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プロローグ
第三話 妹よ、俺は今スキルを貰っています。
しおりを挟む「俺、行きます。異世界へ」
決意は固まった。知世が見る最後のラノベ主人公に俺はなる。
冒険者になって世界中を旅しながら困っている人を助ける痛快活劇、前世の知識を生かして新しい世界に改革をもたらすのもいいな・・・・って無理だな。残念だが凡人の俺には他者を圧倒する運動神経も特別な知識も無い。
やばい・・・滅茶苦茶つまらない物語になりそうだ・・・
「安心してください。異世界転生には特典が付きます」
「本当ですか。よっしゃー!」
そうだよ、異世界転生といえば転生時に貰ったスキルを活かして活躍するのが定番じゃないか。さすがは創造神様、わかっていらっしゃる。
「先ずは我々の組合で決まっている転生者保護用のスキルが二つ」
「組合・・・・」
なんだか組合とか先輩とか、おかしな単語がたまに出てくるんだよな。
「それは仕方がありません。文化や言語が違えば、それに最も近い単語で補うしかないですから。これこそが一つ目のスキル、自動翻訳です」
なるほど、それでさっきから会話に若干の違和感があったのか。ん・・ってことは既にスキルを使っているのか。
「はい、ここは神界とはいえ既に異世界。あなたが生まれた世界から異なる世界に来た時点で二つのスキルは既に備わっています。成人している方が一から言語を習得するのは大変ですから」
なんと親切で手厚いサポートだ。創造神様組合、素晴らしい。
「しかも、本来は異世界で暮らす為の補助なのですが、世良登希雄さんは私にとってVIP中のVIP。特別に二つのスキルはMAXのレベル10にしてあります。どこへ行っても言葉に困ることはありません」
「重ね重ね手厚いサポートありがとうございます。ところで、もう一つの転生者保護用スキルは・・・」
「鑑定です」
「鑑定ですか、それは助かります」
ありがたい。よく知世と異世界に行くにあたって一つだけスキルが貰えるのならば何が一番いいか話したが、そんな時決まって俺は鑑定を主張した。知らないことが多い場所で鑑定ほど生存率を上げるスキルはないからな。
ちなみに知世は動物と話せるスキルがいいらしい。
「もしかして、俺は既に鑑定も使えるのですか」
「ええ、試しに自分を鑑定してみるといいですよ」
「わかりました、やってみます・・・鑑定。わ!」
目の前に映画やアニメで観たことのある宙に浮いたモニターが現れ尻餅をついてしまった。凄いな、これ。
さてと、俺のステータスは・・・
「何だ、これ!」
「何が映り出されたのです?私にも見えるようにしてください」
「えっ、創造神様には見えないのですか」
「無理をすれば見られないこともありませんが、あなたが「見てもいいよー」と心で念じてくだされ私にも見えるようになります」
出た、自動翻訳の限界。本当に「見てもいいよー」以外当てはまる言葉が無いのか?
「わかりました。見てもいいよー」
「・・・ああ、なるほど」
宙に浮くモニターに映り出されているのは名前と年齢性別、そして大量の活字。俺が生まれた日時場所から両親の名前に家族構成、その後に生まれた瞬間から延々と続くエピソード。最後まで読んでいないが多分これ俺が死んだ日まで続いているんじゃないか。
何の面白みもない私小説のようで活字慣れしている俺でも読むのに苦痛を感じるレベル。しかもネタバレ。
「これは初心者に鑑定レベル10を与えた弊害が出ましたねえ」
「初心者の弊害ですか・・・」
何それ、怖いんですけど・・・
「普通スキルとは発現してから何度も使って徐々に熟練度を上げていくものです。あなたの場合は一度も鑑定を使ったことが無いのに私がレベル10にしてしまったので、加減がわからず全力を出してしまったのでしょう。今あなたが使ったのは鑑定スキルの中でもレベル10に到達した者しか使うことのできない最上位鑑定です」
「最上位鑑定・・・なんだか凄そうですね」
「スキルにはレベルが上がるにつれて出来ることが増すものと、一つの能力が強力になっていくものの二種類があります」
なるほど。鑑定は出来ることが増えるスキルで、例えば息止めみたいなスキルがあったらレベルが上がればより長い時間息を止めていられるということかな。
「概ねその認識で間違いありません。ちなみに、鑑定には「鑑定」「上位鑑定」「最上位鑑定」の三種類があります。他にも「索敵」「ステータス隠蔽」「ステータス偽装」など使えるものが多いので不慣れな異世界の地では最適だと我々の組合で採用することとなりました」
本当にありがたい組合だ。創造神様組合、万歳!
