王家の影ですので

渡辺 佐倉

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王家の話合いについて

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* * *

ルイスが指定された部屋は国王陛下の私的なスペースにある一室だった。
部屋に通されるとそこにはすでに国王陛下と王妃殿下それから五つ年下になる弟がいた。

弟がいることは想定していなかったがある意味丁度いいのかもしれないとルイスは思った。

最後に残っていたあいている席にルイスは座る。

「私たちが何も知らないとは思わないでね」

王妃がそう言った。
そこには母としての言葉も入っている様にルイスには感じた。
しかし、今までどこで何をしてきたかを言い当てられるのはあまりいい気はしない。

けれど、そんなことはルイスにとってどうでもよかった。
あの場所は、カイルが許したという事は、直接誰かから見られるという事はない。
のであればそれでいい。

ルイスが話そうとしたとき、弟が遮るように言った。

「俺が王になるのは無理ですからね!?
王位継承権の放棄とか突然いいださないでくださいよ!?」


弟の言葉に父王が「これ、やめんか」と父親の声で言った。

「妃探しの件ですが、私に妃をとることは無理です」

静かにルイスは言った。

「愛が無いのは分かる。そこは情でなんとかならんのか」

政略結婚というものはそういうものだと言わんばかりの言い方で父王は言った。

ルイスは首を振った。

「私の閨教育の惨憺たる結果は知っているでしょう」

これはカイルも知らない話だった。
王族には閨教育がある。
他国の姫君を娶ることもあるのだ。
失礼の無いように仲睦ましく夜の生活を送るための教育が組み込まれている。

そこまでは王家の影であるカイルも知っていることだろう。
ここから先は関わった極一部の者しか知っておらずかん口令が敷かれている内容だ。

ルイスは教師役の未亡人を相手に全く反応せず、その後相手を変えてみたり他様々色々と手を尽くしたがどれも駄目だったのだ。

「情以前の問題ですよ。子を残せない訳ですから」

今まで何人も妃にできそうな人間を探してきた。
カイルに見た目だけでも似た女性ならばと思いそういった女性を探したりもした。

けれど、駄目だったのだ。

けれど、世界でたった一人その気になれる人間がいたという事は先ほど証明してしまった。

「影の、それも男をにすることなど到底無理ですよ!?」

王妃が叫ぶように言った。
そうだろうなとルイスも思った。
そもそもカイルに王妃になるという選択肢はないだろう。

命令をすればその道を選んでくれるのかさえも怪しい。

王太子を降りることも許されない。好いた相手を王妃にすることもできない。
多分、誰を妃に選んでもルイスは通常の方法で子を残すこともできない。

「そこで、提案が二つあります。
どちらも受け入れられないようであれば私は王族から降りようと思っています」

部屋を出る際にカイルの配下にかけられた『あの方の将来を奪う様なまね』について頭をよぎる。
別に逃げ出すつもりは無かった。

それをしたければこんな話し合いをする前に彼をさらってとっくに逃げていた。
これからする話は、莫迦げていてそして賭けの様な話だった。
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