難攻不落の精強軍隊 〜異世界転移してスローライフかと思ったら、乱世が舞台だったので世界統一を目指します〜

尾関 天魁星

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【第一章】第一次セトラ村攻防戦

【第十六話】カシュカ

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 カシュカは、遠巻きに見ていることしか出来なかった。


 カイトの援護のつもりで後を追ったものの、彼は一人で隊列に突っ込んでしまったのだ。


 カイトの姿は見えなかったが、激しく暴れ回っているのはよく分かった。


 敵兵が、一人二人と斬り飛ばされている。


 しかし、たった一人で三百以上の兵を倒すのは不可能だと、カシュカは思った。


 指揮官を倒すしか、勝つ方法はない。


 カイトが、兵の頭上高くを跳躍したのが見えた。


 着地したのは、部隊の指揮官の正面だ。


 また、カイトの姿は消え、戦況は分からなくなった。


 カシュカは思い出したように弓を構え、矢を放った。


 何もしないよりは、まだましだろう。


 誰かに当たったかどうかは分からないが、隊列の一部がこちらを向いたのが分かった。


 敵兵も矢を放ってきたが、馬を駆けさせて距離を置くだけで、それは避けた。


 かなり長い時間が経ったような気がする。


 どんなに無双する武人でも、とっくに死んでいてもおかしくない。


 しかし、敵の隊列の騒がしさからするに、まだ戦闘は続いている。


 不意に、騎馬隊が隊列から離れた。


 四十騎にも満たない騎馬隊だったが、なかなかの速さでこちらに向かってくる。


 自分を討つつもりだろうか。


 すぐに退避はせず、距離があるうちになるべく矢を射った。


 距離が縮まってきた。


 敵の騎馬からも、矢が放たれる。


「うおっ」


 運悪く、そのうちの一本が脚に突き刺さり、落馬してしまう。


 乗っていた馬にも当たったようで、驚いてどこかに駆け去ってしまった。


 カシュカはすぐに起き上がって剣を構えた。


 脚に刺さった矢は抜かない。
 抜くと、出血がひどくなるからだ。


 騎馬が、すぐ目の前に迫ってきた。


 上手くいって、一騎か二騎を道ずれに出来るくらいか。


 束の間、そんな事を考えた。


 ぶつかる。


 そう思った直後に、敵の騎馬隊に別の何かがぶつかった。


 騎馬隊は一瞬足を止めたが、すぐに向きを変えて立て直した。


「団長、探しました」


 やって来たのは、自警団の仲間たちだった。


 馬に乗って避難したはずだったが、戻ってきたようだ。


「お前たち」


「山まで退避したところで、団長とカイトがいない事に気付きまして」


「だからって、戻ってくるとは」


「後で来ると言ったのは、団長じゃありませんか」


 笑った。


 カシュカは仲間たちが連れてきた予備の馬に乗った。


 敵の騎馬隊は戻ってくるようだ。
 こちらは六十騎ほどがいる。


 顔ぶれを見ると、山に避難していたはずの大人たちも混じっていた。テジムもいる。


「カイトの後を追って、動ける大人達も馬に乗って救援にきたのだ。まぁ、かなり遅くなったが」


 大人の一人が言った。


 敵の騎馬隊は、馬首を返して去っていく。





 数の上では勝てないと思ったのだろう。
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