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次に目を開いた時はしばらく状況が理解できなかった。
いや、分かる。
何も覚えてないわけじゃないから。でも頭が受け入れるのを拒否してるんだから仕方ない。
正確には心がかな。
広いベッドには自分以外の姿はない。
鈍い体をゆっくり起こして、ベッドヘッドのたくさんの枕に埋もれるようにもたれた。
「お金持ちは枕の数まで無駄に多いんだなー」
意味なく呟いて窓の方に視線を投げると、僅かにカーテンの隙間から漏れる光からなんとなくの時間を探る。
たぶん夜明け直後ってところかな。
現役の騎士は訓練を欠かさないって言うし、アズル様は朝の鍛錬にでも行ってるんだろう。
僕は正直もう少し寝たいところだけど、激しすぎた運動のせいで眠る体力さえ奪われたようだ。
二、三日寝なくても大丈夫な体力はあるけど、それって持久走的な体力で、激しい体の動きに慣れたものじゃない。
これは時間が必要な疲労だな。水分取って果物くらいの軽い食事でまた少し寝て、またちょっと食べて水飲んで寝てを繰り返して、夕方くらいにゆっくり風呂でも入って、それからしっかりとした食事で、夜しっかり寝る。
だから気を使うような余裕はないが、ここではそれが難しいだろう。
「家帰りてぇー」
「連れないな」
音もなく部屋に入るなんて近衛騎士の副団長にはマジで朝飯前だ。
王族に仕えてるんだからは配慮なんてものは呼吸するようにできるんだろう。それを僕にも使うのが宝の持ち腐れだと思ったが、いやこれは適切な言葉ではないなと、僕はまだ寝ぼけている自分を自覚した。
豚に真珠かな。とくだらないことをつい思いながら返事をする。
「おはようございます」
「話し方、もう慣れたかと思ったよ」
「気分を害さない程度に口調を緩めるほうが疲れるんですよ」
すぐ横に腰掛け、僕の頬を手の甲で撫でるアズル様は珍しく困ったような笑顔になった。
「お前の癒やしになれるにはまだまだだな」
「癒し、ですか?」
僕を癒やして何かあるのだろうか。
その質問には答えてくれずに、水差しから一杯分注いで渡してくれた。
「ありがとうございます」
「声が少しは枯れてるな。もっと寝てなくて大丈夫なのか?」
その配慮こうなる前に欲しかった。
そう思う感情ができるだけ言葉に籠もらないように気をつけなければ。
「大丈夫ではないですね。体はあちこち軋んでますよ、さすがに歩けるとは思いますが、もう少し休ませてもらえると助かります」
「お前まさか帰るつもりなのか?」
目を丸くするアズル様に嫌な予感がする。
「今日も仕事なんですよ、半休は取ろうと思ってますがいくつか急ぎの物もあるので」
「半休じゃない、今日は休みだ。これは命令だ」
「それは上司と相談しないと」
「俺が言っとくから大丈夫だ」
ため息が出てしまった。
この人と結婚したらこれからこんな事が何度あることだろう。確かにアズル様の地位や権限なら僕を休ませることは簡単だ。
僕だって稀に体調を崩して急に休むことだってあった。そんなときに休めないような仕事の仕方はしていない。連絡さえきっちりとすれば他の誰かが助けられるようになっている。
宰相様はそこもしっかりしているから、激務であっても休日もちゃんとあるし、報告、連絡、相談は抜かりないのが我が部署だ。
でも今回のこれはそれとは訳が違う。
何という理由で休ませるつもりなのかは知らないが、婚約者の権力で勤務を休むとなると、僕は今後補佐として使いづらくなるだろう。
いつ休むかは婚約者、後には配偶者の予定が優先されると思われても仕方がない。配偶者の権威が高ければ高いほど、跳ね除けるのは難しいんだから、長期の仕事は回されにくくなるだろうな。
宰相様は跳ね除けてくれるかもしれないけど。
悪あがきしてたけど、アズル様の結婚の意志は硬いようなので、受け入れるしかない。
迷惑掛けないうちに配置転換の希望を出したほうがいいかもしれないな。
寝起きの頭ではそこまで思考するのに少し時間が掛かってしまったのでアズル様が不審がる。
「どうしてそこで黙るんだ」
「考え事をしていたので」
「どうしてそれを俺に話さない」
語気は決して強くはならないが不服であることは伝わってくる。
「話したところで、貴方に振り回されることに違いはないですから」
まだ残る疲れからつい嫌味な言い方になってしまう。
それでもアズル様は落ち着いたまま、距離を詰めることもなく、けれど不満は隠さない。
「お前を無視してるみたいな言い方は心外だ」
「心当たりがないのなら、意識の相違なんでしょうね」
僕の方は喧嘩腰とまでは言わないが、もういっそ嫌われてもいいかなんて、本来の無気力な自分が顔を出して今更投げやりになりつつある。
「お前、怒ってるのか?」
怒っているのはそちらでは?
