上 下
20 / 126

私はこっちのタイプが苦手です。

しおりを挟む
とことことこ。

アリスと帰宅。

「何か・・・。王子の性格が何か違うんだけど・・・。
あとウルフィン様も、あんなにウザい感じだったかなぁ?」

アリスの呟き。
そうなんだ。
デフォの性格も知らない私にすれば、あまり興味を引く話では無いので、
それには触れずにいよう。

道中。


まぁ、予想していた。予想していたけど、裏切ってくれれば良かったのに、
道の角に青色の髪が見え隠れしているのが分かった。

アリスも気づいたらしく、

「リヒト様だ・・・。私、あのキャラクター苦手。」

腹黒キャラは苦手なのですか。
私も別に好きでは無いから、通り過ぎるか。

通り過ぎる前に、すっと前に出て来た、えっとリヒト?だっけか。

「や、やあ、偶然ですね?」

うわぁ・・・・。
アンタの頭見えてたからね?
偶然とか、恐ろしいわぁ。

口元が引き攣る私。
アリスを見るとアリスも引き攣っている。
乙女ゲームが好きな彼女も、リアルに待ち伏せされると引くんだな。

ドン引きな目線をリヒトに向けていると、何故か彼は頬を赤らめる。

「じ、実は偶然では無く、君を待っていました。」

ああ、嘘吐いてたから後ろめたくなった訳ね。

「でしょうね。貴方の頭見えていましたよ。」

「・・・!!そ、そうなのですか・・・。」

あれ、頭良いキャラじゃなかったっけか?
無言のままでいると、リヒトは指をもじもじさせながら言う。

「あ、あの・・・。私は・・・君と少し話がしたくて、その・・・待っていたのです。」

「私にはお話するような事はありません。」

一刀両断する。

「・・・・!!!」

ん?

「もう行っても宜しいですか?」

「ちょっと、待って下さい!」

私の腕を掴むリヒト。
瞬間、ぞわあああああと鳥肌が立ち、すごい勢いで振り払う。

「そう軽々しく女性の体に触る事はどうかと思いますよ。」

リヒトは振り払われた手を、もう片方の手で押さえ俯く。
あれ?強く払い過ぎて怪我させたのかな。

「あ、あああああ。」

ん?
どうしたんだろう?

「あ、あの、爪かなんかを当ててしまいましたかね?」

ばっと顔を上げ、顔を真っ赤にさせてリヒトが私を見る。

「あああああ!!!ミリアム嬢!!」

「ひっ!!!」

思わず悲鳴を上げる。
コイツはやっべえ奴だ!

「貴女のその、私を見る瞳、その仕打ち!!」

おい、やめろ。やめてくれよ。

「私は、貴女に罵倒されて、自分の中に何かが芽生えました!!
それが、何なのか今まで分かりませんでしたが、
今、こうして貴女に受けた痛みが、
至上の喜びの様に感じられました!!!」


ひぎゃあああああああ!!
いやああああ!!!!

駄目な奴!!!
これ、私の駄目な奴!!!!

「リ、リヒト様?頭を何処かで打ち付けられて、おかしくなりましたか?
おかしくなりましたよね?」

「いいえ?いいえ!!私は、新しい自分を見つける事が出来たのです!!
ミリアム嬢・・・!!貴女のおかげなのです!!!
どうか、私を更なる高みへとみちび・・・」


恐怖で固まっている私の手を取って、猛スピードで走りだすアリス。

「あああああ!!ミリアム嬢!!!!!
私は、私は諦めませんよ!!!」

後ろで、悶えながら叫ぶリヒト。
もうあれ腹黒でなくて、マゾと呼ぶ事にする。

「何アレ!!!??何アレ!!!!
リヒト様、あんなキャラじゃなかったのに!!!
ミリアム、アンタ何言ったの!!??」

前を走るアリスが混乱しながら、騒ぐ。

「私は、何も。」

ああ、怖かった。
私、腹黒はまだいいけど、アレは本当に駄目だ。
アレはアカンのや。
思わず変な言葉になったけど、ああいうタイプが苦手なんです。

「本当、何かがおかしくなってる。
どうすんの、これじゃあ、クリス様も絶対・・・。」

「アリス、それは言ったら駄目なやつですよ。」




はい、またフラグが建ちました。
ありがとうございました。

しおりを挟む

処理中です...