ジュエル・ハンター 〜【宝石使い】のスキルは農村には要らないと追い出されたので、冒険者をしながら宝石図鑑のコンプリートを目指します!〜

尾関 天魁星

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【第一章】 新生活編

【第十七話】 空色の冒険者ヨハン

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 空色の冒険者は、向かいにある壁を指さした。
 
 
「あっ、えっ、そうなんですね」
 
 
 僕は急に恥ずかしくなって、顔を背けた。
 
 
「間違えるのも無理はないよ。沢山あり過ぎて、分かりずらいからさ」
 
 
 声色さえも、爽やかだった。
 
 
 顔も整っているし、背も結構高い。
 
 
 きっと、女性にもモテてるんだろうな・・・・・・。
 
 
「君、名前は?」
 
 
「セキト・ヘリオドールと言います」
 
 
「ふ~ん、セキト君ね。俺はヨハン・フォルスト、ランクはSSさ」
 
 
 ヨハンさんは手を差し出したので、僕は握手をした。
 
 
 握手をして気付いたけれど、手汗でびしょびしょだ。
 
 
 すみませんヨハンさん、不快な思いをさせてしまって・・・・・・。
 
 
「緊張してるね、大丈夫かい」
 
 
 ヨハンさんは、優しくそう言った。
 
 
「緊張というか、恥ずかしいというか・・・・・・」
 
 
 モジモジ・・・・・・。
 
 
「はははっ、セキト君、面白いね」
 
 
 さっきよりも大きく笑うと、ヨハンさんはそのまま手を引いて初心者向けのクエストボードまで連れて行ってくれた。
 
 
 他の冒険者からの視線は、まだこちらを向いている。
 
 
 と言うより、ヨハンさんの方に注目が集まっている。しかも、憧れのような視線である。
 
 
「俺も最初は緊張したよ。どうだい、一緒にクエストにでも行ってあげようか」
 
 
 まさかの申し出に、僕は再び驚いた。
 
 
 SSランクの冒険者と言えば、上級冒険者に分類される実力者である。
 
 
 そんな冒険者が、さっき冒険者になったばかりの僕とクエストを受けるだなんて。
 
 
「せ、折角ですけど、ご迷惑じゃありませんかね・・・・・・」
 
 
 上級冒険者ともなれば、きっと忙しいことだろう。
 
 
 僕なんかと一緒にクエストに行っては、貴重な時間を失わせることになってしまう。
 
 
「全然迷惑なんかじゃないよ。いつもは実はパーティメンバーが居るんだけど、ちょっと野暮用でね」
 
 
「そ、そうなんですか・・・・・・」
 
 
 どうしよう。
 
 
 確かに僕だけでクエストに向かうのは不安だった。
 
 
 同伴してくれる先輩冒険者が居てくれるなら、それに勝る安心は無い。
 
 
 ここは一つ、お言葉に甘えよう。
 
 
「では、よろしくお願いします」
 
 
 そう言うと、ヨハンさんは微笑み、うなずいた。
 
 
「そうこなくちゃね。討伐系と納品系、どっちが良いかな?」
 
 
 いきなり討伐系は、ハードルが高いように思えた。
 
 
 初心者向けのクエストだから弱いモンスターなんだろうけれど、やっぱり初めては納品系が良いかもしれない。
 
 
「セキト君、戦闘経験は?」
 
 
「まったく無いです・・・・・・」
 
 
「それなら、討伐系にしよう。俺が、戦い方を教えてあげるよ」
 
 
 
 
 そう言って、ヨハンさんは【池土獣ちどじゅうアーヴァンク討伐】のクエスト用紙をちぎった。
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