なんて言わないが、説明するのは面倒くさい。
「怒っていると言うよりは、……いえ、怒ってますよ」
「なんだ、今なにか諦めただろ」
「大概諦めの悪い自分に腹を立てているだけです。ただそれだけです」
僕は、ほんの少しだけ夢見ていることがあった。
爵位を継ぐわけでもなく、我が家と繋がりたいとわざわざ思う貴族もそういないだろうと思っていた。僕自身仕事でしっかりと給料は貰えてて、その仕事もとてもやり甲斐があって、権力や地位からは離れた立場ではあっても、だからこそ結婚は恋愛した相手と、そう考えることのほうが自然だった。
仕事も楽しいし、モテるわけでもないから結婚できない可能性も理解した上で縁があればなんて。
もちろん仕事も続けて行く前提。
今より多少広い部屋を借りて、二人で家庭を作っていく。
でもアズル様と結婚するならば覚悟をしなければならない。貴族社会に浸る覚悟を。
茶会を自主的に開いたりなんてことはほとんどしなくてもいいだろうけど、パーティーには配偶者として横に並ばなければならないだろうし、屋敷に来る客人にはそれなりのもてなしをしなければならないはずだ。それは僕が指示するとかでなくても、笑顔でお話相手をするってだけでも重要な務めだ。
「どうして俺に怒らない」
「怒っても意味がないからです」
「だからそれが何故かと聞いてるんだ」
「貴方と僕は対等ではないからですよ」
驚いた表情をしたことに僕が驚きたい。
「この結婚話が最たるものでしょ、貴方は一度でも僕の意思を確認しましたか? 僕は、家からの手紙で正式に知ったんです。例え貴方が僕を好きだからだとしても、僕にはその時点で拒否権がない。僕が素直じゃないのがいけないと言いましたが、僕はあなたに好意を示したことも、友達になった覚えもありません。ましてや恋人なんて殊更ですよね」
「それは」
アズル様が口を挟むのを僕は許さない。
ここまで疲れたのは久しぶりな上に、そうと分かっているのに休むためにダラケられないから、先のことなど割とどうでも良くなっている。
「強く否定しなかった僕にも落ち度はあります。でも重要な仕事相手だからこそ機嫌を取るのも必要だと思いましたし、貴方だったからこそ僕はそうしても大丈夫だと思ったんです」
「大丈夫、だというのは」
「まさか噂だけを鵜呑みにしたりしないって思ってましたよ」
アズル様は僕が好きにならないからだと言った。
でも特別であるとは思ったのだろう。周りに誤解されるくらには、僕の対応が他とは違ったから。
好きの反対は無関心だとはよく言ったものだ。僕は無関心だったからこそ、仕事が捗ることを優先した。それが他人には好きだと勘違いされ、当人には下手したら嫌悪してるくらいには思われてたかも。
僕は本当にどちらでもなく、ただの仕事上の相手だと円滑さを選んだ結果が、モテる男にはそれが気を引くことになってしまったようだ。
「僕の気持ちを僕以外からの言葉で決めつけたりしないって思ってました」
「それは……悪かった」
いじめるのはこれくらいにしておこうかな。
僕は別にこの人のことが嫌いなわけではない。流されて抱かれるくらいにはすでに受け入れている。
好きになるかどうかは自分次第だ。
できれば幸せだと思える時間は多い方が良い。結婚相手が好きな人ならばそう思える時間は自ずと増えるはずだ。
だって相手はもう僕のことを好きなのだから。
「これからはちゃんと求愛してくださいね」
「いいのか?」
それをあなたが言いますかって話だ。
「だって結婚することは決まってるんでしたよね? 貴方の屋敷で抱かれてしまいましたし、ここの人にそのことがバレているなら、貴方のご実家にもその話が通る。いまさらどう破談に持っていくのか」
「俺が無理矢理にとでも言って」
マジこの人は普段の有能さはどこに行ったのだろうか。
僕はほぼ見たことはないが、体力や武力は当たり前に上級者だけでなく交渉事も話術も巧みだと聞いている。だからただの騎士ではなく近衛騎士なのだ、自国だけでなく他国の王族とも顔を合わせることがあるのだから、色々な機微が大事なのだ。
それがどうしてここでは発揮されないのか。
「これだけ話が回ってて、破談理由がそれじゃあこれから外でどんな目で見られるか。僕は、貴方のことを好きだってことになってるんですよ。だから性の不一致が理由ってことになりますよ」
「それは」
