転生?乙女ゲーム?悪役令嬢?そんなの知るか!私は前世の夫を探しに行く。

コロンパン

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フラグは敢えて無視の方向で

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扉を閉めて、回れ右。
部屋へと帰ろうと歩き出す。

後からガタガタ、バタン!
慌ただしい音がする。

「待て!待て!待て!」

私には何も聞こえない。

「待て!ちょっと、待て!」

今日のお昼御飯何かナー。

「待ってくれ!おい、聞こえているんだろう?」

今日の晩御飯は肉がいいナー。

「ま、待ってください!!お願いします!」

私は歩みを止める。
そして、息をはああああと吐き、振り返ると、
涙目(いや、確実に泣いてる)のナルシシスト王子が、息を切らして立っていた。

「今日はどうされたのですか?」
(何しに来たんだよ、お前。)

本音を隠しながら、ナルシストに尋ねると、
目を擦り、よくぞ聞いてくれたと言わんばかりに、大きく胸を張り、
ナルシストはほざく。(あ、汚い言葉が思わず・・・。)


「ふん!あれから、思い直して婚約破棄を撤回して欲しいのでは無いかと思って、
こうしてこちらから、わざわざ来てやったのだ。」


「・・は?」

ごめん、ちょっと上手く聞き取れない。
何て?

「婚約破棄の撤回?誰がですか?」

ビシィッ!と私をナルシスト王子は指差す。

「お前が、だ!
私との婚約破棄の撤回を懇願すれば、考えてやらんこともない。」


・・・・・・・・。


私は思考が停止する。


何故、そういう結果に行き着いたのか、小一時間尋問したい。
口元が引き攣っているのが自分でも分かる。

どうしよう。
こんな未知の人種とどう話したらいいのか分からない。
不敬と思われるくらいの振る舞いをすればいいのか。
悩みどころだ。




「婚約破棄の撤回ですか・・・。」


ナルシスト王子は期待に満ち溢れた顔で私を見る。
鼻の穴が膨らんでいても、顔は整っているんだなあと思いながら、私は断言する。


「撤回なんてしませんよ。婚約破棄で良いです。」

うんうんと頷くナルシスト王子。

「そうだろう、そうだろう。婚約破棄のまま・・・・・・・・。
!!!!????へ?」

凄いなあ、テンプレ通りの台詞だわ。

「はい、私は王子と婚約破棄のままで良いです。
もう、他人同士。
婚約者でも何でもなく、赤の他人。
何の関係性も無い。
王子は、どうぞ好きなお方と婚約してください。」


固まったままのナルシスト王子。

「い、いいのか?この私の様な完璧な男、直ぐに他の令嬢と婚約出来るのだぞ?」

自分で完璧と言う。

「はい。どうぞ。お好きな令嬢と。」

「今なら、まだ間に合うのだぞ?」

なんだ?そんなに念押ししなくても。

「大丈夫です。昨日も言いましたが、王子への気持ちは全く、
綺麗に霧散しました。
私も、自分の好きな人を見つけて結婚します。」

「本当に良いのか?後悔しないのか?」


くどい!しつこい!!鬱陶しい!!!


「はい。後悔しませんから、お引き取り願えませんかね。」


「・・・・!!!」

言葉にならず、最早また涙が目に溜まり始めているナルシスト王子。
メンタル弱すぎるだろ。

大きく溜息を吐いていると、扉の外から爆笑する大きな声が聞こえてきた。

「はーはははっはは!ノエル、諦めろよ。ミリアム嬢は全くお前の事何とも思ってないから、
どうやっても婚約を続ける事は出来ないぞ。」

中に入ってきたのは、昨日見た残りのイケメン三人。
えーと、確か脳筋とインテリ眼鏡、ショタだったよな。

「・・・何の御用ですかね、皆様?」

半眼の私に構いもせず脳筋は私に話しかける。

「いやあ、ノエルがミリアム嬢は絶対に俺との婚約破棄を望んでいない筈だから、
懇願する様を眺めていろと言うもんだから、隠れていたんだよ。
だが、アンタが全くそんな素振りを見せないから、無駄だと思って出てきたんだよ。」


「・・・悪趣味ですね。」

これは、あれだな。
罰ゲームとかで、クラスのモテない奴を嘘のラブレターで呼び出して、
ノコノコやって来たのを、大勢で馬鹿にするアレだ。

「ご期待に沿えず申し訳ございません。
もう、これ以上此処に居る理由も無いでしょうから、お引き取り願えますか?
そちらの方も引き取ってください。」

満面の笑みを浮かべて、心の底から帰れ!と叫びたくなるのを押さえて、
丁寧に対応する私。

でも、イケメン4人は何故かこちらをガン見するだけで、動こうとしない。

「氷の令嬢ってやっぱり噂だったんだな。」

「私は一度、夜会の時に拝見しましたが、噂通りでしたよ。
ですが、今の彼女は全然違います。」

「うん、僕も一度会った事あるけど、すっごく意地悪だったよ。
今とは大違い!!」

脳筋、インテリ、ショタの順で口々に話す。

話はいいから、とっとと帰ってくんないかな?

ナルシスト王子以外の三人が私に近づいてくる。
なんだ、なんだ。
何する気だ?

脳筋が顔を近づけてくる。

「なぁ、ノエルと婚約破棄したなら、俺と婚約しねえ?」








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