ああ、もう

コロンパン

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これは罰なのでしょう

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体が冷えていくのが分かりました。
ああ、とうとう来てしまったのだと、諦念にも似た感情が心を占めました。

殿下は自分の恋い慕うコーデリア様と毎日過ごしている私を戒めに来たのでしょう。
幸せな時間はもう終わりを告げ、私は現実と向き合わなければいけません。

「はい。コーデリア様にはいつも良くして頂いております。」

上手く話せたようです。
ほう、と胸を撫で下ろし、コーデリア様と離れる事に悲しみ、打ちひしがれていたせいで殿下の声が不敬にも聞こえなかったのです。

「・・・・俺との茶会を差し置いて、アイツを優先させるのだな。」

殿下のお言葉が聞き取れませんでした。

「申し訳ございません。今、何と仰られたのでしょうか?」

「・・・・何も言ってなどいない。」

確かに何か仰られた筈なのですが、殿下は愚鈍な私に呆れてしまったのでしょう。
口を引き結び、声を発する事はありませんでした。

ああ、私はまた殿下の気分を害してしまったのだ。
殿下の御前で他事を考えるなんて不敬も良い所だ。

殿下はきっとコーデリア様をお迎えに来られたのだ。
私が自分の為に彼女を引き留め続けたから。

殿下とコーデリア様の仲を引き裂く愚かな行為。
それが殿下の怒りを買ったのでしょう。

コーデリア様が此処に来られたら、私はこの場から辞する事にしよう。

その矢先に、コーデリア様がいらっしゃった。

「アイリ様!お待たせいたしまし・・・・・た・・・・。」

彼女の明るい声が、この言いようのない雰囲気にかき消されました。
それもそうでしょう。

殿下と婚約者である私が立ち尽くした状態でコーデリア様を待っていたのですから。

「・・・リア様・・・。」

私は思ったより弱々しい声で彼女の名を呼びました。

「ア、アイリ様・・・、これは一体・・・?」

コーデリア様に事情を説明する前に。

「アイリ?リア、だと・・・?一体、どういう事だ。」

殿下の地よりも低い声が、私の耳に届いたのです。

コーデリア様と幾度かお話して、彼女に愛称で呼んでも良いかと尋ねられ、嬉しさから二つ返事で了承しました。
コーデリア様もリアと呼んで欲しいとお願いされて、気恥ずかしいながらも私は初めての事に喜びを感じていました。

今までそんな事をお願いされた方は居なかったのです。
それを断るなんてどうして出来ましょうか?
嬉しかったのです。
どうしようもなく嬉しかったのです。

「あ~・・・。私が言い出した事なんです。」

コーデリア様が気安い言葉で殿下に説明なさいます。
胸に爪を立てられる痛みを感じました。

どちらに?
殿下?コーデリア様?
いいえ、どちらにも、でしょう。

いつから私はこんなに欲張りになってしまったのでしょうか。
殿下への想いはまだ断ち切れていない。
コーデリア様との友愛を諦められない。

醜い、醜い、醜い。
何て醜い私。

私はお二人をただ見つめるだけの生活に戻るのです。
戻れるのでしょうか、苦しさだけが増す孤独な生活に。

今も、ほら、見つめるしか出来ないのです。
殿下とコーデリア様が見つめ合う、光景を。

洋服の裾を握り絞め、一歩後ろへ下がります。



「来いっ!!」

体が引かれ、私は一瞬、何が起きたのか分かりませんでした。
私の腕を掴むのは、殿下で。
その前を歩く殿下と、後ろに残されたコーデリア様と視線が行き来しました。

何故、私を?
理解不可能な状況に為すすべもなく、殿下に掴まれた腕が熱いだけ、それだけしか分かりませんでした。




ある部屋の前で殿下の足が止まりました。
この学園に設けられた王族のみが使用できる私室。

殿下は衆人の中で婚約の解消を言い渡すのを避けて下さったのです。
部屋の中へ誘われ、私は覚悟を決めて足を踏み入れました。


「座れ。」

部屋の中央にテーブルと、対に位置するソファが配置されていました。
私は促されるまま、ソファへ腰を下ろします。

殿下も対面のソファに・・・・・。
何故でしょうか、私の隣に腰を下ろされました。

「で、殿下・・・?」

困惑したまま殿下を見ると、彼は怒りの表情で私を睨むと静かな声で仰りました。

「貴女は、誰の、婚約者なのだ?」


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