「憐れみとかではなく、かなりの好奇な目に晒されますよ。一体どんなことされたのかなんて、デリカシーの無いやつは聞いてきますよ」
聞いてきたところで僕は適当言うだけだけど。
安易に想像できる未来と、破談してデメリットが多いのは明らかにこちらだ。実家にかかる迷惑も、ここまで来ると大きすぎる。
「本当は、こんなことも言いたくないんですよ」
デメリットが大きいから破断も解消ももう無理だなんて僕の口から言うのは誠に遺憾だ。
「本音を晒すのがそんなに嫌か」
切なそうな表情なんて卑怯だろう。
それだけプライベートなのかもな。
僕もまた隠さずため息を漏らした。
「そういう意味でもありますし、そうでもない意味もあります」
「分かるように言え」
何事も譲歩は必要だ。完璧など求めてもいいことはない。
どんなことでも少しの苦労と努力は当たり前だから、少々手間だが語ることと本性を知られることは甘んじて受け入れよう。
「価値観の違いですね」
「言いたくないか」
簡潔にまとめ過ぎて落ち込ませてしまった、深く話すとますます落ち込ませると分かるようになってしまっているのも、もう深入りしている証拠だな。
それでも求められているから話すけど。
「違います。あなたと僕との価値観、ついでに常識も違うんですよ。だから僕の考えは一から十まで口にしてもあなたに全部は伝わらない。でも少しでも伝えなくてはならないから説明せざるを得ない。そういう意味で本音を晒すのが嫌なんです」
「……そうか」
言っても理解されないことを、そうと分かりながらでも話す徒労感は凄まじい。本音だから晒すのが嫌なのではなく、本音だからこそ伝わらなかったときの辛さがある。さらにそれが伝わらないのだと分かっているのだから、言いたくなくなるのは当たり前ではないだろうか。
「そうでもない方の意味も聞きますか?」
「今のではないのか?」
驚くので解説する。
「今のはそういう意味の方です、そうでもない方のがもっと残酷ですよ。それでも聞きますか?」
「当たり前だ」
きっぱり言い切れるところは素直に感心してしまった。
ただ僕はもう遠回しな言い方もしない。
「こんなことを言わないでもいい相手と結婚したかった」
ここまで実直だとさすがに伝わる。
「確かに残酷だ」
「婚約を破談にしたくなりましたか?」
「それが狙いか?」
「さっき破談になればどうなるか説明しましたよね? 求めてはいません」
「ではどうして」
「聞きたがったのはあなたです」
「怒っているのか」
「腹を括ったんです」
「どういうことだ」
「あなたが求める僕はこうなのでしょう? なんでも思いを口にする。あなたの前では正直にいてほしいのでしょ。ここまで来たら僕としては円満に暮らしていきたいので、譲れる部分は譲ります」
「確かに、素直ではいてもらいたい」
「あなたの前ではでそういう自分でいます。ですから話し方もこうですし、あなたが聞きたくないだろうことも言います」
「それでは……無理やり自分を変えるということか」
素直な自分をさらけ出すというのは一見互いを信用し合っていい関係とされるが、時には一般的な常識を超えていると自覚していることまでみせねばならないし、無防備でいる不安感のようなのもを耐えなくてはならない。
それが楽な関係になればいいのだろうけど、僕は本来ある程度取り繕っている方が楽だ。建前と世間の常識がある方が、意思の疎通がしやすいし、気遣いもしやすいしされやすい。
そしてあくまでも世間の常識であって、貴族の常識ではないところが重要だ。
貴族の常識なんて疲れるだけで、僕には面倒なだけのものだ。それでも必要だと分かっているから最低限身につけてはいるが、駆使するのはしんどい。
高位貴族になればなるほど、駆使しなければならないし、身に付ける最低限はかなり高度なものとなる。
子供の頃からならばそれを常識として身につけているのだろうが、そうなると貴族の常識が一般常識と違うことに気が付かなかったりする。
アズル様はただ地位があるだけの貴族様じゃないので、僕の正直に生きるという宣言が喜ばしいものではないときちんと汲み取ってくれた。
「さすがにそれを分かってくれるだけ、上官の資質が素晴らしいですね」
僕の茶化しも今は返す場面ではないらしい。
「俺はお前を無理やり変えたいわけじゃない」
「仕方ありません、何事も譲歩は必要です」
さっき思ったことをそのまま言葉にした。
「俺といることは、お前をそうまでさせることか?」
