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エンディング

エピローグ

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 泉から黄金の光が溢れ出し、その光に溶かされるように城の建つ大きな氷山は崩れていきます。
その上にいるシンたちも逃げることは叶わず、氷にのみ込まれて行きました。

 そして津波のように光は広がり、大地のすべてを覆いつくしたのでした。

「みんな……」

 気がつくとそこは闇の中でした。

 真っ暗な中にどうしてだか無数の泡が上っていくのだけが見えるのです。

「これが本物の世界なの…」
「いいえ、ゆっくりと目をあけてごらんなさい」

 遠くから聞こえたのはとても優しい声でした。
 そして、夢から覚めるように目を開くとそこには。

「お父さん…お母さん…」
「そうだよ、シン」
「おかえりなさい、シン」

 覚えていないはずの両親。

「大丈夫?」

 その後ろにはベマやみんなもいたす。

「みんな!」

 そして見たこともないその場所にどうしてだか懐かしいのです。

「世界は…壊れてしまったの?」

 そっと呟いたその言葉に穏やかで暖かな声が答えをくれました。

「いいえ、ゆっくりとゆっくりと戻っていくのよ」
「そうあなたが望んだから。無からの始まりではなく、時間はかかるけれど、このまま歴史は紡がれていくの」

 みんなとても幸せそう笑っていました。




 そこは深い深い谷の底。
 けれど、光に溢れたその場所は多くの人が訪れます。
 そこで生まれた男の子。
 元気に大きく育ち、村の人たちを助けます。
 そうしていつまでもいつまでも幸せに暮らしたのでした。





 おしまい
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