Last flag

雨実 和兎

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<ハッピーの行方>1

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「さあ、探しに行くか~!」
「正に幸せの青い鳥探しですね」

それぞれ自転車に乗った三人は「ハッピー!」と返ってくるはずも無い返事を求めて、あてもなく近辺を探し廻る。
何分経過しても進展の無い捜索に疲れた三人は、闇雲に探すのを諦めたように一旦基地で休憩する。

「しゃーない作戦会議や!」

健太は倒れ込むように、ソファーに飛びつく。

「やはり探し方に問題が有ると思いますけどね」

慣れた様子で、ソファーの空いたスペースにハカセとチビが座る。

「探し方って?自転車じゃなくって歩いて探すんか?」
「移動方法という意味ではないですね‥‥」

更に疲れた様子で、ハカセはソファーにもたれ掛かる。

「そうや!もう一回貼り紙するか!迷い鳥探していますっみたいな」

自分の提案に自信が有るのか、健太は立ち上がりアピールするが「またですか~?この間ので紙を使い過ぎて親に怒られたばっかりですよ!」と怒りをあらわにするハカセに、健太は思わず口をつぐむ。

「アカンか~、前の時も結局連絡無かったしな‥‥」

静まり返る基地では、三人が気を紛らすようにジュースを飲む。

「けどよくよく考えると、鳥とカゴだけ盗むような泥棒なんて居ないと思いますけどね」

ハカセの呟きに「え~、泥棒以外に何が有るん~?」と健太は大袈裟に頭を抱えている。

「例えば保健所に連れて行かれたとか」

ハカセの思いつきに「ソレや~!今度こそ間違い無い!」と健太は再び立ち上がる。

「余り自信は有りませんけどね」

乗り気ではなさそうに、ハカセが座ったままでいると「いやっ!間違い無い!そこに行こう!」と健太は陽気に跳びはねて二人を急かす。
先を急ぐ健太の後ろをハカセとチビが追いかけ、三人は目的地に向かい自転車で駆け抜けて行く。

「コレか~!?何か人少ないな!」

場所も知らないまま先頭を走っていた健太は、疑うように建物を眺める。

「ここで間違い無いはずですよ」

確認した目の前の看板をハカセは指差す。
住宅地から少し離れた施設は人通りも少なく、閑散とした雰囲気を醸し出していた。

「よっしゃ!すぐに助けたるから待っとけよハッピー!」

ガレージに自転車を停めた健太は、まるで悪の巣窟に乗り込むかの如く勢いで建物の中へ進んで行く。

「頼~もう!ハッピーはドコに居ますか?」

静かな建物内に、健太の挑発的な大声が響く。
悪ふざけにしか思えない健太の質問に、受付の職員は時間が止まったように固まっている。

「そんな聞き方では解らないですよ!」

慌ててハカセが間に入ると、受付の女性職員は取り繕うように笑顔を返す。

「すみません!保護されている動物は何処にいますか?」

改めて聞き直すハカセに女性職員は「ゴメンね、大人しか手続き出来ないから、また親御さんと来てね」と事務的な返答で取り合おうとはしない。

「ハッピーって鳥の事やで!」

職員の説明を聞いていなかったのか、健太は一方的に会話を続ける。

「そもそも犬と猫だけで、鳥は扱っていないのよ」

ガラス越しの職員は少し困った表情を見せたが、大人な対応で切り抜ける。

「そうですか、お世話になりました」

礼儀正しくハカセが一礼すると、二人も真似るように一礼して三人は施設を飛び出した。

基地に戻って来た三人は再び作戦会議に突入していく。

「結局どうすれば良いんや~!?」

数時間前と変わらず、健太は頭を抱えているが「あれがいわゆる門前払いですね」とハカセは陽気に、さっき迄の状況を冗談化している。

「解った~!野良猫や~!」
「猫ならカゴまで無くならないですよ、とは言え誰かに恨まれるような事も有りませんけどね‥‥」

ハカセの言葉に思い当たる節が有るのか、健太は静かに考え込む。

「解った~!また奴達や~!」

健太の突拍子も無い大声に、チビは驚き跳びはねかけているが「奴達って誰の事ですか?」とハカセは動じる事無く冷静に尋ねる。

「あのブラバンの奴達や!」
「まさか!さすがにそれは無いでしょう!」

余りにも突飛な発想にハカセは驚き否定するが「イヤ!奴達なら有りえる!」と健太の意思は固く、完全に決めつけている。

「もし、そうだとしても相手を見つけられないですよ」
「イヤ、大丈夫や!俺には作戦が有る!」

説明も無く急かす健太に促され、三人は自転車に乗って駄菓子屋に移動した。

「作戦って、もしかして待ち伏せですか?」

念のため三人は電柱裏に隠れているが、効果の無さは通行人の視線が物語っている。

「奴達が来たら後を付けてやな、ササッとハッピーを取り戻すんや!」

大袈裟な手振りで説明する健太は、すでに隠れる事を忘れている。

「そんな都合良くここに来たとしても、気付かれずに成功する確率低いですよ」
「まあ、そうかも‥‥」
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