「あなたが僕を従えたいわけじゃないことは分かっています。好きという気持ちも疑ってはいません。だからこその譲歩です」
「譲歩ということは譲らない別の部分もあるということだな」
「好きな人と結婚したかったということです」
正直に、だからこそ言葉にする。
僕は本当はぐうたらだが自分の幸せと楽のためなら努力は惜しまない。
汚いところで暮らすより清潔なところにいたいし、できるだけ毎食美味しいものを食べたい。夜はゆっくり布団で寝て、休みの日もゴロゴロしたい。そのためには国が平和であることが一番だから今の仕事もできる範囲だけど精一杯勤めている。
結婚だって理想は諦めていない。
アズル様はずっと辛そうにしているが、仕方ない。
求める僕の姿がこうなのだから。
「俺のことは好きではないんだな」
「婚約を解消しますか?」
「するものか」
「そうですか」
「お前の方こそ」
「昨日までは。さっきから言ってる通り今は望んでいません」
「言動がちぐはぐだ」
「仕方ありません。それをあなたが望むから」
「俺はただお前に素直で居てほしいと」
だから素直な僕はこうなのだ。
分かっているから普段はそれなりに装っているんだから。
「そのうちきっと慣れます」
お互いに。
好きな人と結婚したかったが、結婚した人を好きになれば結果は同じだ。
そして好きな人に好きでいてもらいたいのは僕だってそう。
まだ僕からは好きではないけど、これから好きになる人がこれからも僕を好きで居てくれるのならば、僕が多少変わることは問題ではない。
正直にいてほしいくらいは問題なく叶えられる。
だから今は好きではないとも言うし、それで婚約を破棄されないかと不安を口にするし、だから整合性のない会話にもなる。
職場での馴れ馴れしさは、僕の本性ではない。あくまでも仕事上の演出。目上の人には丁寧で居る方が俄然楽だから、今はまだアズル様とはその方が楽な間柄。
タメ口なんてのは嘘でなければできない。
「以前のほうがいいなら戻しますが?」
「そのままでいい」
凄いな。もう嫌われてもおかしくないのに。
こうもあっさり受け入れるなんて、好きという言葉以上に裏がありそうな気さえするけど、そんなものあっても忍耐力が凄い。
流石尊敬される人物なわけだ。
「人間としては好きですから、無理な話じゃないですよ」
「大いに期待する」
「こちらもこれからも貴方がその気持ちでいてくれることを期待します」
「それは大丈夫だ」
「何事も絶対などありませんから」
そう、素直でいてほしいなんて、実際やってみたら嫌われる可能性も大いにある。
請われるからやってみてはいるが、それがどうでるか。
アズル様の忍耐力がどこまで持つか。
仕事場の僕を好きになったなら裏目だろうな。
不幸せな未来しか想像できない。
それでも、僕は突き進む道を選ぶ。
なぜならそれで不幸せになるのは僕ではなくアズル様だから。
僕はどこでもそれなりに楽しくやるし、適度という意味で適当にやれる。
理想とは違う結婚にはなるが、理想と違うなんてよくあることだし、相手は僕のことを好きだと言っているのだから態度、言動で示してもらおうじゃないか。
「愛するより愛されることも悪くないですしね」
「それは任せろ」
「せいぜい頑張ってください」
それからの日々のことを少し教えてあげよう。
その後もアズル様は腹黒い僕にめげることなく、手厚く相手をしてくれている。
今のところ、アズル様が不幸になる未来はまだ見えない。
そして僕は結婚した務めをそれなりにこなしながら、仕事も程々に続けて結婚したての騒がしさもなくなり、いっそ噂されてる時より静かになった。
アズル様はまずは僕の話し方が砕けたものになるのを目標にしているらしい。
仕事中も普通に丁寧にしても対応してくれるようになったし、最初に休ませた以外はちゃんと仕事に影響がないようにしてくれている。
だから異動願も出さずに済んでいる。
アズル様の愛って偉大。
本当に僕なんかを好きになったことを後悔しないだろうかと申し訳なくなるな。
離縁されても困るけど、好きなふりをするのも違う気がするから、せめても与えられた役割ぐらいは全うしようと思う。
いや、分かる。
何も覚えてないわけじゃないから。でも頭が受け入れるのを拒否してるんだから仕方ない。
正確には心がかな。
広いベッドには自分以外の姿はない。
鈍い体をゆっくり起こして、ベッドヘッドのたくさんの枕に埋もれるようにもたれた。