「それでは「鑑定」から使ってみましょう。「上位鑑定でも最上位鑑定でもないよー。鑑定だよー」と思いながら使ってください」
「わ、わかりました。上位鑑定でも最上位鑑定でもないよー・・・鑑定」
名前 トキオ セラ(21)
レベル 1
種族 人間
性別 男
・・・・これだけ?
「確かに少ない情報量ではありますが馬鹿には出来ませんよ。前世と違い魔法やスキルがある世界では名前や種族を偽るのは日常茶飯事ですから」
確かにそのとおりだ。みすぼらしい恰好をしていても実は貴族様なんてことがあるかもしれない。
「さあ、次は「上位鑑定」いってみましょう。すでに「鑑定」と「最上位鑑定」は経験していますので「でもないよー」はいらないと思います」
「はい、でも一応念の為、鑑定でも最上位鑑定でもないよー・・・上位鑑定」
名前 トキオ セラ(21)
レベル 1
種族 人間
性別 男
基本ステータス
体力 20/20
魔力 24/24
筋力 18
耐久 20
俊敏 23
器用 28
知能 26
幸運 9
魔法
火 E
水 E
風 D
土 D
光 E
闇 E
空間 E
時間 D
スキル
自動翻訳10 鑑定10 交渉4 料理2
加護
創造神の加護
おおー、これこれ。俺の知っているステータスってのはこれだよ。
なになに・・・幸運が物凄く低いんですけど・・・ま、まあいい。魔法は8属性あるってことでいいのか。スキルは創造神様から頂いた他に交渉と料理、これって前世で保険の営業や自炊していたからかなぁ。
あと、最後にある創造神の加護ってなに、滅茶気になる・・・
「少し補足しますね。まず基本ステータスですが人間の場合三十歳位までは大体年齢が平均です。そこにレベルを掛ける、例えばあなたがレベル2になれば体力は40前後になると推測できます。魔法は全8属性なのであなたは全属性持ちです。スキルに関しては前世のものを引き継いでいるのでしょう」
自分の能力が可視化できるのってRPGみたいで面白い。今のところ魔法やスキルは比較対象が居ないから何とも言えんが・・・
それと・・・創造神の加護の説明してほしいのですけど・・・
「そうですね。それでは創造神の加護のところをクリックするイメージで開いてみてください」
「こ、こうかな・・・」
「創造神の加護」
魔法全属性付与
状態異常完全無効化
レベルアップ時の基本ステータス上昇10倍
「マジっすか!」
「マジです」
最後のやばくない?これって成長スピードが普通の人の10倍ってことだよなぁ。それと俺が本来持っていた魔法属性は風と土と時間の三つだけってことか・・・絶対チートだろ、これ。
「確かに強力な加護です。あなたには充実した人生を送っていただくためにも簡単に死んでもらっては困りますから。しかし、絶対の力ではありません。私の創造した世界は剣と魔法の世界だということをお忘れなく。前世ではあり得ない程の途轍もない力や能力を持った者や、人とは比べ物にならない圧倒的な魔物が存在します」
そうだ、気を引き締めろ。簡単に死ぬわけにはいかない。知世が楽しみにしている物語が早期打ち切りなんて結末は兄として許容できないからな。
充実した人生がどんなものかはわからないが、途中退場してはならないのが絶対条件であることぐらいはわかる。うん、何をおいても安全第一だ。
「何から何までありがとうございました。組合から頂いたスキル、創造神様から頂いた加護で絶対生き抜いてみせます」
これだけ手厚いサポートをしてもらって簡単には死ねない。楽しみにしている知世は勿論、創造神様の顔に泥を塗ることになる。
「それでは行ってまいります」
「お待ちください、まだ異世界転生特典は終わりではありません。最後にあなたが欲しいスキルを一つ選んでください」
本当にいいのか。これ以上の優遇を受けても・・・
「これは特別な待遇ではありません。好きなスキルを一つ選べるのは我が組合の決まりですので」
・・・凄いぜ、創造神様組合。
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