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<仲間外れ>1
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時は戻りチビがクラス内で仲間外れにされている事を知った、三時限目の休み時間。
健太とハカセは音楽室の前に立っていた。
「半分冗談のつもりだったんですけどね」
ハカセはまるで開かずの扉でも見るような渋い表情だが「大きめの太鼓有るかな~?」と健太は断られるかもしれないとは思っていなさそうに笑っている。
「失礼しま~す!」
勢い良く扉を開ける、健太のご機嫌な大声が音楽室に響く。
「あらっ珍しい!どうしたの?」
三十代半ばの女教師は、以外な来客に目を丸くして驚いてる。
「先生太鼓貸して下さい!」
何の説明も無く突然頭を下げる健太に、女教師が首を傾げると「話しが唐突過ぎますよ」といつものようにハカセが間に入る。
「実は僕達で部活を始めまして」
「そう、応援団!!」
ハカセの説明を遮るように健太は言葉を被す。
女教師が唖然としていると、ハカセは喋るなと言わんばかりに、健太をひと睨みした後「それでですね、使わない太鼓が有れば貸して頂きたいのです」と冷静に説明を続ける。
話しを理解した女教師は小さく頷き「そうね‥‥これなんてどうかしら‥‥」と大きな棚から一つ太鼓を取り出した。
「もっと大きいの駄目ですか?横のコレとか!」
肩バンド付きの手頃なサイズが気に入らないのか、健太は一番大きな太鼓を指差す。
「そんな大きいの持ち歩けないですよ!」
ハカセが声を荒げると、健太は残念そうに「じゃあコレで良いです‥‥」と貸してもらう立場もわきまえず、口を尖らせている。
「試しに叩いてみようか!」
加減を知らなさそうな健太が、バチを取り出し振り回し始めると「壊さないでね!」とタイミング良く忠告する女教師。
「は~い!」
適当な返事を返す健太の代わりに「はい!大事に使います!」とハカセが頭を下げて言い直した。
「でも、もしかしたら返してもらう事になるかも‥‥」
女教師が言い始めるよりも早く音楽室を飛び出る二人。
上がったテンションを抑えれない健太は、早速ハカセから太鼓を取り上げる。
「イエー!太鼓ゲットだぜ~!」
恥ずかし気も無く健太は、手に入れた太鼓を神輿のように上げ下げし始める。
「本当に気をつけてくださいよ!」
当然なハカセの警告を聴き入れる事も無く、健太は更に跳び跳ねている。
「やはり太鼓といえば3・3・7拍子ですかね」
気を逸らそうとしてか、ハカセは話題を変えるが「そら、そうやろ!ほいほい、ホイ!」と健太はリズミカルに太鼓を持ち上げる。
「ところで太鼓はどこに置いときましょうか?」
冷静なハカセの質問に、やっと立ち止まった健太は「えっ?教室で良いやろ!」と気にもしていない様子で笑顔を反し、二人は教室に戻った。
その日最後の休み時間、保健室の窓が見えるグラウンドに立つ二人。
「さあ始めよか!」
意気揚々と保健室の窓を見上げる健太は、いかにも応援団長らしい立ちポーズを決めている。
「他にも方法は有ると思いますけど‥‥」
まだ乗り気では無さそうにハカセは呟くが、聞く気も無いのか返事すら返さない健太。
「では、始めますよ」
仕方なさそうにバチを手に取ったハカセは、練習すらしていない3・3・7拍子で太鼓を叩き始める。
その音にグラウンドで駆け回る小学生達が、立ち止まり注目しているが「フレー、フレー、チ~ビ!」と健太は動揺する事無く声援を響かす。
集まる数人のギャラリーはバカにした笑いこそ無いが、興味の視線を注ぎ続けている。