「お金持ちは枕の数まで無駄に多いんだなー」
意味なく呟いて窓の方に視線を投げると、僅かにカーテンの隙間から漏れる光からなんとなくの時間を探る。
たぶん夜明け直後ってところかな。
現役の騎士は訓練を欠かさないって言うし、アズル様は朝の鍛錬にでも行ってるんだろう。
僕は正直もう少し寝たいところだけど、激しすぎた運動のせいで眠る体力さえ奪われたようだ。
二、三日寝なくても大丈夫な体力はあるけど、それって持久走的な体力で、激しい体の動きに慣れたものじゃない。
これは時間が必要な疲労だな。水分取って果物くらいの軽い食事でまた少し寝て、またちょっと食べて水飲んで寝てを繰り返して、夕方くらいにゆっくり風呂でも入って、それからしっかりとした食事で、夜しっかり寝る。
だから気を使うような余裕はないが、ここではそれが難しいだろう。
「家帰りてぇー」
「連れないな」
音もなく部屋に入るなんて近衛騎士の副団長にはマジで朝飯前だ。
王族に仕えてるんだからは配慮なんてものは呼吸するようにできるんだろう。それを僕にも使うのが宝の持ち腐れだと思ったが、いやこれは適切な言葉ではないなと、僕はまだ寝ぼけている自分を自覚した。
豚に真珠かな。とくだらないことをつい思いながら返事をする。
「おはようございます」
「話し方、もう慣れたかと思ったよ」
「気分を害さない程度に口調を緩めるほうが疲れるんですよ」
すぐ横に腰掛け、僕の頬を手の甲で撫でるアズル様は珍しく困ったような笑顔になった。
「お前の癒やしになれるにはまだまだだな」
「癒し、ですか?」
僕を癒やして何かあるのだろうか。
その質問には答えてくれずに、水差しから一杯分注いで渡してくれた。
「ありがとうございます」
「声が少しは枯れてるな。もっと寝てなくて大丈夫なのか?」
その配慮こうなる前に欲しかった。
そう思う感情ができるだけ言葉に籠もらないように気をつけなければ。
「大丈夫ではないですね。体はあちこち軋んでますよ、さすがに歩けるとは思いますが、もう少し休ませてもらえると助かります」
「お前まさか帰るつもりなのか?」
目を丸くするアズル様に嫌な予感がする。
「今日も仕事なんですよ、半休は取ろうと思ってますがいくつか急ぎの物もあるので」
「半休じゃない、今日は休みだ。これは命令だ」
「それは上司と相談しないと」
「俺が言っとくから大丈夫だ」
ため息が出てしまった。
この人と結婚したらこれからこんな事が何度あることだろう。確かにアズル様の地位や権限なら僕を休ませることは簡単だ。
僕だって稀に体調を崩して急に休むことだってあった。そんなときに休めないような仕事の仕方はしていない。連絡さえきっちりとすれば他の誰かが助けられるようになっている。
宰相様はそこもしっかりしているから、激務であっても休日もちゃんとあるし、報告、連絡、相談は抜かりないのが我が部署だ。
でも今回のこれはそれとは訳が違う。
何という理由で休ませるつもりなのかは知らないが、婚約者の権力で勤務を休むとなると、僕は今後補佐として使いづらくなるだろう。
いつ休むかは婚約者、後には配偶者の予定が優先されると思われても仕方がない。配偶者の権威が高ければ高いほど、跳ね除けるのは難しいんだから、長期の仕事は回されにくくなるだろうな。
宰相様は跳ね除けてくれるかもしれないけど。
悪あがきしてたけど、アズル様の結婚の意志は硬いようなので、受け入れるしかない。
迷惑掛けないうちに配置転換の希望を出したほうがいいかもしれないな。
寝起きの頭ではそこまで思考するのに少し時間が掛かってしまったのでアズル様が不審がる。
「どうしてそこで黙るんだ」
「考え事をしていたので」
「どうしてそれを俺に話さない」
語気は決して強くはならないが不服であることは伝わってくる。
「話したところで、貴方に振り回されることに違いはないですから」
まだ残る疲れからつい嫌味な言い方になってしまう。
それでもアズル様は落ち着いたまま、距離を詰めることもなく、けれど不満は隠さない。
「お前を無視してるみたいな言い方は心外だ」
「心当たりがないのなら、意識の相違なんでしょうね」
僕の方は喧嘩腰とまでは言わないが、もういっそ嫌われてもいいかなんて、本来の無気力な自分が顔を出して今更投げやりになりつつある。
「お前、怒ってるのか?」
怒っているのはそちらでは?
