転生?乙女ゲーム?悪役令嬢?そんなの知るか!私は前世の夫を探しに行く。

コロンパン

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皆様のご期待に応えます。

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息も絶え絶えに、私達は家に辿り着き中へ入る。

「はぁ・・、はぁ・・・。もう、大丈夫、よね?」

「・・・アリス、また言いましたね?どれだけフラグを建てるのが好きなんですか。」

「へ、へぇ?」

もう、駄目だ。フラグは建ってしまった。
恐らくは、最後のアイツがアリスが言う事が間違いないのなら、
性格が変わってこちらに接触してくるだろう。

「お嬢様!お帰りなさいませ!」

びっくううう!!
本当に私の体は1センチは浮いただろう。
それぐらい驚きで飛び上がる。


「た、ただいま。リリィちゃん。」

「お嬢様?こちらの方は?」

リリィちゃんが私の隣に居るアリスを見る。

「こちらは今日お友達になったアリスです。
少しお話がしたくて、家にお招きしました。」

「アリス・ロズウェルです。よろしくお願いします。」

リリィちゃんは私とアリスの顔を見比べて、
そして・・・・泣き出した。

「まさか、まさかお嬢様に・・・!
お友達が出来る日が来るなんて!!!
しかも屋敷にお招きまで!!!
ああ、こんなに嬉しい事はありません!!!!」

顔を手で覆い、わんわん泣くリリィちゃん。
どうしたらいいか分からずにアリスに助けを求める様な目線を送る。

アリスは肩を竦めて言う。

「仕方ないわよ。ミリアムって、凄く使用人にも酷く当たるキャラだったし。
悪役令嬢ってそんなもんでしょ?」

そうか・・・。
リリィちゃんの肩をさすり宥める。

「心を入れ替えたから、もう大丈夫だから。」

「ずずっ。ばい・・・。本当に良かったですぅ・・・。」


何かすみません。
心配かけて。

何とも言えない気まずい気持ちになる。

「あ!忘れていました!お嬢様にお客様がいらっしゃっています。」

本当に思い出したようで、リリィちゃんは慌てる。
その・・・お客は・・・要らないなぁ・・・。

「念の為に聞くけど、誰?」

聞きたくないけど、仕方ない。
二コリと頷いて、リリィちゃんは言う。

「はい!クリス様です。」

ダ・ヨ・ネ!

分かってたYO!

「・・・・そう。」

「ミリアム・・・。」

アリスが不安そうな顔をしている。
私も不安だよ。

覚悟を決めて、応接室へ。


「おかえり~。ミリアム嬢!待ってたよ~。」

出された紅茶を飲みながら、呑気な感じでこちらに話しかけるショタクリス。

「・・・何故、ここに居るのですか?」

「ん~?ミリアム嬢に会いに来ただけだよ?」

「はぁ。」

「何なの?その素っ気無い返事~。」

いや、私は会いたくないからねぇ。
テンション上がる訳無いよね?

「僕さぁあ?あんな事言われたの初めてなんだよねぇ?」

はぁ。
もう、何も答えずにいよう。

「嘘泣きも見抜かれたのも初めてだしさ。
本当の僕の事も分かってくれてる、って感じたんだ。」

いや、本当の君とか知らない。

「僕、ミリアム嬢の事、本当にお嫁さんにしたいんだぁ。」

お嫁さんにして要らん!!

「でね?僕の屋敷でずぅーっと二人で一緒に居るの。
ずぅーっとね?」

お?お?

「僕達以外の人間なんて要らないよね?
僕は君の事しか見ないし、君も僕の事しか見ないでね?
僕の屋敷から一歩も出ずに暮らせる様にするから、
ミリアム嬢はなぁんにもしなくてもいいんだよ?」

これは、あれだな。
ヤンのデレだな。

「ねぇ?ノエルと婚約破棄したんでしょ?
だったら、これから求婚の話がたぁくさん来ると思うんだぁ。
色々面倒臭くなるよ?
僕と婚約しておいた方が楽だよ?
公爵だし、僕の家。」

公爵。いまいちピンと来ないけど、高位な事は分かる。
まぁ、それよりも。

「折角ですが、ご遠慮します。」

二コリと笑う。

「何で?」

表情を変えずに、私を見るクリス。
負けないですよ?

「私、貴方の事タイプじゃないです。
そんな変質的な恋愛、興味ないです。」

「タイプじゃない・・・。」

「はい、ええと、多分以前にも言ったと思いますが、
貴方のような可愛さをアピールする感じの男の人、
まーったく私の好きなタイプじゃないです。
本当に勘弁してください。」

「何で?」

何でも何も・・・。

「いや、だから貴方を好きになる事は絶対にありませんので、
諦めてください。
他の、貴方を分かってくれる人を見つけてください。」

「・・・・・・・。」

黙った。
怖いな。

ゆっくりと立ち上がり、扉へ向かうクリス。
ピタリと立ち止まり、首だけ此方へ向く。

「今日は帰るよ。
でも、君の事は諦めないからねぇ?
ふふふ。
面白くなってきたなぁ。
ふふふふふふ。」

そう言い残し、去って行った。

残された二人は、無言。

どいつもこいつも、諦め悪いな、本当に。

「また、性格変わってる。何なの一体。」

アリスが混乱気味に言う。

「アリス、取り敢えずお茶を飲んで落ち着いて、
それからお話しましょうか。」

「そ、そうね。」


取り敢えず、話をしよう。
全てはそれからだ。







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