処刑され逆行した悪役は悪人になる

白雪慧流

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幼少期編

苦しいお茶会

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 カルム殿下は俺に気づくと、ふんっとした生意気な態度をとる。
 俺は前回同様、ボウ・アンド・スクレープの礼を取った。今は男性として振る舞うべきだからだ。

「本日はお招きくださり、感謝いたします。バーナード公爵家嫡男、メルア・バーナードでございます」

 一礼したまま停止する。なぜって? 仮にも向こうは王族、ましてやホストも向こう。
 指示があるまで動けないのだが、何も指示がないからだ。

 隣で殿下の執事……名をバステンと言う……が、ごほんっ! と態とらしく咳き込む。
 そうしてようやっと、殿下は座れと言ったので着席した。
 前回より余程酷い対応だ、今までの嫌がらせの効果だろうか? とはいえキャロ以外は直接的なダメージは与えていないはずだが。

 まさか、前回の記憶を殿下も持っている……なんてことはないよな。

「バステン、下がっていろ」
「し、しかし……」
「いい」

 殿下が、バステンを下がらせた。これは俺もテネクリタを下がらせた方がいいなと思い目配せすると、指示もなしに頷いた。
 流石優秀。恐らく下がるのではなく気配を消して隠れる、だとは思うが。

「おい、メルア、貴様に聞きたいことがある」
「なんでございましょう?」
「キャロ、という奴隷を昔買ったことがあるだろう?」

 やはり、この雑な対応はキャロのことが原因らしい。葉巻の時は権力と金も使った上に、闇市の住人と仲良くなることにより、足取りが掴みにくくなっているが、奴隷の時は別だ。
 そもそも、キャロはカルム殿下に言われ、あの場所にいた。私が買えば必然的に殿下には報告がいくだろう。
 さて、どう対応するべきかと思ったが、隠しても仕方ないか。

「えぇ、公爵家には若い者が少ないもので、私自身が育てられる、若くて優秀な者が欲しかったのですよ」
「なぜ、それでアレに目をつけた」
「……おやカルム殿下、やけにキャロを気にしますね? それに奴隷にもお詳しいようだ」

 王家は奴隷制度、お嫌いですよね? と言葉の端に滲ませる。
 殿下は苦々しい顔をしたが、これ以上は不利と悟ったのか、キャロの話は切りあげた。

 後は当たり障りのない会話をして、この日の茶会は終了。
 少なくとも葉巻や、俺が闇市に出入りしていることには気付かれてないらしい。俺自身で動いているため、完全に足がつかないということはない。あくまで、バレにくい程度なのだが、歳もあるのかもしれない。

 そりゃ、七歳から十歳の子供が闇市に頻繁に出入りしているなど、予想がつかないか。
 お茶会はあまり良くはなかったが、収穫はあった。このお茶会の結果はどうであれ、婚約は決められたものだ。

 さて、次はどう動くかと、頭の中で組み立てながら帰路に付いた。
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