難攻不落の精強軍隊 〜異世界転移してスローライフかと思ったら、乱世が舞台だったので世界統一を目指します〜

尾関 天魁星

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【第三章】蓮牙山攻防戦・第二次セトラ村攻防戦

【第五十三話】カシュカ視点

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 王国軍の前進は、続いていた。


 村の周囲に張り巡らせた防備や罠のおかげで、その速度はかなり遅いとカシュカは思った。


 しかし王国軍の数は多く、罠にかかっても確実に越えてくる。


 村の自警団の合計は、七十人だった。


 高台から監視や弓での射撃をする者を除き、五十人程で陣を構えている。


 陣と言っても、柵と盾を並べ、隊列を組んでいるに過ぎなかった。


 他の村人は、すでに裏の山に避難している。


 これだけで、何が出来るのか。


 カシュカは、常にそう考えていた。


 数百という敵に囲まれたら、何も出来ないかもしれない。


 しかし、こうやって陣を組んで耐えるのが、今出来る最大のことなのだ。


「敵の歩兵が、最後の濠を越えています」


「数は」


「罠に苛まれ、少数ずつで接近しています。先頭は百人以下です」


 カシュカは号令を出し、武器を構えさせた。


 敵兵の喧騒が、近付いてくるのが分かる。


 正面の通りから、兵が現れた。


 それと同時に、自警団は素早く駆け出し、敵兵に襲いかかった。


 各々で応戦するが、全体として陣形は崩さないように伝えてある。


 幾つも罠を越えてきたからか、敵兵の動きは鈍いとカシュカは思った。


 あっさりと数十人の敵兵を倒し、生き残った兵は武器を降ろして投降してきたので、縛って拘束した。


 自警団に、死者は出なかった。


「次の敵に備えろ」


 団員にそう言うと、見張りの高台から声が上がった。


「罠を越えた敵兵が、集まって体制を整えています。三百から四百はいます!」


 さっきの敵とは、比べ物にならない数である。


 囲まれては、すぐに潰される。


「敵の体勢が整う前に、こちらから襲うぞ」


 カシュカは大声でそう言い、先頭を駆けた。


 部下たちも、必死の表情でついてくる。


 民家を抜けると、すぐそばに敵の歩兵が固まっていた。


 まだ隊形は整っていない。


 全員で突っ込めば、ある程度は突き崩せるかもしれない。


 しかし、おそらく仲間の大半は死ぬ事になるかもしれない。


「お前たち、暴れろ。死んでも暴れろ」


 カシュカのその大声に、部下たちが大声で応える。


 こちらの士気は高い。


 気付けば、カシュカは敵兵の中に突っ込んでいた。


 手頃の歩兵を斬り、また次を斬る。


 敵は混乱していたので、組織的な応戦は無い。


 突き出されてきた槍を弾き、槍を構えた腕ごと胴体を斬り飛ばした。


 他の所からも、兵の叫び声が上がっている。


 部下たちも、相当に暴れているようだ。


 不意に、鋭い動きで隊長と思われる男が躍り出た。


 繰り出されてくる斬撃は、早く、そしてとても重い。


「お前が自警団の団長か」


 指揮官が、語りかけてきた。


「カシュカだ。村を護るため、お前を討つ」


 息を切らしながら、カシュカはそう言った。








 俺はこの男と戦い、死ぬかもしれない。


 カシュカは、一瞬そう思った。
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