叫び終えて満足げな表情で窓を見上げる健太とは対照的に「伝わりましたでしょうか‥‥?」とハカセは不安そうに俯く。
「大丈夫やって!」
健太は相変わらず根拠の無い自信を持って答えるが、数分経っても保健室の窓からチビは顔を出さない。
二人が見上げたままの状態でいると「太鼓なんか叩いて今日はお祭りの日け?」と突然の質問に二人が振り返った先には、洋介が立っていた。
「応援団完全結成の前祝いみたいなもんやな!」
健太はハカセが担ぐ太鼓を自慢げに見せつける。
「ほ~う‥‥」
興味深そうに洋介が太鼓を見つめていると「洋介も叩いてみるか?」としたり顔で誘う健太。
「おお、良いんけ?」
ハカセから太鼓を受け取った洋介は、思わず笑顔に変わっている。
「気をつけて扱ってくださいね」
ハカセの忠告に洋介は一応頷くが、力一杯バチを握る姿に手加減する様子は微塵も無い。
「祭とケンカは男の華やけ、まあ見とけ!」
そう言って洋介は、何拍子とも解らない位デタラメに太鼓を叩き始めた。
「ヨ~ッ!ハッ!」
叩いている合間に洋介は、妙な掛け声まで入れている。
ひとしきり叩き終えると「どうや?こんなもんちゃうけ!」と満足顔でバチと太鼓をハカセに返す洋介。
「お~!良いやん!」
応援団員としての何を褒めているのか、何故か拍手する健太。
「さっぱりしたけ教室戻るわ!」
「おお、またな!」
振り返りもせず走り去る洋介に手を振る健太。
「僕達も早くしないと休み時間が終わりますよ」
「おお、そうやな!」
健太は校舎の掛け時計で時間を確認した後、慌てて立ち位置に戻る。
「けどさっきと同じアダ名での声援では、恥ずかしくて顔を出しずらいかも知れませんよ」
時間的にも諦めたようにハカセが太鼓を肩から下ろそうとすると「そういうもんか~何でも言えるのが仲間やろ、じゃあ名前やったら良いやろ!」と健太は手振りで再び太鼓を叩けとハカセに催促する。
「仕方ないですね」
ハカセは下ろしかけた太鼓を肩に担ぎ、再び太鼓を叩き始めた。
健太とハカセは音楽室の前に立っていた。
「半分冗談のつもりだったんですけどね」
ハカセはまるで開かずの扉でも見るような渋い表情だが「大きめの太鼓有るかな~?」と健太は断られるかもしれないとは思っていなさそうに笑っている。
「失礼しま~す!」
勢い良く扉を開ける、健太のご機嫌な大声が音楽室に響く。
「あらっ珍しい!どうしたの?」
三十代半ばの女教師は、以外な来客に目を丸くして驚いてる。
「先生太鼓貸して下さい!」
何の説明も無く突然頭を下げる健太に、女教師が首を傾げると「話しが唐突過ぎますよ」といつものようにハカセが間に入る。
「実は僕達で部活を始めまして」
「そう、応援団!!」
ハカセの説明を遮るように健太は言葉を被す。
女教師が唖然としていると、ハカセは喋るなと言わんばかりに、健太をひと睨みした後「それでですね、使わない太鼓が有れば貸して頂きたいのです」と冷静に説明を続ける。
話しを理解した女教師は小さく頷き「そうね‥‥これなんてどうかしら‥‥」と大きな棚から一つ太鼓を取り出した。
「もっと大きいの駄目ですか?横のコレとか!」
肩バンド付きの手頃なサイズが気に入らないのか、健太は一番大きな太鼓を指差す。
「そんな大きいの持ち歩けないですよ!」
ハカセが声を荒げると、健太は残念そうに「じゃあコレで良いです‥‥」と貸してもらう立場もわきまえず、口を尖らせている。
「試しに叩いてみようか!」
加減を知らなさそうな健太が、バチを取り出し振り回し始めると「壊さないでね!」とタイミング良く忠告する女教師。
「は~い!」
適当な返事を返す健太の代わりに「はい!大事に使います!」とハカセが頭を下げて言い直した。
