難攻不落の精強軍隊 〜異世界転移してスローライフかと思ったら、乱世が舞台だったので世界統一を目指します〜

尾関 天魁星

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【第二章】蓮牙山同盟

【第二十六話】意地

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 かつて略奪と殺戮をしてきた蓮牙山の山賊だが、今は心を入れ替えて、世直しを掲げている。


 全くの悪だとは、俺は思わなかった。


 しかし、カシュカにはまだ思うことがあるようだ。


「カシュカ、少なくとも彼らは他の山賊と違うようだ。俺は、食糧を分けてもいいのではないかと思う」


 ガンテスが、顔を上げた。


「俺は」


 カシュカが、拳に力を入れながら話し出した。


「俺は十年前、山賊に母親と弟を殺されたのだ」


 カシュカに母親が居ないのは知っていたが、まさかそんな過去があるとは思わなかった。


 村の人達も、あえて口には出さなかったのだろう。


「そ、それは、俺たち蓮牙山の山賊がやったのか」


「違う。街や村から追い出された、ならず者が集まっただけの小さな山賊だった」


 違う山賊だとしても、やはり許せない所がカシュカにはあるのだろう。


「気の毒だったとしか、俺には言えないが」


 俯きながら、ガンテスは言った。


「だから、山賊に食糧など分け与えん。蓮牙山に帰れ」


 カシュカは、声を荒げた。


 ガンテスの後ろにいた山賊たちが、少し気圧されているのが分かった。


 ゆっくりと、ガンテスは立ち上がり、カシュカに強い視線を送った。


「お前の事情は分かったつもりだ。しかし、俺にも食わせていかなければならない部下がいる」


 ガンテスはそう言うと、背負っていた鉄の棒を掴んだ。


 その棒が並大抵の重さでないことは、見ただけで分かった。


「俺はここに来る時、蓮牙山の部下達に必ず食糧を持ってくると約束した。それが叶わないのなら、俺は死ななければならんのだ」


 人の上に立つ者としての心構えは、立派に持っているのだろう。


「立合うというのか。分かった、受けて立とう。お前が勝てば食糧を分けてやる。しかし、俺が勝てば、食糧は渡さん。蓮牙山に帰るなり野垂れ死ぬなり、好きにしろ」


 カシュカが馬を降り、剣を抜いた。


 二人が武器を構え合う。


 闘気。


 二人から放たれていた。


 カシュカも俺と同様にドライスから剣の稽古を付けて貰っていたが、俺が教わった構えと違う構えをとっていた。


 もしかしたら、ドライスは俺とカシュカで別々の教え方をしていたのかもしれない。


 どちらからともなく、動いた。


 鉄と鉄がぶつかり合う、鋭い音が響いた。


 その迫力で、蓮牙山の山賊達がどよめく。


 数度打ち合い、また距離を置いた。


 鉄の棒は剣と違い、全体が武器になる。
 そういうことでは、棒の方が有利だった。


 しかし、剣は動きが鋭く、細かい動きが得意なのだ。


 どちらが強いかなど、決めることなど出来ない。





 カシュカの剣術は、以前よりも鋭いものになっていた。
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