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【スピンオフ 秋山柚葉、家出する】
【リメイク】
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「あと、少し」
浴衣の袖と、共衿部分に、レースのつけ襟を乗せ、ミシンで慎重に縫い合わせていく。
「できた!!」
秋山柚葉は、完成したリメイク服にさっそく袖を通して、姿見の前に立った。
「……いい」
紺色地にひまわり柄の浴衣を裁断して作った、浴衣リメイクのトップス。黄色いひまわり柄に合わせて、つけ襟を黄色にして正解だった。一体感出てると思う。
ミシンの糸処理に手こずって、糸のほつれが気になるけど……
手芸ショップでストーンかパール風のビジューパーツを買って、あしらってみよう。
「……うん、いい」
もう一度言って、頷く。
世界で一着だけの、オリジナル。一生懸命考えて、頑張って作り上げたから、とんでもなく愛おしい。
お母さんに気づかれないように制作したせいで、思った以上に完成までに時間がかかったけど……
なんとか冬休み明けの進路面談までには間に合いそう。中学最後の冬休みと、おこづかい&お年玉を費やして頑張ったかいがあった。
鏡の前でいろいろ確認していたら、ガチャっと後ろでドアが開いた。
「柚葉? そこで何してるの?」
しまった!!
気が付けば、お母さんが美容室に出かけてから二時間半も経っている。最後の追い込みに集中しすぎて、時間を忘れていた。なんとかして隠さなきゃと、思った時には手遅れだった。
「あなた、それ……」
お母さんが柚葉の胸元を凝視して絶句している。
「あ、えっと。これは」
お母さんには、進路面談の時、先生と一緒に説明するつもりだったから、説得用の資料はこれから準備するつもりだった。
青ざめたお母さんの目がつり上がっていく。やばい、やばい、やばい。
「あのね、お母さん、実は私」
「何故、こんなことをしたの!!」
ママの部屋いっぱいにお母さんの怒声が響きわたって、ビクッと、驚いた柚葉は固まった。
お母さんに怒鳴られるのは、幼稚園の頃、野良猫を追いかけて車道に飛び出して以来だったから。いつもは諭すように叱るお母さんが、怒鳴っている。これは、絶対マズい。早く、しっかり説明しなきゃ。
「お母さん、聞いて。これは……」
激しい怒りを露にするお母さんに柚葉の声は届いていないようだった。
「お兄ちゃんが柚葉にこの浴衣をくれた時、お母さん言ったわよね。この浴衣は、お兄ちゃんにとって大切なモノだから大事にするのよって。なのに、こんな……」
「違うの、聞いて。これは」
「この部屋であなたがコソコソ何かしていたのは気づいてた。でも、お兄ちゃんがママの部屋は柚葉が自由に使っていいって言ってくれたし、あなただって、お兄ちゃんにとってこの部屋が、ここにある全てがどれほど大切なものかわかっていると思ってたから黙ってたのよ。それを」
「私だってわかってる!」
「だったら、どうして浴衣を裁縫遊びなんかに使ったの!」
「!!」
(裁縫遊び……)
口の中に苦いものが溜まっていく。柚葉は両手を握りしめ、呟いた。
「遊びなんかじゃない」
お母さんは眉をよせて「じゃあ、これはなんなの?」と言う。心がぐちゃぐちゃになる。
「遊びなんかじゃない!!!!!」
お母さんをキッと睨みつけ、ママの部屋を飛び出す。
そのまま、二階の自分の部屋に上がって、おでかけ用バッグとピーコートをひっつかみ、柚葉は家を飛び出したのだった。
浴衣の袖と、共衿部分に、レースのつけ襟を乗せ、ミシンで慎重に縫い合わせていく。
「できた!!」
秋山柚葉は、完成したリメイク服にさっそく袖を通して、姿見の前に立った。
「……いい」
紺色地にひまわり柄の浴衣を裁断して作った、浴衣リメイクのトップス。黄色いひまわり柄に合わせて、つけ襟を黄色にして正解だった。一体感出てると思う。
ミシンの糸処理に手こずって、糸のほつれが気になるけど……
手芸ショップでストーンかパール風のビジューパーツを買って、あしらってみよう。
「……うん、いい」
もう一度言って、頷く。
世界で一着だけの、オリジナル。一生懸命考えて、頑張って作り上げたから、とんでもなく愛おしい。
お母さんに気づかれないように制作したせいで、思った以上に完成までに時間がかかったけど……
なんとか冬休み明けの進路面談までには間に合いそう。中学最後の冬休みと、おこづかい&お年玉を費やして頑張ったかいがあった。
鏡の前でいろいろ確認していたら、ガチャっと後ろでドアが開いた。
「柚葉? そこで何してるの?」
しまった!!
気が付けば、お母さんが美容室に出かけてから二時間半も経っている。最後の追い込みに集中しすぎて、時間を忘れていた。なんとかして隠さなきゃと、思った時には手遅れだった。
「あなた、それ……」
お母さんが柚葉の胸元を凝視して絶句している。
「あ、えっと。これは」
お母さんには、進路面談の時、先生と一緒に説明するつもりだったから、説得用の資料はこれから準備するつもりだった。
青ざめたお母さんの目がつり上がっていく。やばい、やばい、やばい。
「あのね、お母さん、実は私」
「何故、こんなことをしたの!!」
ママの部屋いっぱいにお母さんの怒声が響きわたって、ビクッと、驚いた柚葉は固まった。
お母さんに怒鳴られるのは、幼稚園の頃、野良猫を追いかけて車道に飛び出して以来だったから。いつもは諭すように叱るお母さんが、怒鳴っている。これは、絶対マズい。早く、しっかり説明しなきゃ。
「お母さん、聞いて。これは……」
激しい怒りを露にするお母さんに柚葉の声は届いていないようだった。
「お兄ちゃんが柚葉にこの浴衣をくれた時、お母さん言ったわよね。この浴衣は、お兄ちゃんにとって大切なモノだから大事にするのよって。なのに、こんな……」
「違うの、聞いて。これは」
「この部屋であなたがコソコソ何かしていたのは気づいてた。でも、お兄ちゃんがママの部屋は柚葉が自由に使っていいって言ってくれたし、あなただって、お兄ちゃんにとってこの部屋が、ここにある全てがどれほど大切なものかわかっていると思ってたから黙ってたのよ。それを」
「私だってわかってる!」
「だったら、どうして浴衣を裁縫遊びなんかに使ったの!」
「!!」
(裁縫遊び……)
口の中に苦いものが溜まっていく。柚葉は両手を握りしめ、呟いた。
「遊びなんかじゃない」
お母さんは眉をよせて「じゃあ、これはなんなの?」と言う。心がぐちゃぐちゃになる。
「遊びなんかじゃない!!!!!」
お母さんをキッと睨みつけ、ママの部屋を飛び出す。
そのまま、二階の自分の部屋に上がって、おでかけ用バッグとピーコートをひっつかみ、柚葉は家を飛び出したのだった。
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