転生?乙女ゲーム?悪役令嬢?そんなの知るか!私は前世の夫を探しに行く。

コロンパン

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よし!そこまで言うのならそうしようじゃないか!

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「もう、先の事考えるのは止めておくわ。何か無駄な気がするし。」

諦めの境地で呟いた。
アリス、疲れているみたいだね。
ほら、私が紅茶を淹れてあげよう。

無言で見て来るけど気にしない!

「・・・んで、シュタイナー様呼ぶの?」

アリスは紅茶を飲みながら言った。

「おお、そうだった。呼びに行こう。」

私は応接室を出て、シュタイナーの部屋へ向かう。
ノック音の後、少し間を置いてシュタイナーの返事がした。

「はい。」

「お兄様、ちょっとお話したい事があります。
お時間少し宜しいですか?」

そう言うと、考える時間も無く扉が開いた。
出て来たシュタイナーはまだ不安げな表情のままだった。

「私に話って・・・。」

う~ん、女性にしか見えない。
こう心細げな感じ、私には醸し出す事が出来ないものだ。
なんだろう、造形は格段に飛躍しているのに、中身がどうしようもないと残念物質が滲み出て来るのか。

いや、別に褒め囃されたいとか、モテたいとかは無い。
こう・・・・・勿体無い?
ナルシストでは無いが、折角の美少女なのにそれを活かす手腕が私には無い。

全く実に残念だ。

「ミリアム?」

「ああ、ごめんなさい。自己分析して、事故ってました。」

「え?あ、うん。」

何?このウィットに富んだジョークが通じなかっただと・・・?

「何でもないです。さっきの人の事とかの話をしたくて、応接室に行きましょう。」

「ああ、そうなの。分かったわ。」

二人で応接室へ向かった。

デイヴィッドは相変わらずにこやかにセイさんとアリスと談笑していて、銀華さんは眠ったまま。
私達に気付いて、三人共立ち上がる。

シュタイナーを席へ促し、皆が座る。

そうして大まかな話を私の口から話す。
最初は怪訝な顔をしていたシュタイナーだったが、自分の出自などの話が出ると顔色が変わった。

魔王になる可能性がある事実に、顔面が蒼白になっていく。
そうだよな、自分が魔王になってこの世界を脅かす存在であるなんて信じたくないよな。
ただでさえ、元々自己評価が低かったのに、その事実を知ってショックを受けない訳が無い。

セイさんも顔色が悪い。
シュタイナーの話は詳しくはしていなかったしね。


「ほう、やはりそうであったか。」

あら、銀華さん、いつの間に起きてたの?
黄金の目を細めてこちらを見ていた。

「銀華さん、知っていたんですか?」

フフンと鼻を鳴らしてセイさんを顎でしゃくった。

「こやつとも前に話しておった。お主の兄の力は魔の者によう似ておる。そうした者は妾は以前一人会うた事がある。」

「それが、魔王ですか?」

銀華さんは頷く。

「何百年か前にそ奴に似た風貌をしておる男を見た事がある。同じような魔の力を身に宿しておった。
何とも危うげな瞳をしておったが、所詮は人の子。気にも留めなかったが、それから数年後、魔王なる存在が世を賑わしおっての。
妾達龍種には直接関わりが無かったからの、静観しておった。」

少し緊迫した空気になった。
誰も口を開く者は居なくて、銀華さんの話に聞き入っていた。

「魔王に与する輩は、人間の国を度々襲い、幾つかの国は滅亡したと聞く。
じゃが、幾つかの国を滅ぼした後、魔王の動きは鳴りを潜め、その後どうなったかは誰も知らん。」

「そ、そんな、銀華さんはそれを知っていて何もしなかったのですか?」

シュタイナーが信じられないという表情で銀華さんに言う。

「何故?妾が?」

「え・・・。」

銀華さんの返しに、言葉に詰まるシュタイナー。

「何故妾が人を助ける道理がある?」

「だ、だって、国が滅んで・・・。」

「妾には関係の無い事じゃ。人がどうなろうとな。」

そら、そうだ。
銀華さんはドラゴンだ。
人間の国を守る義理は無い。

「お兄様、銀華さんはドラゴンなので人間同士のいざこざに介入しないですよ。」

「そ、それは・・・。」

シュタイナーが言い淀む。

「銀華さんの家とかを荒らされたとかなら分かりますけどね。」

「うむ。それは極刑に値する。」

大きく頷く銀華さん。
人間の善悪はドラゴンには関係ない。
当たり前の話だが。
銀華さんが言うには魔王も人だったとの事だから、大方何か手酷い裏切りでもされたのだろう。
その滅んだ幾つかの国に恨みでもあったのだろう。
それ以降姿を見せなくなったのだし、底暗い憎しみが引き金になり、それを晴らした後、何処かでひっそりと余生を過ごしたんじゃないかな。

「何か、魔王になる様な出来事が起こったんじゃないかな?」

ポツリとデイヴィッド。
一同が彼の方へ視線を送る。
それが気まずかったのか頬をぽりぽり掻きながらデイヴィッドは続ける。

「国を滅ぼす程の辛い出来事が、そうじゃなければ人がそうそう魔王になったりしないんじゃないかな?」

「でも、それで国を滅ぼして良いって訳じゃ無い!」

シュタイナーがデイヴィッドに食って掛かる。
デイヴィッドは困った様に笑う。

「うーん。良いとは言ってないけど、魔王になるきっかけの話なんだけどな。
シュタイナーさんが今そう思っている内は、魔王になる事は無いからそんなに心配しなくても大丈夫じゃないかと思っただけだ。
シュタイナーさん、凄く不安な顔をしてたからね。」

デイヴィッドは魔王であった人間と同じ風貌、魔力と言われて、顔色が変わっていたシュタイナーを気遣ったようだ。
シュタイナーは少し俯き、考え込む。

「それにミリアムが居るから、君は魔王にならないよ。」

顔を上げたシュタイナーにデイヴィッドは笑う。
その笑い、優しい笑みと違う。
私には分かる。

「だって、どう考えてもミリアムの方が魔王に似合うじゃん。」

やっぱりな!!
コイツは私を揶揄いたくて仕方ないんだ!
結構シリアスな話してんのに、お構いなしだよ!!



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