【本編完結済】ヤリチンノンケをメス堕ちさせてみた

さかい 濱

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挙動不審

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    チンポを噛まれてから数日後、学食に行くといつもの席に二人がいなかった。ランチの乗ったトレーを手に探していると、隅の方の席に座り、こそこそと話をしている二人を見つけた。
    いつもは日当たりのいい窓際の席を陣取っているのに珍しいなと思いながら、そっちへ向かった。 

「いつもの席空いてるのに、どうしたの?」
「あっ、町屋クン来た。ちょっと、アドバイスしてくんねぇ?」
「もっ、もういいだろ、町屋に聞かなくても。解決したんだから。」

    声をかけると、春日部は慌て、引きつった顔をし、堀田は自分の隣の席の荷物を避けて手招きをした。

    春日部の表情を見るに、多分堀田の彼女の話をしていたのだと察した。そして、こんな端の席でこそこそしていたのだから、きっとシモ関係の話なんだろう。居酒屋では仕切りもないのに下ネタを話す二人だが、さすがに昼から大学の学食で堂々と話すのははばかられたらしい。

    促されるまま堀田の隣に座ると、斜め向かいに座る春日部は僕を見てなんとも言えない表情をした。
    同情とか、諦観とかが混じったような複雑な顔。

「実はさ、土曜の夜、彼女の部屋に行くことになって。」
「あ、泊まり?やったね。」
「うははっ、そーなんだよ、初お泊まり。」

    彼女から(仮)の文字が取れ、正式に付き合うことになり、順調に関係を進めているらしい。


「つーか、町屋の飯、冷めるし。俺のアドバイスだけで十分だろ。」

    堀田とは対照的に渋い顔をしている春日部。手元にある、いつものカレーライスは、まだ手付かずだ。

「春日部のアドバイスが的外れだったらどーすんだよ。すげぇ不安なんだよ。町屋クン、食べながらでいいから、聞いてくれよ。」
「あ?親身になって聞いてやったのに、的外れってなんだよ。」
「助かったけどさ、お前、基本的に女の子の扱い雑だから。」


    言い争う二人を尻目に「いただきます」と言って、ランチに手をつけた。
    今日のA定食は豚肉のしょうが焼きに、マカロニサラダ。それと少々の野菜とご飯と味噌汁。
    味の好みだとは思うが、僕は春日部の作ってくれたしょうが焼きの方が美味しいと思う。


    春日部との言い合いに勝利した堀田は、僕の方へ向き直って『相談』と称した惚気を話してくれた。

    相談内容は、簡単に言うと「セックスする時、情けないことになりたくない」という話だった。

「彼女さんは、堀田が童貞だって知ってるの?」
「言ってないけど、多分バレてるんじゃないかな。キョドっちまう時あるし。」
「じゃあはっきり言っちゃった方が緊張しなくて、いいんじゃない?」
「だよなぁ。でもどんなタイミングで言えばいーのか。」
「確かに難しいよね。直前じゃだめなのかな?」
「直前かァ。……直前って、キスした後?それとも風呂を勧められた時?そんなつもりないのに何がっついてんの?って思われないか?」

「うーん、大丈夫だと思うよ。部屋に呼ぶってことは、100%そういうつもりだと思うから、何がっついてんの?とは思われないんじゃない?」
「そうか。そうだよな。初めてだっつーのは部屋に行ったときタイミング見て言うことにする。」

    堀田の口ぶりから察するに、相手は処女ではないらしい。
    堀田の『夢』は処女と童貞で付き合って結婚することだったはずだが、そう言えば春日部はそれを「ずっと昔」に聞いたとも言っていた。
    考えが変わったのだろう。

「でもさ、童貞だからって、リードされるっていうのも、情けないだろ。」
「まぁ、そこは頑張るしかないよね。痛くないか気持ちいいかその都度聞いて進めてくしかないよ。それにさ、情けなくってもいいんじゃない。彼女さん年上だし、可愛いって思ってくれるかもよ。」
「そうかぁ?女の子が初めてで不馴れな感じだったら、可愛いだろうけどさ。俺男だし。」
「うーん、僕だったら、男でも可愛いと思っちゃうけどな。」

    チラリと春日部を見て言うと、コップの水を飲んでいる最中だった春日部は盛大に水を吹いた。

「何やってんだよ汚ねぇな。」
「わ、わりぃ、でも町屋が、変なこと言うから。」
「は?町屋クンは、何も変なこと言ってねぇよ。」
「……あ、あぁ、そうだな、わりぃ。」

    堀田にティシュを渡されて、口やテーブルを拭く春日部は焦った顔をしていて、面白くて可愛い。

「そう言えばさ、聞いたこと無かったけど、町屋クンの初めてっていつよ?どんな相手だった?」
「おいっ、堀田、やめろって。」

    春日部は、僕に女性経験がないことを知っている。もちろん初体験が男だということも分かっているので、堀田を止めている。
    またもや焦らせてしまって、申し訳ない。

「は?何でだよ。お前何かおかしいけど、町屋クンと喧嘩でもしたのか?」
「喧嘩なんてしてねぇよ。仲良くして……してねぇし。いや、してるか。っ、じゃなくて、あの、アレだ。親しき仲にも礼儀ありって言うし、そんなこと聞くの、町屋に失礼だろ?」

    フォローはありがたいが、春日部が挙動不審過ぎて、ゲイだということがバレそう……というか、春日部との関係がバレそうだ。まぁ、僕はバレてもいいけど、

「僕の初体験は、中一の時、ホームステイ先のアメリカで。金髪碧眼ブロンドの人だったよ。」
「うおおお!マジかよ!パツキンかぁ!あっちから迫られたんだよな?」
「うん。アジアンボーイのチンポを試したかったらしいよ。」
「ブフォッ。」
「ったく、春日部よぉ、何回吹き出すんだよ。ほらティシュ。興奮すんのは分かるけども邪魔すんな。……美女?スタイル良かった?」
「美女、ではなかったけど、スタイルは良かったよ。アメフトやってて、ポジションが――」
「ブッ。」
「おいっ、お前は口にティシュでも詰め込んでろ。んで、えっと、アメフトって……、ああ!チアリーダーか!ユニフォーム着たままやったりした?」
「あははー、内緒。」
「やったんだな!うわぁ。コスプレじゃなくてホンモノ!すげぇよ。」


    こんな話をしたのは、堀田には、なるべく嘘を吐かないようにしてるから。付き合いが長くなれば、ゲイだと告白しなきゃいけない日が多分来るわけだし、その時にショックを受け過ぎないように「なんとなくそうだと思ってた」くらいにしておこうと思ってのことだった。

    しかし、堀田は何の引っ掛かりも無かったようで、春日部だけがやつれた顔をする結果になった。
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