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19 レオノーレ王女
しおりを挟むふわふわ巻き毛の金髪が印象的で、自信に満ち溢れたように話すのがナサリアのレオノーレ王女殿下だ。
「ごきげんようフェリクス国王陛下! 貴方に会えるこの日を指折り数えてレオノーレは待っていましたの! ああ、フェリクス様はやっぱり素敵です!」
「……あ、うん……それは良かったね?」
「はいっ!」
フェリクスに再び会えたて嬉しそうにするレオノーレ王女とは逆に、国王フェリクスは明らかにあまり嬉しそうではなくて。
レオノーレ王女殿下の輿入れに伴って一緒にナサリアからやってきた侍女や臣下達は、そんな様子の国王フェリクスに不安を的中させる。
やはり想いを寄せるのはレオノーレ王女だけで、国王フェリクスにとってこの国婚はただの政略結婚に過ぎないのか、と。
ナサリアの皆が大国ガーディン国に輿入れするのは止めておけと説得したにも関わらず、父である国王を説得しこの国婚にこぎ着けたレオノーレ王女。
いくらレオノーレ王女が、ガーディンの国王に懸想していたとしても前回あっさりと断られていて。
明らかにフェリクス国王は、レオノーレ王女の事をなんとも思っていない。
だがもうガーディン国までやって来てしまったものは仕方ないし、でもどうせなら。
ナサリアから一緒にやってきた侍女達はレオノーレ王女に、愛されて幸せになって欲しい。
が……。
国王フェリクスは、レオノーレ王女の出迎えをした日から一度も会いにやって来ない。
来る日も来る日も王を待ち続けるレオノーレ王女。
何度もフェリクス国王の側近に面会を頼むが、仕事で来られないとすげなく断られ続ける。
実際ユーフェミアが居なくなった分の公務をフェリクス一人で行っているし、大国ガーディンは仕事がやたらめったら多い。
それに加えて宰相アレクサンドが、宰相の職を辞任したのが……一番大きい。
一応直ぐにアレクサンドの後任が決まりはしたが、アレクサンド程宰相の仕事が出来るはずもなく。
現状大国ガーディンの国政は国王フェリクスのみで執り行い、それを見かねたシュバリエ公爵も手伝いにきてはいるが。
もう完全に焼け石に水状態で。
レオノーレ王女を構っている暇がない。
それに元々フェリクスは、わざわざ用もないのに王妃に会いに行く事が今までなかったから。
だが小国ナサリアからやってきた王女達に、大国がこんなに忙しいだなんて想像すらつかなくて。
少しずつ不平不満が溜まっていった。
「どうしてフェリクス国王陛下は、私に会いに来てくださらないのかな……嫌われちゃったのかな……」
「レオノーレ王女殿下、そんな事はございません! 貴女様のせいでは決して、決してありません!」
「でも……あれから一度も……歓迎の宴までそう日がないのに、どうして……!」
「レオノーレ王女殿下……」
そして歓迎の宴を迎えた。
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