なんて言わないが、説明するのは面倒くさい。
「怒っていると言うよりは、……いえ、怒ってますよ」
「なんだ、今なにか諦めただろ」
「大概諦めの悪い自分に腹を立てているだけです。ただそれだけです」
僕は、ほんの少しだけ夢見ていることがあった。
爵位を継ぐわけでもなく、我が家と繋がりたいとわざわざ思う貴族もそういないだろうと思っていた。僕自身仕事でしっかりと給料は貰えてて、その仕事もとてもやり甲斐があって、権力や地位からは離れた立場ではあっても、だからこそ結婚は恋愛した相手と、そう考えることのほうが自然だった。
仕事も楽しいし、モテるわけでもないから結婚できない可能性も理解した上で縁があればなんて。
もちろん仕事も続けて行く前提。
今より多少広い部屋を借りて、二人で家庭を作っていく。
でもアズル様と結婚するならば覚悟をしなければならない。貴族社会に浸る覚悟を。
茶会を自主的に開いたりなんてことはほとんどしなくてもいいだろうけど、パーティーには配偶者として横に並ばなければならないだろうし、屋敷に来る客人にはそれなりのもてなしをしなければならないはずだ。それは僕が指示するとかでなくても、笑顔でお話相手をするってだけでも重要な務めだ。
「どうして俺に怒らない」
「怒っても意味がないからです」
「だからそれが何故かと聞いてるんだ」
「貴方と僕は対等ではないからですよ」
驚いた表情をしたことに僕が驚きたい。
「この結婚話が最たるものでしょ、貴方は一度でも僕の意思を確認しましたか? 僕は、家からの手紙で正式に知ったんです。例え貴方が僕を好きだからだとしても、僕にはその時点で拒否権がない。僕が素直じゃないのがいけないと言いましたが、僕はあなたに好意を示したことも、友達になった覚えもありません。ましてや恋人なんて殊更ですよね」
「それは」
アズル様が口を挟むのを僕は許さない。
ここまで疲れたのは久しぶりな上に、そうと分かっているのに休むためにダラケられないから、先のことなど割とどうでも良くなっている。
「強く否定しなかった僕にも落ち度はあります。でも重要な仕事相手だからこそ機嫌を取るのも必要だと思いましたし、貴方だったからこそ僕はそうしても大丈夫だと思ったんです」
「大丈夫、だというのは」
「まさか噂だけを鵜呑みにしたりしないって思ってましたよ」
アズル様は僕が好きにならないからだと言った。
でも特別であるとは思ったのだろう。周りに誤解されるくらには、僕の対応が他とは違ったから。
好きの反対は無関心だとはよく言ったものだ。僕は無関心だったからこそ、仕事が捗ることを優先した。それが他人には好きだと勘違いされ、当人には下手したら嫌悪してるくらいには思われてたかも。
僕は本当にどちらでもなく、ただの仕事上の相手だと円滑さを選んだ結果が、モテる男にはそれが気を引くことになってしまったようだ。
「僕の気持ちを僕以外からの言葉で決めつけたりしないって思ってました」
「それは……悪かった」
いじめるのはこれくらいにしておこうかな。
僕は別にこの人のことが嫌いなわけではない。流されて抱かれるくらいにはすでに受け入れている。
好きになるかどうかは自分次第だ。
できれば幸せだと思える時間は多い方が良い。結婚相手が好きな人ならばそう思える時間は自ずと増えるはずだ。
だって相手はもう僕のことを好きなのだから。
「これからはちゃんと求愛してくださいね」
「いいのか?」
それをあなたが言いますかって話だ。
「だって結婚することは決まってるんでしたよね? 貴方の屋敷で抱かれてしまいましたし、ここの人にそのことがバレているなら、貴方のご実家にもその話が通る。いまさらどう破談に持っていくのか」
「俺が無理矢理にとでも言って」
マジこの人は普段の有能さはどこに行ったのだろうか。
僕はほぼ見たことはないが、体力や武力は当たり前に上級者だけでなく交渉事も話術も巧みだと聞いている。だからただの騎士ではなく近衛騎士なのだ、自国だけでなく他国の王族とも顔を合わせることがあるのだから、色々な機微が大事なのだ。
それがどうしてここでは発揮されないのか。
「これだけ話が回ってて、破談理由がそれじゃあこれから外でどんな目で見られるか。僕は、貴方のことを好きだってことになってるんですよ。だから性の不一致が理由ってことになりますよ」
「それは」
