転生?乙女ゲーム?悪役令嬢?そんなの知るか!私は前世の夫を探しに行く。

コロンパン

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気になるのはそこ

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「ではでは、ちょっとだけ入ってみましょうか。」

紅炎は私と、黄雷はシュタイナーと、蒼氷と黒羽はアリスに。
それぞれ付いてダンジョンへ。

『ご主人!ご主人の事は俺が守るぜ!』

「おうおう、ありがとうねぇ。紅炎。」

『ねえねえ、シュタイナ~。君は何か好きな食べ物ある~?』

「え?ええと、特に好きっていう食べ物は無いかな?」

『ふ・・・アリス。俺が必ずアリスを守ってやる。』

『アリス・・・。君の髪はとても綺麗だ。』

「あ、ありがとう・・・。」

玉ちゃんズが思い思いに私達に話しかけてる。
話しかけてる様に感じる。

う~ん、我ながら珍妙な物を作ってしまった。
自分の才能が怖い。


・・・いや、私の細胞が駄目だったのか。
ポンコツ細胞だからな~。

しみじみ思いながら、歩く。


「あっ!ミリアム、気を付けて!!」

後ろからシュタイナーの緊張した声がする。

「モンスターよ!!」

アリスも少し強張った声で私に叫ぶ。

私の目の前には、角の生えたウサギの様な小動物が居た。
ウサギの様なと言うのは、角が二本ウサギの耳の様に生えていたからウサギに見えただけで、
コイツの耳は何処にあるんだろうと疑問に思い、近づいた。


「危ない!!」

シュタイナーは声を上げる。
私が近づいた事でそのウサギもどきが警戒態勢を取る。

頭を私に向けて突進する様な姿勢だ。

「ミリアム!あれはホーンキャットだ!
あの角で獲物を串刺しにするんだ!
あれはもう攻撃姿勢を取っている。
いつ攻撃されてもおかしくない。
早くその場から離れるんだ!!」

シュタイナーが丁寧に説明してくれた。
ホーンキャット・・・。
ネコ科なのか。
確かにあの角で刺されたら足が貫通するな。
50センチ位はあるもんな。

刺さったらの話だが。


「大丈夫ですよ~。」

私は更に近づく。
ホーンキャットはグルルルルと唸り声を上げて威嚇してくる。


まぁ、言われてみれば猫か。
耳、耳は何処だ。
耳を見せろ。


奴の射程範囲に到達したのか、ホーンキャットは地面を蹴って私を目掛けて猛スピードで突進してきた。


ガッ!!!!
衝突音が響く。


「きゃああああああ!!」

アリスの悲鳴。

「ミリアム!!!!」

シュタイナーの声。


「はい、何でしょう。」

私は平然と答える。


「え・・・、ミ、ミリアム?
無事なの・・・?」

アリスの戸惑いの声。

「無事だよ。」

サラリと言う。

「い、一体どういう・・・!!!!??」

シュタイナーが驚愕で目を見開く。

ホーンキャットの角は確かに私に当たった。
当たったが、刺さっていない。

私の足で角が止まっているのだ。
ホーンキャットも驚いているようで何回も私に角をぶつけてくる。

私は体に強化魔法をかけていた。
なので、こんな小動物の突進くらいではびくともしない。

「ふはははは。
私を倒したければ核弾頭でも持って来るんだな!」


言ってやった。
言いたかった台詞を言ってやったぞ。

「カ、クダントウ?ミリアム、何を言っているの?」

シュタイナーは困惑気味だ。
そりゃそうだ。
核弾頭なんてこの世界には無いだろうしな。

「いえ、単なる自己満足です。気にしないでください。」

「そんな事より、私はアンタの体が気になるわよ。」

アリスもスルーしてくれた。

「アリス、私の体が気になるとは中々助平ね。」

自分の上半身を抱き締める。
アリスはぼわっと顔が赤くなり、私の所へホーンキャットの様に猛突進しそうな勢いだ。
でも、今来たら危ない。
私はニコリと微笑みアリスに言う。

「アリス、危ないからそこで大人しくしててね。」

アリスの事を考えて言っただけなのだが、何故かアリスが顔を更に赤くさせる。
ああ、あんなに頬っぺたを膨らませて、可愛いなぁ。


「・・・馬鹿!!!」


・・・馬鹿って言われた。


未だ私の足を攻撃してくるホーンキャットに八つ当たりしてしまいそう・・・。
いい加減にしろ!!
もう諦めろよ。

私は足元のホーンキャットの角をむんずと掴み上げる。

ホーンキャットは足をバタつかせて抵抗する。
逃げられまい。
ホーンキャットを凝視すると、

「ピギャ!!ピギャ!!」

悲鳴を上げて暴れだした。
何も殺したりはしないのに、震えているみたいだ。

耳を探したいだけなのに。

「耳は何処だ?」

角を持ったままホーンキャットの体を回す。

「見当たらない。」

「・・・ミリアム、何をしているの?」

堪り兼ねたシュタイナーが私に問い掛ける。

「コイツの耳は何処かなと探しているんです。」

「え?」

何言ってんだ、コイツみたいな顔をしている。
私はホーンキャットの角を指差して説明する。

「これは角ですよね?本来在るべき耳は何処なのか気になって、気になって。」

「そ、それで近寄ったの・・・?」

「はい。」

シュタイナーは顔を手で覆い項垂れる。

「何て無茶苦茶なんだ。」

「へへっ。」

懐かしの少年漫画の様に鼻を指で擦る。

「褒めてないから。」

シュタイナーからツッコミが入る。
知ってる!

「ホーンキャットに耳は無いよ。」

「え!?無いんですか!」

何と衝撃の事実。
耳が無いなんて。

「では、どうやって音を聞き取れるんですか?」

「耳の代わりにその大きな角が音を拾うんだよ。
だから角が折れてしまえば、周囲の音が聞こえなくなる。」



私は角を掴んだままのホーンキャットをそっと地面に降ろした。

どえらい事になる所だった。
動きを止めるために足で踏みつけようとしていた。
角を折る勢いで。

危ない、危ない。

「ピギー!!」

一声鳴いてホーンキャットは奥へ逃げて行った。


「さて、進みますか。」

気を取り直して、先へ進む。

「ミリアムって、いつもあんな感じなの?」

「え、あ、まぁ・・・そうですね・・・。
あんな感じです。」

アリスとシュタイナーは私の後でヒソヒソ声で話している。

聞こえてるからね、私地獄耳だから。
敢えて聞かなかった事にして歩みを進める。


すると、奥からドドドドドドドドドと地鳴りのような音がした。


「・・・・なんだろう。」

シュタイナーが警戒する。
私は念の為に城壁の様な防御シールドを展開する。







「グギャアアアアアア!!!」


雄叫びと共に現れたのは先程のホーンキャットより10倍以上大きいモンスターだった。
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