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<仲間外れ>2
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「フレー!フレー!光久~!」
ハカセの太鼓に合わせて、健太の声が響き渡る。
脇目も振らず二人が見上げた保健室の窓から顔を出したのは、保健室の先生だった。
「光久君夏風邪で休みだよ」
「え~!!」
以外そうに顔を見合わせる二人。
「それで来んかったんや!」
「やはり名前で呼んで正解でしたね」
冷静に状況分析するハカセとは対照的に健太は「夏風邪バンザ~イ!」と再びお祭り気分に戻っている。
「風邪で寝込んでいるのにバンザイは駄目ですよ」
安心した二人が笑い合っていると「お前達放課後ちょっと来い!」と背後から体育教師の怒鳴り声が二人を突き刺す。
睨みを効かす体育教師の前で健太は小さく返事を返したが、教師の姿が見えなくなると「説明は任した!」とハカセの肩に軽く手を置く。
「こんな時に団長権限ですか~?」
苦笑いでハカセがぼやくと「そう、団長命令や!」と健太はハカセを指差し妙なポーズを決めている。
「仕方ないですね!」
大方展開を予想していた様子でハカセは笑顔を返し、二人は教室に戻って行った。
放課後職員室隣りの個室で体育教師を待つ二人は、静かに顔を見合わせている。
「頼むから上手く言ってくれな!」
まるで悪巧みでもしているように、小声で耳打ちする健太に「どうしたのですか、珍しく慎重ですね」とハカセも小声になっている。
「せっかく手に入れた太鼓、取られるかもしれんやろ」
小声のままだが、膝を叩くジェスチャーで困り具合を強調する健太。
「確かにそれは困りますね!」
ハカセが笑顔を返したタイミングで個室の扉が開き、体育教師が入って来た。
「それでお前達‥‥休み時間に騒いでたのは何でなんや‥‥」
重苦しい雰囲気で、体育教師が唐突に話しを切り出すと「自主練です!」と緊張からか、必要以上に大きな声で返答する健太。
「自主練って、お前達部活入ってなかったやろ」
ソファーに座りかけながら、体育教師は話しを続ける。
「部活にはまだなってないですけど、応援団をしていまして」
怖いと有名な体育教師を前にして、ハカセの顔は緊張で強張っている。
「応援団~?」
普段からしかめっ面な体育教師の顔が、低い地声で更に威圧感を増している。
「はい、担任の許可は得ていますので‥‥」
気まずそうにハカセが説明をしていると「お~!応援団か青春してて良いやないか!」と体育教師は突如満面の笑顔を見せた。
以外な展開に面食らう表情のハカセだが「そうっすよね~!応援団格好良いしょ!」と健太は素早く同調し始めている。
「で?何を応援してるんや?」
笑顔だが尋問的な体育教師の問いにハカセが答えきれずにいると「今は野球部とかの試合にゲリラ応援なんす!」と物怖じする事無く答える健太。
「そうか頑張っとるんやな、だが休み時間に太鼓はあかんぞ!」
釘を刺すように体育教師が二人をひと睨みすると「はい、頑張ります!」と思わず立ち上がる健太に合わせて、ハカセも慌てて立ち上がり二人は一礼する。
「それでは失礼します」
ハカセの一言で二人が立ち去ろうとしたその時「応援と言えば、今度ブラスバンド部が始まるんじゃなかったか?」と思い出したように、二人を引き止める体育教師。
「え‥‥」
予想外な存在のライバル部登場に、顔を見合わせ立ち止まる二人。
「確か掲示板に張り出してたぞ」
笑顔で教えてくれた体育教師に、二人の返す笑顔は引き攣っている。
再び一礼した後、駆け足で掲示板を確認しに行った二人は「マジで‥‥」と掲示板を見上げたまま立ち尽くしていた。
掲示板にはブラスバンド部員募集を大々的に描いた張り紙が、張り出されていた。
次の日チビは学校に来ていたが、あえて二人は呼びに行かず基地で待っていた。
「やはり来ないのですかね‥‥」
辺りを見渡すハカセに「イヤ、チビは絶対来る!」と健太は手渡す予定の団旗を担ぎ、落ち着き払っている。
「そうだと良いですけどね」
ハカセが愚痴をこぼした瞬間、笑顔で手を振る健太。
健太の見つめる先に居たのは、学校を休んでいたのが嘘のように元気に手を振るチビだった。
「ヨッシャ-!やっぱり来た~!」
笑顔で川原を駆け降りて来るチビに、健太は説明も無く団旗を手渡す。
チビは受け取った団旗を嬉しそうに見つめている。
「良いのですか、何も言わなくて?」
練習を始めようとする健太に、ハカセが小声で耳打ちすると「ん‥‥何の事?ああ旗守る役の事か?」と見当違いな様子の健太。
「違いますよ!イジメられている事を知ったのも、保健室に応援しに行った事も言わないのですか?」
ハカセが不思議そうに小声で聞くと「仲間やからな!」と健太は格好付けたポーズで、ハカセに笑顔を返す。