「憐れみとかではなく、かなりの好奇な目に晒されますよ。一体どんなことされたのかなんて、デリカシーの無いやつは聞いてきますよ」
聞いてきたところで僕は適当言うだけだけど。
安易に想像できる未来と、破談してデメリットが多いのは明らかにこちらだ。実家にかかる迷惑も、ここまで来ると大きすぎる。
「本当は、こんなことも言いたくないんですよ」
デメリットが大きいから破断も解消ももう無理だなんて僕の口から言うのは誠に遺憾だ。
「本音を晒すのがそんなに嫌か」
切なそうな表情なんて卑怯だろう。
それだけプライベートなのかもな。
僕もまた隠さずため息を漏らした。
「そういう意味でもありますし、そうでもない意味もあります」
「分かるように言え」
何事も譲歩は必要だ。完璧など求めてもいいことはない。
どんなことでも少しの苦労と努力は当たり前だから、少々手間だが語ることと本性を知られることは甘んじて受け入れよう。
「価値観の違いですね」
「言いたくないか」
簡潔にまとめ過ぎて落ち込ませてしまった、深く話すとますます落ち込ませると分かるようになってしまっているのも、もう深入りしている証拠だな。
それでも求められているから話すけど。
「違います。あなたと僕との価値観、ついでに常識も違うんですよ。だから僕の考えは一から十まで口にしてもあなたに全部は伝わらない。でも少しでも伝えなくてはならないから説明せざるを得ない。そういう意味で本音を晒すのが嫌なんです」
「……そうか」
言っても理解されないことを、そうと分かりながらでも話す徒労感は凄まじい。本音だから晒すのが嫌なのではなく、本音だからこそ伝わらなかったときの辛さがある。さらにそれが伝わらないのだと分かっているのだから、言いたくなくなるのは当たり前ではないだろうか。
「そうでもない方の意味も聞きますか?」
「今のではないのか?」
驚くので解説する。
「今のはそういう意味の方です、そうでもない方のがもっと残酷ですよ。それでも聞きますか?」
「当たり前だ」
きっぱり言い切れるところは素直に感心してしまった。
ただ僕はもう遠回しな言い方もしない。
「こんなことを言わないでもいい相手と結婚したかった」
ここまで実直だとさすがに伝わる。
「確かに残酷だ」
「婚約を破談にしたくなりましたか?」
「それが狙いか?」
「さっき破談になればどうなるか説明しましたよね? 求めてはいません」
「ではどうして」
「聞きたがったのはあなたです」
「怒っているのか」
「腹を括ったんです」
「どういうことだ」
「あなたが求める僕はこうなのでしょう? なんでも思いを口にする。あなたの前では正直にいてほしいのでしょ。ここまで来たら僕としては円満に暮らしていきたいので、譲れる部分は譲ります」
「確かに、素直ではいてもらいたい」
「あなたの前ではでそういう自分でいます。ですから話し方もこうですし、あなたが聞きたくないだろうことも言います」
「それでは……無理やり自分を変えるということか」
素直な自分をさらけ出すというのは一見互いを信用し合っていい関係とされるが、時には一般的な常識を超えていると自覚していることまでみせねばならないし、無防備でいる不安感のようなのもを耐えなくてはならない。
それが楽な関係になればいいのだろうけど、僕は本来ある程度取り繕っている方が楽だ。建前と世間の常識がある方が、意思の疎通がしやすいし、気遣いもしやすいしされやすい。
そしてあくまでも世間の常識であって、貴族の常識ではないところが重要だ。
貴族の常識なんて疲れるだけで、僕には面倒なだけのものだ。それでも必要だと分かっているから最低限身につけてはいるが、駆使するのはしんどい。
高位貴族になればなるほど、駆使しなければならないし、身に付ける最低限はかなり高度なものとなる。
子供の頃からならばそれを常識として身につけているのだろうが、そうなると貴族の常識が一般常識と違うことに気が付かなかったりする。
アズル様はただ地位があるだけの貴族様じゃないので、僕の正直に生きるという宣言が喜ばしいものではないときちんと汲み取ってくれた。
「さすがにそれを分かってくれるだけ、上官の資質が素晴らしいですね」
僕の茶化しも今は返す場面ではないらしい。
「俺はお前を無理やり変えたいわけじゃない」
「仕方ありません、何事も譲歩は必要です」
さっき思ったことをそのまま言葉にした。
