14 / 15
ヴァーデル領編
村長宅の食卓で
しおりを挟む
私がログハウス風の村長宅で木の香りと雰囲気を楽しんでいると、アンナがノックをして入ってきた。
「お嬢様。夕食の準備が整いました」
「わかったわ。ヴァーデル領の料理が楽しみだわ」
私はどんな未知の料理が出てくるのか楽しみだった。私がこの世界に生まれてから、この旅で食べたサンドウィッチを除けば王都の料理のあまり美味しくない料理しか知らない。だから、私の食の探求欲ここ最近で鰻登りになっていた。今まで抑圧していた分が押し寄せてきたのだろう。私はルンルンで食卓に向かった。
食卓にはすでにアルベール様は席に座っており、その後ろにはアンドレが立っていた。村長夫婦は私を待っていたのか立っていた。私が食卓に近くと
「さぁ、こちらへどうぞ」
と村長がアルベール様の隣の席を施した。私はその席に着き、テーブルにある料理を見た。テーブルには底が深い器にシチューのようなものが入っていた。それから鶏に似た鳥の丸焼きがあった。他にも判断もつかない食べ物などがテーブルに並んでいた。私がこの世界で初めてみる料理ばかりだった。早く食べたいという思いに駆られていた。しかし、村長が挨拶をし出したのだ。
「えぇ~、第一王子殿下並びに婚約者様におかれましては、この度はこのような辺境の地にお越しいたしまして大変ありがとうございます。また……」
話がひたすら長い。私がぐったりしていることに気づいたのか村長の奥様が
「あなた! お二方が困惑なされいますわ! 早く夕食にしましょう!」
と言って、村長も私たちの表情にやっと気づいたのか気まずそうに話をしめた。そして早速、私はそのシチューのようなものに手をつけた。スプーンでそれをゆっくりと沈めた。すると中には何か具材が入っているようだ。私はシチューを少し避けて中身を見てみるとそこには米らしい粒々が無数に見えた。私はすぐにそれをスプーンで掬い口に含んだ。噛み締めて食べるともっちりとした感触にシチューがかかって分かりづらいが僅かに米の甘みのようなものを感じた。私は一心不乱にその料理を食べた。すぐになくなり私が満足しているとアルベール様がまるで小さい子を見るような微笑ましいと言わんばかりの温かい目で私を見ていた。私は恥ずかしさを覚え、下を向いた。そのとき、私は茹で蟹のように真っ赤になっていたことだろう。すると村長の奥様が
「すごく気にいっていただけで良かったです」
と言った。
「えぇ、とてもおいしかったです。まるで昔を思い出すような味でした。ちなみにこのシチューの下にある穀物は何でしょう?」
私は気を取り直して一番気になることを聞いた。
「これは米という食べ物です。遠い昔にここに訪れた旅人がここら辺で自生していた米の食べ方と育て方を伝えたと聞いています」
「その方について詳しく教えて頂けないでしょうか?」
私は、私と同じ転生者の可能性を感じてついそう聞いてしまった。すると今度は村長が答えた。
「私も詳しくは知りません。なんせ昔のことで真偽も確かではありません。その旅人がここに住み着き、それからここらではこれが主食になったという話を私が幼い頃に聞いたくらいです」
村長の奥様も首を縦に振り村長と同じようだ。
「……そうですか」
私は少しがっかりした。だけど、これからここで暮らすことになる私は、つまり毎日ご飯を食べることができるのだ。誰が伝えたのかは分からないが、私はその人に感謝した。その後も私は料理を楽しんだ。
「お嬢様。夕食の準備が整いました」
「わかったわ。ヴァーデル領の料理が楽しみだわ」
私はどんな未知の料理が出てくるのか楽しみだった。私がこの世界に生まれてから、この旅で食べたサンドウィッチを除けば王都の料理のあまり美味しくない料理しか知らない。だから、私の食の探求欲ここ最近で鰻登りになっていた。今まで抑圧していた分が押し寄せてきたのだろう。私はルンルンで食卓に向かった。
食卓にはすでにアルベール様は席に座っており、その後ろにはアンドレが立っていた。村長夫婦は私を待っていたのか立っていた。私が食卓に近くと
「さぁ、こちらへどうぞ」
と村長がアルベール様の隣の席を施した。私はその席に着き、テーブルにある料理を見た。テーブルには底が深い器にシチューのようなものが入っていた。それから鶏に似た鳥の丸焼きがあった。他にも判断もつかない食べ物などがテーブルに並んでいた。私がこの世界で初めてみる料理ばかりだった。早く食べたいという思いに駆られていた。しかし、村長が挨拶をし出したのだ。
「えぇ~、第一王子殿下並びに婚約者様におかれましては、この度はこのような辺境の地にお越しいたしまして大変ありがとうございます。また……」
話がひたすら長い。私がぐったりしていることに気づいたのか村長の奥様が
