Last flag

雨実 和兎

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<団長と説得力>1

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「役割か~!どうしようかな~!」

相変わらずノープランな健太に「やはり応援団と言えば太鼓ですよね」とハカセはペン回しをしたペンを、バチのように見せつける。

「じゃあハカセは太鼓で決定やな!」

今のペン回しだけで即断した様子の健太にハカセは「太鼓役でも良いですけど、肝心のチビさんはどうするのです?」と不安そうに尋ねる。
困った表情で頭を掻きむしる健太は、団旗を見て「そうや‥‥、旗持ち上げる役で良いやん」と思い付きのままを呟く。

「小さいので持ち上げる必要は無いと思いますけど、旗の何かというのは良いかも知れませんね」
「そうやろ!じゃあ旗守る役!」

ディフェンダーさながらに、健太は団旗の前に立ち塞がる。

「旗守りですか、良いですね!」
「決まった~!コレで完璧や~!」

両拳を上げて喜ぶ健太に「でも、太鼓が無いですけどね」と冷静にからかうハカセ。

「太鼓か~!高そうやから買ってくれへんやろな~」

残念そうに健太が頭を抱えていると「音楽室に有れば貸してくれるかも知れませんよ」とハカセは予想していたかのように笑顔で答える。

「ヨッシャ!じゃあチビが来たら学校に行こう!」
「また先生と交渉ですね」

前回の交渉を思い出した様子で笑うハカセ。

「チビ早く来んかな~」

すでに待ちきれないのか、健太は異常な程に足踏みを連打している。

「やはり今日は来ないのかも知れませんね‥‥」
「そんな事は無いやろ!チビは絶対に来るはずや!」

健太は立ち上がり辺りを見渡すが、人通りも少なくチビの姿は見当たらない。
この日健太の期待とは裏腹に、チビが基地に来る事は無かった。

次の日、休み時間のチャイムが鳴ると同時に駆け出した健太は「ヨッシャ!チビ呼びに行こう!」と席に座ったままのハカセを急かす。

「呼びに行くのは別に良いですけど、こういう事は自分から来ないと駄目じゃないですかね」

立ち上がろうとはしないハカセを見て健太は諦めたのか「じゃあ俺一人で行って来る!俺はチビも応援するって決めたからな!」と笑顔で走り去って行った。

「チビ~!チビは居らんか~!」

3組の教室に駆け付けて早々、健太の大声が教室に響く。

「チビって誰の事?」

教室奥に居た4・5人の人だかりから、目つきの鋭い一人が答える。

「光久や!光久!クラスメートやったらドコに行ったか知らん?」

健太の問いに静かだった生徒達の視線が刺さる。

「そんな奴クラスに居たか~」

この一言で教室中の生徒が失笑し、健太は不可思議な雰囲気に無言で困惑していた。

「‥‥お前達な~!」

健太が拳を握った瞬間「団長解りましたよ!」と駆け付けたハカセの一声で、健太は振り返り「アレッ?来んのじゃなかった」と我に帰る。

「僕も応援しようと思い返したのですよ!」

格好つけるハカセに、思わず笑顔をこぼす健太。

「まぁ俺もどう応援するかは決まってないけどな!でチビはドコに居るん?」

まだ行き先も決まっていないのに、健太はハカセを急かすように早足で教室から出る。

「正に行き当たりばったりですね!解りました、では行きましょう」

他の生徒達が送る冷たい視線を気にする事も無く、ハカセは笑いながら健太の後を追った。
数分後保健室の前に着くと「さて、どうしようかな~」と健太は腕組みをして立ち止まる。

「ほんとに何も考えてなかったのですか?」

ハカセが呆れた様子で笑ったと同時にチャイムが鳴り「先に作戦会議やな!」と健太の一言でハカセは頷き、二人は早足で教室に戻って行った。
次の休み時間。

「そっかぁ‥‥チビみんなから無視されてたんか‥‥」

ハカセのリサーチした説明を聞き終えた健太は、口を尖らせ考え込んでいた。

「3組に聞きに行った時の雰囲気が冷たかったのは、そのせいみたいですね」

一通り説明を言い終わるとハカセはノートを閉じて「ソレを知ったうえで、どう応援するかですよね?」と健太に核心に迫る。

「やっぱり応援と言えば叫ばなアカンよな~!」

ハカセが質問した意味を気にもしていないのか、健太は軽い口調で答える。

「保健室の前で大声は駄目ですよ」

大袈裟に手を振り健太を止めるハカセ。

「じゃあ、どうしようかな‥‥」

いつまでも考えが纏まらなさそうな健太に「普通に説得したら良いんじゃないですか」とハカセは言い切るが「俺はハカセみたいに説得力が無いからな~!それに説得は応援じゃないやろ」と納得しない健太。

「ソレは方法論に対する考え方が自分に合わないだけで、応援は応援ですよ」
「そうなんかな~」

話しを逸らすように健太は窓の外を見つめ、グラウンドを眺めていた。
その頃保健室では、思い詰めた表情でチビもグラウンドを眺めていた。

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