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<三人目の影響力>1
しおりを挟む「声の大きい人ですよね‥‥」
交渉相手を考え直すハカセに「部活入ってない奴でな」と、すかさず条件を付ける健太。
「先生からリサーチした情報は失敗でしたからね」
「やっぱり俺達が自分で探すしかないな」
いつのまにかいつもの元気を取り戻し答える健太。
「帰宅部だと学校内で探しても見つかる確率は低いですね」
考え込むハカセに健太は「帰宅部やったら公園しかないやろ!」と自信有り気に断定する。
「公園内の何人中、何人が入ってくれるかですね」
「五人中、一人は入ってくれるやろ!」
「それは無理だと思いますけど、やはり確率を上げるには何人スカウト出来るかですね」
「何人って当然全員に決まってるやろ!」
逸る気持ちを抑えきれなさそうに、自転車に飛び乗る健太。
「そんなに慌てなくても‥‥」
自転車に乗りながら小声で呟き、後を追いかけるハカセ。
基地近くの公園に着いた二人は、すぐに公園の中に入らず入り口付近で立ち止まっていた。
「あ・・ありえへん!!」
「コレも時代の流れでしょうか」
二人が見つめていた先に居る小学生は、公園の遊具で遊ぶ気配は全く無く、ベンチに座り携帯ゲームで盛り上がっていた。
「どうしますかスカウト?」
半ば諦め気味にハカセが聞くと「さすがに無理やろ!」と健太は珍しく匙を投げた。
「それでは待ちますか」とハカセはベンチに座るが、待ちきれなさそうな健太は立ったまま辺りを見渡している。
数分毎に健太は「まだかな~」と立ったままの状態で貧乏ゆすりをしているが、ハカセは気にもしてない様子で座っている。
「お~!来た来た~!」
数分後やっと来た小学生達を見付け、跳びはねて喜ぶ健太。
「またゲーマーじゃないですよね?」
座ったまま振り返るハカセ。
二人の視線が小学生達を追うが、小学生達はそのまま通り過ぎ二人の視界から消えて行った。
「なんでやねん!?」
怒りに任せ蹴ったゴミ箱が倒れかけ、慌てて押さえようとする健太。
「きっと、また来ますよ」
揺れるゴミ箱を冷静に眺めるハカセ。
二人が更に待つ事数分。
「あれから全然人来んな‥‥」
諦め口調でハカセが座っている椅子に、倒れ込む健太。
「もう来ると思いますよ」
さりげなく健太が座るスペースを空けるハカセ。
更に数分後、待ち疲れた健太はハカセにもたれ掛かっている。
いつのまにかゲーマー達すら居なくなり、公園には二人しか居ない。
「誰も来んどころか誰も居らんやん‥‥」
健太の愚痴にハカセは「そうですね‥‥」と一言だけ反し遠くを見つめた。
最後の会話から数十分が経った頃。
「来た~!!」
ベンチから立ち上がり叫ぶ健太に、ハカセは「あまり期待しない方が良いですよ」と冷静を装いながらも同時に立ち上がっている。
二人が見つめる、同級生位の女の子三人が公園に入った途端「またかよ‥‥」と健太がため息をつく。
一瞬ハカセは首を傾げたが、女の子達の足元に視線を下げると、理由は一目瞭然だった。
「ちょっと待って~!」
ローラーブレードを履いた女の子達は、笑い合いながら公園内を廻っている。
「楽しそうやな‥‥」
「そうですね‥‥」
会話も止まった二人が、スカウトを諦めるのに時間はかからなかった。
まるで日光浴に勤しむ老人のように、ただ眺めているだけの二人。
数十分待つが来たのは、ローラーブレードを履いた女の子達だけだった。
痺れの切れた健太は「あ~!もう我慢出来ん!他の公園に行ってみよ」と立ち上がり、自転車に駆け乗る。
次の公園に向かい、二人が自転車で駆け抜けていると「ま~たハズレかよ~!!」と駄菓子屋の奥から叫ぶ声が響く。
「見付けた~!!」
その叫び声に対抗するかのように、雄叫びを挙げて自転車を停める健太。
二人が店内に入ると駄菓子屋のおばあちゃんが「おや、まぁ元気の良い事‥‥」と尖んがり頭の小学生を見つめて、お茶を啜っている。
所狭しと駄菓子が並ぶ店内に、客は尖んがり少年一人だった。
「たしか同学年の洋介君ですね‥‥」
健太に小声で教えるハカセ。
「お~!!同級生やん、神様ありがとう~!」
テンションの上がりきった健太は、振り返る洋介の鋭い視線に気付いていない。
「何や!何か俺に用か!?」
洋介は喧嘩腰だが、嬉しそうに頷く健太。
「団長、ちょっと‥‥」
洋介の態度と風貌に、難色を示すハカセが止めようとするが「大丈夫俺に任せとけ!」と健太は何やら勘違いしている。
ため息をつくハカセを見つめ「おや、まぁ‥‥」と、まるで相槌のように呟くおばあちゃん。
「俺の仲間になれよ!」
どこかで見た漫画の様な健太の誘い文句に、唖然とするハカセ。
尖んがり少年は返事もせずに、二人の顔をまじまじと睨みつけている。
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