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学園編
建国祭当日
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普段は静かな宝飾品店がバタバタと騒がしい。原因は被害者の会である。
ティーアから被害者の会へ、俺が建国祭で罠を張ると聞いたそうで、なにか手伝えることを! と考えてくれたらしい。
で、キャロが何かあったら宝飾店の方へ連絡しろと言ったがために、何故か押しかけられたのである。
恐るべし行動力。
「へぇ、公爵家が経営するっていうから、ザ貴族の店! かと思えば本当に平民向けなんだな! 辺境伯領を思い出して、ウチは好きだぞ!」
「それは、殺伐としていると言うのです」
「私は入るの二回目ですけれど、前回よりはマシですわよ? 本当に怖かったんですもの」
「小物……どこに置けばいい?」
との具合である。しかも、ルフス公爵家から侍女を連れてこられ、湯浴みから何から何まで、揉みくちゃにされた。
早朝からこの騒がしさは、経験がないので疲れた。
「設備は屋敷と同等ですのね?」
「元々、俺が入り浸る設計だからな」
一日中いる場合も考えて設計してある。ここは、闇市と俺を繋ぐ拠点でもあるからだ。
だからと言って、貴族を入れる想定はされていないのだが。
「なんだか、隠れ家、みたいですね」
「フレグラ、こんな目立つ隠れ家ないですわよ。隠れてないですわ」
いや、一番的を射ているのだが……言及しないでおこう。
表向きの店としては、確かに目立つ。外観がというより、時期公爵にて、第二王子の婚約者が経営している、という点でだ。
それが、裏と繋がっていると紐付けにくいだけ、王家は闇市を嫌うし、闇市側も王家を嫌う。王家に関わりがある者が経営し、表通りにも面した店舗は、裏を感じさせない。
ただし、一般客の入らない二階部分や、従業員用勝手口側は、闇市の住人が過ごしやすいよう、入りやすいよう設計しているので、どうしても裏が見えてしまう。
だからこそ、ティーアは怖いと表現したし、フレグラは隠れ家と言った。サルヴァンは……辺境伯領自体が、独自の文化を築き、私兵団を持つから、こういった空気感に慣れているのだろう。
騎士に嫁ぐ決まりのある、ブルアも同じくだ。
「旦那、装飾品の調整完了したぞ」
「ジョイすまないな、仕事を増やして」
「今更だ。テネクリタの奴が張り切ってる時点で、色々察せる。そのせいか全体が騒がしくてかなわん」
「ははっ、俺が何かやる度に物が動くからな」
物が動くということは、金も動く。結果的に闇市の住人にも還元される。
まぁ、シナリオン関連ではもう動けないかもしれないから、また何か考えるか……。
「今度顔を出すと伝えてくれ、先日の礼も兼ねると」
「旦那なら礼も何も、いつだって歓迎されるだろうよ」
ま、伝えとくとジョイは部屋を出ていく。成り行きを見守っていた会のメンバーは、それぞれ何か言いたげだ。
「メルアって、貴族っていうか、悪徳商人って言われた方が納得出来る時あるよな」
「旦那って呼ぶの……護衛の方だけじゃないんだ」
「あまり深く考えないでくれ、この店の従業員は貴族社会に関わりがないんだ。好きに呼ばせた結果こうなった」
元関わりがある奴は多いけどな。というのは飲み込む。
ブルアからの追加の装飾品と、こちらも店の宣伝を兼ねて、この宝飾品店の小物を付けて、髪は緩く一本に縛ると、右側から流す。
さて、全ての準備が整った。
「キャロ、テネクリタ、準備はできたか?」
「はい、恙無く」
「おう、旦那のことはきちんと守ってやるよ!」
「暗器を使うことがないといいんだが」
被害者の会の面々も本日は参加するが、それぞれの馬車がある。
では会場で、と別れ、バーナード公爵家の馬車に乗り込んだ。
ティーアから被害者の会へ、俺が建国祭で罠を張ると聞いたそうで、なにか手伝えることを! と考えてくれたらしい。
で、キャロが何かあったら宝飾店の方へ連絡しろと言ったがために、何故か押しかけられたのである。
恐るべし行動力。
「へぇ、公爵家が経営するっていうから、ザ貴族の店! かと思えば本当に平民向けなんだな! 辺境伯領を思い出して、ウチは好きだぞ!」
「それは、殺伐としていると言うのです」
「私は入るの二回目ですけれど、前回よりはマシですわよ? 本当に怖かったんですもの」
「小物……どこに置けばいい?」
との具合である。しかも、ルフス公爵家から侍女を連れてこられ、湯浴みから何から何まで、揉みくちゃにされた。
早朝からこの騒がしさは、経験がないので疲れた。
「設備は屋敷と同等ですのね?」
「元々、俺が入り浸る設計だからな」
一日中いる場合も考えて設計してある。ここは、闇市と俺を繋ぐ拠点でもあるからだ。
だからと言って、貴族を入れる想定はされていないのだが。
「なんだか、隠れ家、みたいですね」
「フレグラ、こんな目立つ隠れ家ないですわよ。隠れてないですわ」
いや、一番的を射ているのだが……言及しないでおこう。
表向きの店としては、確かに目立つ。外観がというより、時期公爵にて、第二王子の婚約者が経営している、という点でだ。
それが、裏と繋がっていると紐付けにくいだけ、王家は闇市を嫌うし、闇市側も王家を嫌う。王家に関わりがある者が経営し、表通りにも面した店舗は、裏を感じさせない。
ただし、一般客の入らない二階部分や、従業員用勝手口側は、闇市の住人が過ごしやすいよう、入りやすいよう設計しているので、どうしても裏が見えてしまう。
だからこそ、ティーアは怖いと表現したし、フレグラは隠れ家と言った。サルヴァンは……辺境伯領自体が、独自の文化を築き、私兵団を持つから、こういった空気感に慣れているのだろう。
騎士に嫁ぐ決まりのある、ブルアも同じくだ。
「旦那、装飾品の調整完了したぞ」
「ジョイすまないな、仕事を増やして」
「今更だ。テネクリタの奴が張り切ってる時点で、色々察せる。そのせいか全体が騒がしくてかなわん」
「ははっ、俺が何かやる度に物が動くからな」
物が動くということは、金も動く。結果的に闇市の住人にも還元される。
まぁ、シナリオン関連ではもう動けないかもしれないから、また何か考えるか……。
「今度顔を出すと伝えてくれ、先日の礼も兼ねると」
「旦那なら礼も何も、いつだって歓迎されるだろうよ」
ま、伝えとくとジョイは部屋を出ていく。成り行きを見守っていた会のメンバーは、それぞれ何か言いたげだ。
「メルアって、貴族っていうか、悪徳商人って言われた方が納得出来る時あるよな」
「旦那って呼ぶの……護衛の方だけじゃないんだ」
「あまり深く考えないでくれ、この店の従業員は貴族社会に関わりがないんだ。好きに呼ばせた結果こうなった」
元関わりがある奴は多いけどな。というのは飲み込む。
ブルアからの追加の装飾品と、こちらも店の宣伝を兼ねて、この宝飾品店の小物を付けて、髪は緩く一本に縛ると、右側から流す。
さて、全ての準備が整った。
「キャロ、テネクリタ、準備はできたか?」
「はい、恙無く」
「おう、旦那のことはきちんと守ってやるよ!」
「暗器を使うことがないといいんだが」
被害者の会の面々も本日は参加するが、それぞれの馬車がある。
では会場で、と別れ、バーナード公爵家の馬車に乗り込んだ。
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