私だったら、知りもしない女がいきなり婚約者に名乗りを上げるとか、恐怖でしかないが、
この世界なら、日常茶飯事のようだ。

貴族がそうなのか、このゲームがそうなのか、
理解できぬ。

うだうだ考えていたら、いつの間にか大広間に着いた。

中に入ると、キラッキラのイケメンと、
これまたキラッキラのイケメンと、
更にキラッキラのイケメン。
尚且つキラッキラのイケメン。

合計四人のキラッキラのイケメンが、
一斉にこちらを向き、席を立つ。


なんで!?

第二王子だけじゃないの!?
誰だ!あとのイケメンは!?

てか、第二王子はどれだ?
どれも疑わしきイケメンで、何が何やら。

父親が呆然としている私の肘を、突いて挨拶をしろと、目配せしていた。

あの映画で良く見る淑女の礼を、
実際に自分がする事になろうとは。

「ご機嫌よう。皆様。ミリアム・アッカーマンと申します。」

挨拶も何が正解か分からないので、
取り敢えず微笑みながら名乗っておけばいいだろう。

四人のイケメンが、キラッキラの瞳を大きく見開いて、固まる。


「嘘だろ・・・。
あの氷の令嬢が笑うとか、信じらんねえ!」

髪と瞳が赤色の無駄に元気そうなイケメンが、
でかい声で漏らす。

ほう・・・。氷の令嬢。
以前の私は笑わないキャラクターだったと。

「何かまた録でもない事を考えているのですよ。
お気をつけ下さい、王子。」

髪と瞳が青色で、眼鏡をかけたインテリそうなイケメンが、警戒心剥き出しで言う。

ふむ。
性格も悪かったと。

「えー!頭を打ったって言ってたから、打ち所が良くて、良い人になったんじゃない?」

髪と瞳が黄色の、頭がほわん(色々な意味で)としたイケメンが呑気にほざく。

ほうほう。
頭を打って心配されず、弱冠馬鹿にされていると。


「どちらにせよ、私には関係の無いことだ。」

髪と瞳が銀色の、自己愛が強そうなイケメンがピシャリと言い切る。

イエス!
第二王子っぽいイケメンに嫌われてる!

これは、幸先良いんじゃないの!?



内心にまにましながら、黙って聞いていると、
横に居た父親が、恐縮しながら宣う。

「ノエル王子。申し訳ございません。
娘は、先程の怪我により記憶に支障が出てしまい、
以前の事を何も覚えていない様でして。」

こくこくと相槌を打つ私。

「心を入れ替えてと言っておりましたので、以前のような素行は行わないと思います。
ですので、王子の婚約者として、充分相応しいかと・・・。」

ガクッとずっこける私。
四人が私を、何をしてるんだこいつっていう目で見るが、知らない振りをして、姿勢を正す。

違うよ!婚約続行じゃないよ!
おかしいでしょ!?
記憶無くなった女を王子の妃にするとか。



心の中でツッコんでいると、ノエル王子なるイケメンが

「好都合ではないか、記憶が無いのであればこの婚約自体も破棄できる。
まさか、今また私に惚れたというのでなければ、な。」


前述の意見には大賛成ですよ!!イケメンナルシスト王子!
(これから彼をナルシストと心の中で呼ぼうと思います。)


「そりゃあ、いい!
こんな面白味も無い女、ノエルには似合わねえ!」

掩護射撃ありがとうよ!脳味噌筋肉っぽい赤髪君!
(これから彼を脳筋と心の中で呼ぼうと思います。)

「そうですね、このような底意地の悪い女性は、ノエルには相応しくない。」

言うねえ!御宅もいい勝負だぜ☆青色眼鏡君!

(これから彼をインテリ眼鏡と心の中で以下略)

「だよねえ!幾ら記憶無くても性根は元のままだもんね!」

うっせえよ!小首傾げて、自分か可愛く見える研究でもしてるんですか?黄色の坊主。
(これから彼をショタと以下略。)

と、ぼんやり思っていると、
第二王子が私を睨んで、言い放つ。

「おい、さっきから黙ってないで、何とか言えば良いだろう。」

おお、いいのですか?
言いますよ?
言ってやりますよ。




私はにんまりと笑う。
何故か分からないけど、イケメン衆の顔が赤くなっている。
無視だ。無視。



「私も、願ったり、叶ったりです。婚約破棄是非致しましょう!!」











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