難攻不落の精強軍隊 〜異世界転移してスローライフかと思ったら、乱世が舞台だったので世界統一を目指します〜

尾関 天魁星

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【第二章】蓮牙山同盟

【第三十話】ガンテスの主張

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 ガンテスはオトラス王国で有名な賊徒の頭領であり、その身柄を王国軍に引き渡せば、この村が攻められる事は無くなるだろう。


 俺も、初めはそう考えていた。


 ガンテスは当然処断されるだろうが、この村は守られるのだ。


 しかしドライスによれば、ガンテスを引き渡してもこの村への侵攻は止まらないらしい。


「どうして、ガンテスを引き渡しても駄目なのですか?」


 カラバ村長が言った。


 またいつ、王国軍に攻められるか分からないのだ。


「確かに蓮牙山の頭領を差し出せば、王国からいち目置かれるだろう。しかし、王国軍は義理堅いとは言えない。何かと理由を付けて、また攻めて来るに違いないでしょう。もともと、王国軍はこの村を攻めて撃退されている。頭領一人を差し出した所で、許されるとは思えません」


 もともと王国軍にいたドライスがそう言うのだから、おそらくその通りなのだろう。


 だとすれば、ガンテスを差し出してもセトラ村にとっていい事は何も無い。


 皆が、押し黙ってしまった。


「俺を、殺せ」


 拘束されたまま地面に座っていたガンテスが言った。


「王国軍に突き出されても、どうせ俺は処断されるのだ。ここで殺されても、同じ事だろう」


 冷静な口調だが、手が震えているのが見えた。


 捕縛された時点で、命は諦めているのかもしれない。


「すぐに決める事は出来ない。村の存亡に関わる、大事な事なのだ」


 カシュカがそう言うと、ガンテスは勢いよく顔を上げた。


「駄目なのだ、今すぐ殺せ」


「どうしてそんなに必死なのだ。自分の命だろう」


「俺の命だけなら、何も惜しくはない」


「じゃあ、どうして」


 カシュカは、ガンテスをただ見下ろしていた。


「蓮牙山には、俺の他にもう一人頭領がいる。俺がこの村で捕らわれていると知ったら、取り戻そうとして必ずここにやって来るだろう」


 ガンテスは、目に涙を浮かべていた。
 声も震えている。


「もしもう一人の頭領が来たら、撃退するまでだ」


 カシュカが言った。


「だから駄目なのだ。もう一人の頭領は、俺よりも強くはない。だから、カシュカとカイトだったか。お前たちに殺されてしまうだろう」


 ガンテスが立ち上がろうとしたが、横で見張っていた自警団員が身体を押さえた。


「俺の為にそいつが殺されるのを見たくはない。だから俺を殺してくれれば、あいつは諦めて蓮牙山に帰ってくれるはずなんだ」


 ついにガンテスの眼から涙がこぼれ落ちた。


 よほど、もう一人の頭領の事を心配しているのだろう。


 カシュカは、またも戸惑っているようだった。








「・・・たかが山賊が、そんなにも仲間を気遣うのか」


 カシュカにとっては、理解出来ない事のようだった。
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