二人の会話を聞き取れなかったチビが、不思議そうな顔をしていると「シャ-!練習開始や-!」と健太はいつものように大声を張り上げた。
ハカセの太鼓に合わせて、健太の声が響き渡る。
脇目も振らず二人が見上げた保健室の窓から顔を出したのは、保健室の先生だった。
「光久君夏風邪で休みだよ」
「え~!!」
以外そうに顔を見合わせる二人。
「それで来んかったんや!」
「やはり名前で呼んで正解でしたね」
冷静に状況分析するハカセとは対照的に健太は「夏風邪バンザ~イ!」と再びお祭り気分に戻っている。
「風邪で寝込んでいるのにバンザイは駄目ですよ」
安心した二人が笑い合っていると「お前達放課後ちょっと来い!」と背後から体育教師の怒鳴り声が二人を突き刺す。
睨みを効かす体育教師の前で健太は小さく返事を返したが、教師の姿が見えなくなると「説明は任した!」とハカセの肩に軽く手を置く。
「こんな時に団長権限ですか~?」
苦笑いでハカセがぼやくと「そう、団長命令や!」と健太はハカセを指差し妙なポーズを決めている。
「仕方ないですね!」
大方展開を予想していた様子でハカセは笑顔を返し、二人は教室に戻って行った。
放課後職員室隣りの個室で体育教師を待つ二人は、静かに顔を見合わせている。
「頼むから上手く言ってくれな!」
まるで悪巧みでもしているように、小声で耳打ちする健太に「どうしたのですか、珍しく慎重ですね」とハカセも小声になっている。
「せっかく手に入れた太鼓、取られるかもしれんやろ」
小声のままだが、膝を叩くジェスチャーで困り具合を強調する健太。
「確かにそれは困りますね!」
ハカセが笑顔を返したタイミングで個室の扉が開き、体育教師が入って来た。
「それでお前達‥‥休み時間に騒いでたのは何でなんや‥‥」
重苦しい雰囲気で、体育教師が唐突に話しを切り出すと「自主練です!」と緊張からか、必要以上に大きな声で返答する健太。
「自主練って、お前達部活入ってなかったやろ」
ソファーに座りかけながら、体育教師は話しを続ける。
「部活にはまだなってないですけど、応援団をしていまして」
怖いと有名な体育教師を前にして、ハカセの顔は緊張で強張っている。
「応援団~?」
普段からしかめっ面な体育教師の顔が、低い地声で更に威圧感を増している。
「はい、担任の許可は得ていますので‥‥」
気まずそうにハカセが説明をしていると「お~!応援団か青春してて良いやないか!」と体育教師は突如満面の笑顔を見せた。
以外な展開に面食らう表情のハカセだが「そうっすよね~!応援団格好良いしょ!」と健太は素早く同調し始めている。
「で?何を応援してるんや?」
笑顔だが尋問的な体育教師の問いにハカセが答えきれずにいると「今は野球部とかの試合にゲリラ応援なんす!」と物怖じする事無く答える健太。
「そうか頑張っとるんやな、だが休み時間に太鼓はあかんぞ!」
釘を刺すように体育教師が二人をひと睨みすると「はい、頑張ります!」と思わず立ち上がる健太に合わせて、ハカセも慌てて立ち上がり二人は一礼する。
「それでは失礼します」
ハカセの一言で二人が立ち去ろうとしたその時「応援と言えば、今度ブラスバンド部が始まるんじゃなかったか?」と思い出したように、二人を引き止める体育教師。
「え‥‥」
予想外な存在のライバル部登場に、顔を見合わせ立ち止まる二人。
「確か掲示板に張り出してたぞ」
笑顔で教えてくれた体育教師に、二人の返す笑顔は引き攣っている。
再び一礼した後、駆け足で掲示板を確認しに行った二人は「マジで‥‥」と掲示板を見上げたまま立ち尽くしていた。
掲示板にはブラスバンド部員募集を大々的に描いた張り紙が、張り出されていた。
次の日チビは学校に来ていたが、あえて二人は呼びに行かず基地で待っていた。
「やはり来ないのですかね‥‥」
辺りを見渡すハカセに「イヤ、チビは絶対来る!」と健太は手渡す予定の団旗を担ぎ、落ち着き払っている。
「そうだと良いですけどね」
ハカセが愚痴をこぼした瞬間、笑顔で手を振る健太。
健太の見つめる先に居たのは、学校を休んでいたのが嘘のように元気に手を振るチビだった。
「ヨッシャ-!やっぱり来た~!」
笑顔で川原を駆け降りて来るチビに、健太は説明も無く団旗を手渡す。
チビは受け取った団旗を嬉しそうに見つめている。
「良いのですか、何も言わなくて?」
練習を始めようとする健太に、ハカセが小声で耳打ちすると「ん‥‥何の事?ああ旗守る役の事か?」と見当違いな様子の健太。
「違いますよ!イジメられている事を知ったのも、保健室に応援しに行った事も言わないのですか?」
ハカセが不思議そうに小声で聞くと「仲間やからな!」と健太は格好付けたポーズで、ハカセに笑顔を返す。
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