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【第三章】蓮牙山攻防戦・第二次セトラ村攻防戦
【第五十五話】テジム視点
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戦の最前線に居る自分が、信じられなかった。
いつ死ぬか分からない。
その恐怖が、初めは大きかった。
その恐怖が薄れたのは、味方の騎馬隊を連れて罠の中を先頭で駆けた時だった。
百を越える騎馬隊を自分が指揮しているかのような気持ちに、テジムはなった。
ふと、快感のようなものも覚えたのだ。
そして今、自分は敵との乱戦の中にいた。
うるさくて、騒がしい。
そして騎馬隊の隊列の中から周りを見てみると、現実ではないような気分にテジムはなった。
駆ける速度が、不意に上がった。
テジムのいる所からは、前がどうなっているのかほとんど分からない。
前を駆ける騎馬を、必死に追いかけているだけなのだ。
時々、血が飛んでくる。
敵兵の血だろうか。
近くを駆けていた仲間が討たれることがあるので、味方の血かもしれない。
身体にその血が掛かっても、テジムはそれ所ではなかった。
急に、敵兵が開けた所になった。
兵が遠巻きに、誰かの一騎打ちを窺っているようだ。
「カシュカ」
テジムは、思わず口に出していた。
カシュカと敵軍の指揮官と思われる男が、激しく立ち回っている。
お互いに怪我をしていて、具足は破れ、動く度に血が流れているようだった。
まさに死闘だと、テジムは思った。
お互いに息を切らし、肩が激しく上下に動いている。
力は互角で、負傷の具合もほとんど同じだった。
どちらが殺すかというよりも、どちらが先に倒れないように踏ん張るか、という戦いに見えた。
テジムは馬を進め、カイトのそばに寄った。
「カイト、助けに入らないのか」
この騎馬隊で相手の指揮官を襲えば、勝敗は着くのでは無いのか。
「指揮官同士の一騎打ちだ。俺たちが介入するのは、カシュカにとっての恥になる」
カイトは、一騎打ちから目を離さずに言った。
武器と武器がぶつかり合う。
鉄がぶつかる高い音。
響く度に、テジムは鳥肌が立った。
どうにかして、助けられないのか。
焦れったくて、テジムは仕方がなかった。
これが、戦いというものなのか。
どんなに武術を頑張っても、自分にはこんな戦いなど出来ないだろう。
元々は狩のために覚えた弓があったが、入り乱れるような戦いには向かなかった。
今も取り敢えずで剣を持っていたが、敵兵に向かって振り下ろす勇気は、まだ無い。
不意に、テジムの顔に血の塊が飛んできた。
驚いて目を拭うと、テジムはハッとした。
カシュカの動きが止まり、膝から崩れ落ちたのだ。
彼の左肩から右脇腹にかけて大きな斬傷があるのを、テジムは辛うじて見てとった。
カシュカは、死んだというのか。
ではこの戦いは、負けたと言うのか。
困惑していると、今度は敵の指揮官と思われる男が、地面に倒れた。
彼の体からも、大量の血が流れている。
いつ死ぬか分からない。
その恐怖が、初めは大きかった。
その恐怖が薄れたのは、味方の騎馬隊を連れて罠の中を先頭で駆けた時だった。
百を越える騎馬隊を自分が指揮しているかのような気持ちに、テジムはなった。
ふと、快感のようなものも覚えたのだ。
そして今、自分は敵との乱戦の中にいた。
うるさくて、騒がしい。
そして騎馬隊の隊列の中から周りを見てみると、現実ではないような気分にテジムはなった。
駆ける速度が、不意に上がった。
テジムのいる所からは、前がどうなっているのかほとんど分からない。
前を駆ける騎馬を、必死に追いかけているだけなのだ。
時々、血が飛んでくる。
敵兵の血だろうか。
近くを駆けていた仲間が討たれることがあるので、味方の血かもしれない。
身体にその血が掛かっても、テジムはそれ所ではなかった。
急に、敵兵が開けた所になった。
兵が遠巻きに、誰かの一騎打ちを窺っているようだ。
「カシュカ」
テジムは、思わず口に出していた。
カシュカと敵軍の指揮官と思われる男が、激しく立ち回っている。
お互いに怪我をしていて、具足は破れ、動く度に血が流れているようだった。
まさに死闘だと、テジムは思った。
お互いに息を切らし、肩が激しく上下に動いている。
力は互角で、負傷の具合もほとんど同じだった。
どちらが殺すかというよりも、どちらが先に倒れないように踏ん張るか、という戦いに見えた。
テジムは馬を進め、カイトのそばに寄った。
「カイト、助けに入らないのか」
この騎馬隊で相手の指揮官を襲えば、勝敗は着くのでは無いのか。
「指揮官同士の一騎打ちだ。俺たちが介入するのは、カシュカにとっての恥になる」
カイトは、一騎打ちから目を離さずに言った。
武器と武器がぶつかり合う。
鉄がぶつかる高い音。
響く度に、テジムは鳥肌が立った。
どうにかして、助けられないのか。
焦れったくて、テジムは仕方がなかった。
これが、戦いというものなのか。
どんなに武術を頑張っても、自分にはこんな戦いなど出来ないだろう。
元々は狩のために覚えた弓があったが、入り乱れるような戦いには向かなかった。
今も取り敢えずで剣を持っていたが、敵兵に向かって振り下ろす勇気は、まだ無い。
不意に、テジムの顔に血の塊が飛んできた。
驚いて目を拭うと、テジムはハッとした。
カシュカの動きが止まり、膝から崩れ落ちたのだ。
彼の左肩から右脇腹にかけて大きな斬傷があるのを、テジムは辛うじて見てとった。
カシュカは、死んだというのか。
ではこの戦いは、負けたと言うのか。
困惑していると、今度は敵の指揮官と思われる男が、地面に倒れた。
彼の体からも、大量の血が流れている。
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