「俺といることは、お前をそうまでさせることか?」
「あなたが僕を従えたいわけじゃないことは分かっています。好きという気持ちも疑ってはいません。だからこその譲歩です」
「譲歩ということは譲らない別の部分もあるということだな」
「好きな人と結婚したかったということです」
正直に、だからこそ言葉にする。
僕は本当はぐうたらだが自分の幸せと楽のためなら努力は惜しまない。
汚いところで暮らすより清潔なところにいたいし、できるだけ毎食美味しいものを食べたい。夜はゆっくり布団で寝て、休みの日もゴロゴロしたい。そのためには国が平和であることが一番だから今の仕事もできる範囲だけど精一杯勤めている。
結婚だって理想は諦めていない。
アズル様はずっと辛そうにしているが、仕方ない。
求める僕の姿がこうなのだから。
「俺のことは好きではないんだな」
「婚約を解消しますか?」
「するものか」
「そうですか」
「お前の方こそ」
「昨日までは。さっきから言ってる通り今は望んでいません」
「言動がちぐはぐだ」
「仕方ありません。それをあなたが望むから」
「俺はただお前に素直で居てほしいと」
だから素直な僕はこうなのだ。
分かっているから普段はそれなりに装っているんだから。
「そのうちきっと慣れます」
お互いに。
好きな人と結婚したかったが、結婚した人を好きになれば結果は同じだ。
そして好きな人に好きでいてもらいたいのは僕だってそう。
まだ僕からは好きではないけど、これから好きになる人がこれからも僕を好きで居てくれるのならば、僕が多少変わることは問題ではない。
正直にいてほしいくらいは問題なく叶えられる。
だから今は好きではないとも言うし、それで婚約を破棄されないかと不安を口にするし、だから整合性のない会話にもなる。
職場での馴れ馴れしさは、僕の本性ではない。あくまでも仕事上の演出。目上の人には丁寧で居る方が俄然楽だから、今はまだアズル様とはその方が楽な間柄。
タメ口なんてのは嘘でなければできない。
「以前のほうがいいなら戻しますが?」
「そのままでいい」
凄いな。もう嫌われてもおかしくないのに。
こうもあっさり受け入れるなんて、好きという言葉以上に裏がありそうな気さえするけど、そんなものあっても忍耐力が凄い。
流石尊敬される人物なわけだ。
「人間としては好きですから、無理な話じゃないですよ」
「大いに期待する」
「こちらもこれからも貴方がその気持ちでいてくれることを期待します」
「それは大丈夫だ」
「何事も絶対などありませんから」
そう、素直でいてほしいなんて、実際やってみたら嫌われる可能性も大いにある。
請われるからやってみてはいるが、それがどうでるか。
アズル様の忍耐力がどこまで持つか。
仕事場の僕を好きになったなら裏目だろうな。
不幸せな未来しか想像できない。
それでも、僕は突き進む道を選ぶ。
なぜならそれで不幸せになるのは僕ではなくアズル様だから。
僕はどこでもそれなりに楽しくやるし、適度という意味で適当にやれる。
理想とは違う結婚にはなるが、理想と違うなんてよくあることだし、相手は僕のことを好きだと言っているのだから態度、言動で示してもらおうじゃないか。
「愛するより愛されることも悪くないですしね」
「それは任せろ」
「せいぜい頑張ってください」
それからの日々のことを少し教えてあげよう。
その後もアズル様は腹黒い僕にめげることなく、手厚く相手をしてくれている。
今のところ、アズル様が不幸になる未来はまだ見えない。
そして僕は結婚した務めをそれなりにこなしながら、仕事も程々に続けて結婚したての騒がしさもなくなり、いっそ噂されてる時より静かになった。
アズル様はまずは僕の話し方が砕けたものになるのを目標にしているらしい。
仕事中も普通に丁寧にしても対応してくれるようになったし、最初に休ませた以外はちゃんと仕事に影響がないようにしてくれている。
だから異動願も出さずに済んでいる。
アズル様の愛って偉大。
本当に僕なんかを好きになったことを後悔しないだろうかと申し訳なくなるな。
離縁されても困るけど、好きなふりをするのも違う気がするから、せめても与えられた役割ぐらいは全うしようと思う。
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