「でも、もしかしたら返してもらう事になるかも‥‥」
女教師が言い始めるよりも早く音楽室を飛び出る二人。
上がったテンションを抑えれない健太は、早速ハカセから太鼓を取り上げる。
「イエー!太鼓ゲットだぜ~!」
恥ずかし気も無く健太は、手に入れた太鼓を神輿のように上げ下げし始める。
「本当に気をつけてくださいよ!」
当然なハカセの警告を聴き入れる事も無く、健太は更に跳び跳ねている。
「やはり太鼓といえば3・3・7拍子ですかね」
気を逸らそうとしてか、ハカセは話題を変えるが「そら、そうやろ!ほいほい、ホイ!」と健太はリズミカルに太鼓を持ち上げる。
「ところで太鼓はどこに置いときましょうか?」
冷静なハカセの質問に、やっと立ち止まった健太は「えっ?教室で良いやろ!」と気にもしていない様子で笑顔を反し、二人は教室に戻った。
その日最後の休み時間、保健室の窓が見えるグラウンドに立つ二人。
「さあ始めよか!」
意気揚々と保健室の窓を見上げる健太は、いかにも応援団長らしい立ちポーズを決めている。
「他にも方法は有ると思いますけど‥‥」
まだ乗り気では無さそうにハカセは呟くが、聞く気も無いのか返事すら返さない健太。
「では、始めますよ」
仕方なさそうにバチを手に取ったハカセは、練習すらしていない3・3・7拍子で太鼓を叩き始める。
その音にグラウンドで駆け回る小学生達が、立ち止まり注目しているが「フレー、フレー、チ~ビ!」と健太は動揺する事無く声援を響かす。
集まる数人のギャラリーはバカにした笑いこそ無いが、興味の視線を注ぎ続けている。
叫び終えて満足げな表情で窓を見上げる健太とは対照的に「伝わりましたでしょうか‥‥?」とハカセは不安そうに俯く。
「大丈夫やって!」
健太は相変わらず根拠の無い自信を持って答えるが、数分経っても保健室の窓からチビは顔を出さない。
二人が見上げたままの状態でいると「太鼓なんか叩いて今日はお祭りの日け?」と突然の質問に二人が振り返った先には、洋介が立っていた。
「応援団完全結成の前祝いみたいなもんやな!」
健太はハカセが担ぐ太鼓を自慢げに見せつける。
「ほ~う‥‥」
興味深そうに洋介が太鼓を見つめていると「洋介も叩いてみるか?」としたり顔で誘う健太。
「おお、良いんけ?」
ハカセから太鼓を受け取った洋介は、思わず笑顔に変わっている。
「気をつけて扱ってくださいね」
ハカセの忠告に洋介は一応頷くが、力一杯バチを握る姿に手加減する様子は微塵も無い。
「祭とケンカは男の華やけ、まあ見とけ!」
そう言って洋介は、何拍子とも解らない位デタラメに太鼓を叩き始めた。
「ヨ~ッ!ハッ!」
叩いている合間に洋介は、妙な掛け声まで入れている。
ひとしきり叩き終えると「どうや?こんなもんちゃうけ!」と満足顔でバチと太鼓をハカセに返す洋介。
「お~!良いやん!」
応援団員としての何を褒めているのか、何故か拍手する健太。
「さっぱりしたけ教室戻るわ!」
「おお、またな!」
振り返りもせず走り去る洋介に手を振る健太。
「僕達も早くしないと休み時間が終わりますよ」
「おお、そうやな!」
健太は校舎の掛け時計で時間を確認した後、慌てて立ち位置に戻る。
「けどさっきと同じアダ名での声援では、恥ずかしくて顔を出しずらいかも知れませんよ」
時間的にも諦めたようにハカセが太鼓を肩から下ろそうとすると「そういうもんか~何でも言えるのが仲間やろ、じゃあ名前やったら良いやろ!」と健太は手振りで再び太鼓を叩けとハカセに催促する。
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