「あなた! お二方が困惑なされいますわ! 早く夕食にしましょう!」
と言って、村長も私たちの表情にやっと気づいたのか気まずそうに話をしめた。そして早速、私はそのシチューのようなものに手をつけた。スプーンでそれをゆっくりと沈めた。すると中には何か具材が入っているようだ。私はシチューを少し避けて中身を見てみるとそこには米らしい粒々が無数に見えた。私はすぐにそれをスプーンで掬い口に含んだ。噛み締めて食べるともっちりとした感触にシチューがかかって分かりづらいが僅かに米の甘みのようなものを感じた。私は一心不乱にその料理を食べた。すぐになくなり私が満足しているとアルベール様がまるで小さい子を見るような微笑ましいと言わんばかりの温かい目で私を見ていた。私は恥ずかしさを覚え、下を向いた。そのとき、私は茹で蟹のように真っ赤になっていたことだろう。すると村長の奥様が
「すごく気にいっていただけで良かったです」
と言った。
「えぇ、とてもおいしかったです。まるで昔を思い出すような味でした。ちなみにこのシチューの下にある穀物は何でしょう?」
私は気を取り直して一番気になることを聞いた。
「これは米という食べ物です。遠い昔にここに訪れた旅人がここら辺で自生していた米の食べ方と育て方を伝えたと聞いています」
「その方について詳しく教えて頂けないでしょうか?」
私は、私と同じ転生者の可能性を感じてついそう聞いてしまった。すると今度は村長が答えた。
「私も詳しくは知りません。なんせ昔のことで真偽も確かではありません。その旅人がここに住み着き、それからここらではこれが主食になったという話を私が幼い頃に聞いたくらいです」
村長の奥様も首を縦に振り村長と同じようだ。
「……そうですか」
私は少しがっかりした。だけど、これからここで暮らすことになる私は、つまり毎日ご飯を食べることができるのだ。誰が伝えたのかは分からないが、私はその人に感謝した。その後も私は料理を楽しんだ。
0
あなたにおすすめの小説
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ
汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。
※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
スラム出身の“偽聖女”は、傷ついた第二王子と政略結婚しました。〜本当の私は、王に滅ぼされた最強名家の生き残りです!~
紅葉山参
恋愛
二十年に一度、王国で行われる“聖女選定の儀”。
歴代の聖女はすべて名門貴族の令嬢──その常識が崩れた。
儀式の最後に放たれた白羽の矢は突風にさらわれ、広場ではなくスラムのボロ小屋へと落ちる。
矢が示した少女 イレネス・リファール は、拒めば「スラムを潰す」と脅され、強制的に王宮へ。
しかし待っていたのは、貴族たちの冷笑と侮辱。「平民が聖女候補?」「王宮を汚すのか」と、心を削る仕打ちばかりだった。
それでもイレネスは決して折れない。
──スラムの仲間たちに、少しでも良い暮らしを届けたい
その願いだけを胸に、神殿での洗礼に臨む。
そこで授かったのは、貴族の血にのみ現れるはずの“癒しの魔法”。
イレネスは、その力で戦で重傷を負った第二王子 ダニエル・デューイッヒ を救い、彼は彼女の才と誠実さに心を動かされる。
結婚相手を探していたダニエルだが、現国王は嫌味たっぷりに「平民上がりの聖女でも娶ればよい」と突き放す。
しかしダニエルはあえてその提案を受け入れ、イレネスに結婚を申し込む。
イレネスは条件として──
「スラムに住む人々へ、仕事と安心して暮らせる住まいを」
──それを求め、二人は政略結婚を結ぶ。
はじめは利害だけの結婚だった。
だが共同生活と幾つもの困難を乗り越えるうち、二人は互いを強く意識し始める。
しかし王宮では、イレネスを嫌う王妃派聖女候補の嫌がらせが苛烈になり、国王はダニエルをなぜか執拗に遠ざける。
そんな中、ダニエルはひそかに調査を命じる。
魔法は貴族の血だけが受け継ぐはず──
なのに、イレネスは強大な癒しの力を持つ。
そして明らかになる、衝撃の真実。
──イレネス・リファールは、かつて国王に陥れられ滅ぼされた名門リファール家の“唯一の生き残り”だった。
なぜ国王はリファール家を潰したのか?
なぜ白羽の矢は彼女を示したのか?
そして二人は、不正と陰謀渦巻く王宮で何を選び、何を守るのか──。
“スラム出の偽聖女”と蔑まれた少女が、
やがて王国の闇を暴き、真の聖女として輝くまでの
愛と逆転とざまぁの物語が、いま動き出す。 はず……
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる